第2―2 夏休みの憂鬱 神山 奈々編
前話と同じで、話にまったく関係のなさそうな話です。読まなくても、結構です。
美しい声
まぶしい笑顔
暖かな温もり
私はただ愛に恋い焦がれている…
第2―3 『夏休みの憂鬱 神山 奈々編』
夏休み最後の日
今日は幼なじみの吉田 修平と一緒に買い物に行く日だ
「フン♪フ〜ん♪フン♪」
思わず鼻歌を歌っているこの女の子は神山 奈々。
上機嫌である。
昨日修平と何とか買い物に一緒行く所まではこぎ着けた。
後は普段アイツには見せない姿を見せて、私の女の子らしい所を見せつけてやれば…
「フフフフ♪ デートだなんて♪ 修平ったら気が速いんだから☆」
昨日修平を誘った時の事…
「まっ、まさか!デートとかなのか!それは!」
そこで、奈々が抱いている気持ちを素直に伝えれば良かったものを…
「な、何がデートよ! ただの荷物持ちに決まってんでしょ。明日は皆忙しそうだし、誘いやすそうな相手が修平しかいなかったから…」
「そうか…そうだよな」
明らかにテンションが下がっている修平。
「じゃ、8時半に共同フロアに集合てことでいいんだな」
「うん…」
修平は去ってゆく…
いつもの通りに強がってしまった。
あそこで素直にデートです。なんて言っていたら、そのまま付き合う感じになれたかもしれないのに…
思わず、壁に頭を叩きつける。
友達がそれを見て
「また強がって変な事言ったの?」
少し呆れつつも友達は奈々の動きを止める。
この友達の名は石川 陽子。
奈々の友達で修平と奈々の関係をよく知っており、奈々の相談にもよく乗っている。
ちなみに、「修平をデートに誘う大作戦」を決めたのも陽子である。
ノリで言ってみた作戦が奈々にヒットしたらしく、非常に食い付きが良かった。
「まぁ、落ち着きなさいよ…強がっちゃったとはいえ、誘うことは出来たんでしょ?あんたがそこまで出来たら上出来よ。」
正直、奈々が誘うなんて出来ないと思っていた。
本当に上出来くらいだ。
必死に自分の中で誘うシュミレーションをして、恥ずかしさのあまり先のばしにした結果、デートできるのが夏休み最後の日しか残ってなかったのは置いとくとする。
この作戦は夏休み前には出来ており、それほど長い間恥ずかしさと闘っていた奈々の気持ちを考えれば、相当なものであることは想像しやすい。
正直、早く付き合えよ…とか陽子は思っていた。
二人は観ていて、お似合いだと思うし、修平が奈々に好意を寄せていることは明らかで、奈々も修平の事を好いている…
先程も、あんなに修平がさりげなく奈々に好意を伝えてるのに、毎回奈々が強がって変な事言ってるのだ。
修平可哀想…けどわかってあげて…奈々も頑張っているから!
正直、もうめんどくさい陽子であった。
まぁ、そんな事もあり、現在朝の5時ちょっとぐらい。
万全の状態で出陣するために朝早くおきて、準備をする。
修平が自分の事を好いているのは、知っている。私も修平の事が好きだ。大好きレベルである。
しかし、そんな気持ちが自分の中にあるのが恥ずかしくて、つい強がってしまうのだ。
今日こそは!今日こそは告白してみせる。
そう気合いを入れて、頭の中で告白する方法をシュミレーションする。後は素直になるだけだ。
思わず、ニヤニヤしてしまう。
こんな顔見られたらどうしよう…
そんな事を思いながら、最初にどこに行こうか考えている。
今日は夏休み最後の日…何だか楽しくなりそうな予感がしていた。
共同フロアで寮監である村田さんになだめられながら、半泣きになりつつも、肉を喰らう肉食恐竜の如くお菓子を食べている奈々の姿を見て、あきれて深い溜め息をつく陽子の姿があったのはそれから、4時間半後のことである。