7/7
最終章 恋は、何度でも
数年経ったある日、エクリアスアカデミアに新しい教授が加わった。
名前はセレナ・フェルディナン。
元悪役令嬢。
今は感情制御魔法の専門家だ。
彼女は授業の合間を見計らって、毎日僕の授業を覗きにきている。
そして、僕には見つかっては軽く叱られるのが日常になっていた。
「また、こっそり覗きにきたのか?」
「だってリオン、相変わらず真面目すぎるから」
「……セレナがいたから、真面目になれたんだよ」
僕がそう言うと、彼女は笑い僕の手を取る。
「ねえリオン。もしまた契約を結ぶなら──『互いに恋してはいけない』とかじゃなくて……『一生、好きでいていい』って誓いにしようよ」
セレナは僕の頬にキスをした。
「……それなら契約破ったって罰はないね」
「ああ。罰はもういらないしな」
二人の影が夕陽に伸びる。
魔法の花びらが舞い、風が囁いた。
──恋は、何度でも生まれ変わる。
──その思いが続く限り。
THE END