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異世界落胤セラ ~ポセイドンに捨てられた俺は、救うたびに誰かを溺れさせる~  作者: マーたん


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第四十三話:

登場人物


―第四十三章:反逆の筆先―


セラ


運命に抗う主人公。ついに“脚本の文字”へ直接干渉し、未来を書き換えることに成功した存在。物語のルールそのものを揺るがす“反逆者”として認識され始める。


鳥羽姫


白都を守る姫君。セラの変化と覚悟を目の当たりにしながら、共に戦う決意を強める。理不尽な世界に対して最後まで抗う意志を持つ。


焔牙


セラの右腕。脚本による拘束を打ち破り再び戦線へ復帰。セラの行動によって自由を取り戻し、最前線で道を切り開く存在。


クロガミ


物語の外側から観測する存在。セラの反逆を楽しみつつも、その先にある“さらに上位の存在”の存在を知る者。今回は珍しく緊張を見せる。


配役


脚本に従い世界を修正する存在。セラの干渉により揺らぎ始めるが、依然として“強制力”を持つ敵。


外側の存在


世界を書き続ける“書き手”。直接的な干渉を行い、白都炎上などの出来事を引き起こす存在。


管理者


書き手すら上から監視する存在。反逆者であるセラを「削除対象」として認識し、物語そのものの修正を開始する絶対的存在。



人物関係


セラ × 管理者


反逆者と絶対的管理者の対立。物語の支配構造に対する直接的な衝突が始まる。


セラ × 外側の存在


書かれる者と書く者の関係。セラは初めてその支配に抗い、干渉を成功させた。


クロガミ × 管理者


観測者と上位管理者の関係。クロガミですら完全には干渉できない存在であり、今回初めて警戒を見せる。


鳥羽姫 × 焔牙 × セラ


脚本に抗う三者の連携。セラの行動によって自由を取り戻し、共に反逆へ踏み出す。


配役 × 外側の存在 × 管理者


命令・実行・監視の三層構造。物語世界の支配システムそのものを構成する存在たち。



この章の位置づけ


第四十三章は、

**主人公による「運命改変の成功」と「上位存在の介入開始」**を描く転換章。


セラ が初めて明確に未来を書き換え、

その結果として 管理者 が動き出すことで、

物語は“神話規模”から“物語そのものとの戦い”へと進化する。

第四十三章:反逆の筆先


白都の空は、崩れ続けていた。


裂け目の向こう――

“外側”から伸びる見えない手が、ゆっくりと世界をなぞる。


その軌跡に従うように、兵士たちが倒れ、炎が広がり、空が歪む。


「……これが、書かれている未来か」


セラ は、握りしめた“何か”を見つめた。


それは文字だった。


空中に浮かび上がった、運命の断片。


セラは膝をつく


「……ふざけるな」


その文字を、セラは――


握り潰した。



瞬間。


世界が、わずかに軋む。


鐘の音が狂い、風の流れが止まる。


「今……何をした?」


鳥羽姫 が息を呑む。


セラは静かに答えた。


「“書き換えた”」



“配役”が動く。


配役


その顔が、怒りに歪む。


無数の表情が一斉に叫ぶ。


「逸脱」


「逸脱」


「逸脱」


見えない糸が、セラへと絡みつく。


だが――


「遅い」


黒い翼が、糸を断ち切る。



炎が弾ける。


焔牙 が立ち上がる。


「……体が、動く?」


先ほどまでの拘束が消えていた。


鳥羽姫もまた槍を握り直す。


「今の一瞬で、流れが変わった……?」


セラは前を見据える。


「一文を壊しただけだ」


「だが、それで流れは崩れる」



クロガミが拍手した。


クロガミ


「ええやんええやん!」


「主人公らしくなってきたなぁ!」


セラは睨む。


「お前はどこまで知っている」


クロガミは肩をすくめる。


「全部や」


「……と言いたいとこやけど」


「書いてるのは、わしやない」



空の裂け目がさらに広がる。


巨大な“手”が、再び動く。


今度はゆっくりと、明確に。


空に文字が刻まれる。


白都は炎に包まれる


その瞬間。


城壁の外側で爆炎が上がる。


兵士の悲鳴。


崩れる塔。


鳥羽姫が叫ぶ。


「止めなさい!」


セラは歯を食いしばる。


「……なら、これも」


空へ飛ぶ。


黒い翼が裂け目へ向かって突き進む。



“配役”が立ちはだかる。


無数の顔が笑う。


「修正」


「排除」


「強制」


