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ファイル01 知らない罠

・・・・やっちまった。

「ねぇ、知ってる?」


「何が?」


「ほら、あの屋上の・・」


「ああ、1年の不良だっけ?」


「そうよ、あの不良よ。名前は・・・」


「桐生、じゃなかったけ」


「そいつさ、なんか色々やってるみたいよ。知り合いに変な男が居るみたいだし」


「一度、見た事あるけど・・・体は大きいし、かなり筋肉あったよ。制服の上からでも分かるくらい」


「うわぁ、ちょっと勘弁してよ。変な奴が学校に居るの!?」


「嫌だよねぇ、ほんとにさ」


狭山高校、都内でも有数の進学校である高校に、一ヶ月前、一年生が入学してきた。


一年生の名は、桐生鉄平。


彼は今、屋上に居る。











ファイル01 知らない罠 










「鉄平、何か面白い物はないのか?」


「・・・・優太、そんな物はない」


屋上では、190以上の長身の男と、少し痩せ気味の少年が怪しい活動をしていた。


しているのは痩せ気味の少年だけで、大男は寝ているだけだが。


「つまらんのだ、やはり学校では僕の知的探求心は治まらない!!」


「もう病気だろ、それ」


大男は、先ほど話した桐生鉄平。


痩せ気味の少年は、藤堂優太。


どちらも、学校側から危険視されている生徒だ。


鉄平は懐から棒状の物を取り出し、口に咥える。


煙草ではない、シナモンスティックだ。


シナモンの香りが、鉄平にとっては精神安定剤となる。


そんなに重要ではないが、彼はこの香りが好きなのだ。


「まったく、何も無いではないか」


藤堂優太、彼を表すにはコレだけで済む。


マッドサイエンティスト、これに尽きる。


日頃から面白い物、不思議な物を探している変人だ。


今も、何故かラジオを解体しては、組み立てるを繰り返している。


「・・・・はぁ、今・・・授業中だよなぁ」


「何を言う、あんな下らない物、我らには必要ないだろう?」


「そう言うがね、一応は考えるべきだと思うがね」


「僕は一位、鉄平は三位、学力には問題はない」


「そうかい、そうだな、そうかもしれんな」


優太の問題発言に、テキトーに返答する。


「・・・・・おい、優太」


「何だ、UFOでも出たか?」


「・・・・・アレ、何だと思う?」


「む・・・?」


目の前では、悲痛な表情で空を見る少女。


着けているリボンから見て、同じ一年だろう。


少女はフェンスに寄りかかり、呆然と立っている。


「何をする気だ?」


「うむ、飛び降りか?」


「「・・・・・・・・・」」


ガチャッ


ボトッ


フェンスが抜け、少女は屋上から消える。


「「はぁ!?」」


突然の事に、二人は絶叫する。


下を覗くと、少女の頭は、その中身をぶちまけていた。


「うっぷ・・・」


「吐くな、優太・・・」


そういう鉄平も、顔を青くしている。


教室では何人も顔を出し、すぐに教師が少女に駆け寄る。


「あいつらよっ!!」


すると、金切り声で女子生徒が叫ぶ。


「あいつらがやったのよ! 私、見たわ!」


「「・・・・・はぁ? 俺(僕)?」


パトカーのサイレンが聞こえたのは、すぐ後だった。










警察署の奥にある、取調室・・・ではなく、ソファのある普通の部屋。


「弁護士を喚んでくれ! 必ず勝ってやる!?」


「不当な逮捕に、僕たちは断固抗議する!?」


碌な弁解もさせてもらえず、鉄平と優太はパトカーに乗せられた。


すぐに近くの警察署に送られたのだが、意にも介さず抗議を続ける。


それを聞いている刑事は、もう止めてくれと懇願するような顔をしていた。


「いい加減にしろ! お前達がやったんだろうが!?」


「してねぇよ! この童顔刑事が!? だいたい、弁解どころか捜査もせずに逮捕しやがったな!?」


「同行くらいなら認めるが、任意ですらないとは・・・警察の質が疑われるなっ!?」


いかにも新人といった若い刑事は、二人に尋問する。


しかし・・・


「アホか、あんた。一人見ただけで、犯人だと確定するなよ」


「まったく、自殺の線は考えないのか?」


この二人の口は、まったく塞がらない。


「くっ・・・・だが、あのフェンスのネジは緩んでいた。お前らがやったんだろ」


「何のために? 俺たちには理由が無い」


「お前達は、普段から屋上に居るらしいな。 だからこそ、出来るのはお前らだけだ」


「貴方はバカですか、刑事さん? 僕たちが屋上に来たのは、今日の三時間目から。その間に、誰かが来たと考えないのか」


「ぐぐぐっ・・・遊び心でやったんだろ・・・」


「「そんなバカみたいな事するほど、子供じゃない」」


バッサリと切り捨てる。


「・・・・そういえば、誰が俺たちだって言ったんだ?」


「うむ、僕もそれが知りたい」


「そんなこと、教えられるわけないだろっ!?」


刑事は声を荒げ、机を叩いた。


そこに、初老の警官が入ってきた。


「おう、真田。そこまでだ」


「・・・どういう、ことですか」


「そこの坊主どもにはアリバイは無いが、犯人だと断定できる証拠も無い。釈放だ」


「そんな!? 必ず、何かありますよ!」


「そういうわけにもいかねぇんだ! ほれ、ガキはさっさと帰れ」


「「それじゃ、失礼しま~す」」


二人は納得していないという顔で、部屋を出て行った。


「・・・・何で、ですか」


「あのな、証拠も無いのに無茶が出来るかよ。仏が女子高生ってのは分かるが・・・」


「・・・・・失礼します」


「あ、おい!」


真田と呼ばれた刑事は、そのまま部屋を出る。


「あの野郎、変な真似はしないでくれよ・・・」


初老の警官は、うんざりした表情で呟いた。










帰り道、二人は夕日に照らされながら歩いていた。


「どう見る・・・?」


「僕たちを犯人だと決めた・・・つまり、目撃者の存在が気に掛かる」


「学校としては、ノータッチだろうな」


「邪魔な僕らを排除出来るが、その分学校の評価が下がる。今は動かない筈だ」


「だったら・・・」


「自分たちで探すしかない、それだけだな」


「行くか・・・?」


「うむ!」


二人は迷わずに走り出す、その優秀な頭をフル回転させて。









はっはっはっは! 推理物は初めてなので、頑張っていきます。

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