焔牙が飛び込む。


「行かせるかぁぁ!」


冥炎が炸裂する。


鳥羽姫が続く。


「道は私が開く!」


槍が閃き、“配役”を押し返す。



セラは裂け目の直前で止まった。


目の前に浮かぶ文字。


セラはここで力尽きる


一瞬。


ほんの一瞬、迷いが生まれる。


その時――


クロガミの声が響く。


「どうする?」


「従うか?」


「抗うか?」



セラは笑った。


「決まっている」


手を伸ばす。


文字を掴む。


だが今度は――


握り潰さない。


書き換える。


セラは、ここで力尽きない



瞬間。


世界が、悲鳴を上げた。


空が割れる。


音が消える。


“外側”の手が、止まる。


初めて。


ほんのわずかに。


止まった。



鳥羽姫が息を呑む。


「止まった……?」


焔牙が呟く。


「今、世界が……拒んだ」



クロガミは、静かに笑っていた。


「……成功やな」


「やっぱりお前、面白いわ」



その時だった。


裂け目の奥。


“外側”のさらに奥から、声が響いた。


低く、重く、圧倒的な声。


「――修正対象、確認」


セラの背筋に冷たいものが走る。


クロガミの笑みが、初めて消えた。


「……来よったか」



裂け目の向こう。


巨大な影が、ゆっくりとこちらを見た。


それは――


“書き手”ではない。


“管理者”。


外側の存在 のさらに上位。


「……まだ上がいるのか」


セラは呟く。


クロガミは低く笑った。


「せや」


「物語にはな」


「必ず“上”がある」



風が止む。


炎が静まる。


すべてが一瞬だけ凍りつく。


その中で、声だけが響く。


「反逆者――削除する」


セラは剣を構えた。


「やってみろ」



その瞬間。


物語が、さらに一段階、壊れ始めた。

クロガミの一息 ~たこ焼きのおっちゃん編~


夜の白都。


戦火の気配がまだ残る中、なぜか城壁の外に――


屋台が出ていた。


ジュウウウウ……


鉄板の上で丸く焼かれるそれ。


香ばしい匂い。


ソースの香り。


そして、陽気な声。


「へいらっしゃい!」


「たこ焼き焼きたてやでぇ!」


その屋台の主は――


クロガミ


……ではなく。


頭にタオル。

エプロン。

手際よくクルクル回す串。


完全に“おっちゃん”。


「今日は特別サービスや!」


「反逆者割引やで!」


誰が対象やねん。



そこへ通りかかる セラ


「……何してる」


クロガミは満面の笑み。


「見ての通り、たこ焼き屋や!」


「世界が壊れかけてる時にか?」


「せやからや!」


「こういう時こそ粉もんや!」


理屈が意味不明である。



さらに 鳥羽姫 が現れる。


「……何の匂いですか」


「姫さんもどうや!」


「一舟八個入りや!」


鳥羽姫、じっと見る。


「毒は?」


「入ってへんわ!」


「たぶん」


「たぶん!?」



横から 焔牙 が覗く。


「……うまそうだな」


クロガミがウインク。


「せやろ?」


「冥炎で焼いた特製や!」


「それ大丈夫なのか」



セラはひとつ取る。


パクッ。


一瞬、沈黙。


「……うまい」


クロガミ、ドヤ顔。


「せやろぉ!」


「わし、こう見えて万能やねん!」


鳥羽姫も一口。


「……これは」


少しだけ頬が緩む。


焔牙は無言で三つ食べた。



その時。


空の裂け目から、低い声。


「――修正対象、確認」


全員、上を見上げる。


一瞬、緊張が走る。


クロガミはたこ焼きをひっくり返しながら言った。


「まぁまぁ」


「今は休憩や」


「戦いばっかりやと疲れるやろ?」


セラは空を見たまま呟く。


「……そうだな」



クロガミは一瞬だけ、真顔になった。


「せやけどな」


「次は、ほんまに命がけやで」


鉄板の火が、わずかに揺れる。


「せやから――」


また笑顔に戻る。


「今のうちに食っとき!」



鳥羽姫がため息をつく。


「本当に、何者なのですかあなたは」


クロガミは笑う。


「ただの――」


くるりとたこ焼きを回す。


「通りすがりの、おっちゃんや」



屋台の灯りが揺れる。


戦いの前の、ほんの一瞬の静けさ。


そして遠くで、鐘が鳴る。


次の戦いを告げる音。


クロガミは小さく呟いた。


「さて……続き、いこか」

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