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第3―3 愛


君が泣く


僕の心に雨が降る


君が悩む


僕の心は曇る


君が笑う


僕の心は雲一つない晴天となる


僕は誓う


もう二度と雨は降らせないと


『第3―3 愛』


上村 空は車を走らせていた。


行き先は病院。

昨日護りきれなかった少女の見舞いに行くのだ。

彼女の名は青井 香

上山桜丘高等学校の三年生…これからとゆう時を護りきれなかった空の心は曇っていた。

すると携帯に連絡が入る。

車を道路の脇に寄せ、電話にでる。


「もしもし、なんだ… 湯川か…お前や村田の言う通り、岩田さんは可能性があるな。それもとても大きな…

後で岩田さんに事情を説明するつもりだ。

ああ…わかってる。あくまでも、内密にだ… じゃ、切るぞ。」


ピッと電話を切る空。

車を発車させようとすると、また携帯がなる。


知らない番号だった。

とりあえず電話にでる。


「もしもし。」


「我々は『アンチ・スカイ』。それだけ言えばわかるな?」


「! 何の用だ? 今度は誰の指令を受けている?」


「今日の午後22時に上山公立公園で、待っている。」


「待て!」


しかし、電話は突然切れる。

行かないわけには行かなかった…







所変わり中心街の大通りに近い道にある雰囲気のあるパスタ専門店。


喜一はそこで吉田 修平と斎藤 桃花と共にテーブルに着いていた。


あれから一時間が過ぎた。あれからと言うのは、学校の下駄箱の近くのベンチで桃花が修平に『アクシュ』を求めた時からである。

修平は桃花の話をいつもの調子と言わんばかりに桃花の話をスルー。

それから喜一の転校歓迎会をやろうとゆう訳で、この店にいる状況。


普通こうゆうのはもっと盛り上がる場所でやるのではないかと喜一は考える。


ま、こうゆうのも良いし、やってくれるだけありがたい。


「しかし…お前がこんな店に誘うとは思わなかったぞ。何か似合わん。」


「最近パスタにハマっていてな…この店の一番人気のカルボナーラを食べ、俺の中のバリエーションを増やそうとしてな…そして必ずや奈々の心を俺のものにしてみせる…」


「てゆうか、お前、料理とかできるのか?全然イメージわかないんだけど」


喜一と修平はこの短時間の内に完全に友人とゆう間柄にまでなっていた。


「修平君は本当に料理上手なんですよ。とゆうか、もう何でもできるレベルですから。」

と桃花もちゃんと話には入ってきてるが、まだぎこちない感じだ。

「なんでもって?」


「勉強、運動、料理、家事、周りの世話…なんでもです」


「お前って本当はスゴいヤツなの?」

喜一は宇宙人を見るかのように修平を見る。

「何を不思議がっている。俺は奈々を幸せにする男だぞ。奈々と奈々にそっくりな二人の娘達…彼女達にカルボナーラを作る俺…三人の幸せそうな笑顔… 完璧だ…一部の隙もない。フハハハハ!そう…その中に一切の不安要素の存在も赦さない…彼女達の顔を歪めるすべて存在を俺は抹殺しなければならない。

この程度のスキルではむしろ、不安だらけだ…俺は彼女達のために完璧な男になる。」


高笑いをする修平。

恥ずかしいのでそれを止める喜一と桃花。


「なんか、お前ゴメンナ…ここまで一途だと逆に凄いよ…」


「奈々がもし虫が嫌いだと言うのならば、俺は世界中の虫を消し去る。 フハハハハ…」


「桃花は何喰うか決めた?俺は修平が言ってたカルボナーラを頼もうかな…」


「私はこの地中海のシーフードスープスパッゲッティを」

二人とも完璧に修平を無視する事にした。


注文を終えると。桃花はお手洗いに向かって行った。


「すまんな。喜一…後でちゃんとした歓迎会をするから。」


修平が小声で話かけてきた。


「あの時はちょうど良い話が無くて、どうしようもなかったんだ。」


「あのアクシュの時だろ? 別に握手ぐありいいだろ?てゆうか、話の転換に飯誘うか?普通。」

喜一もさすがにあの時の修平はなんかおかしかったので、引っ掛かっていたのだ。


「ただの握手ならな。」


「?」


「お前は転校してコッチに来たばかりだから知らないだろうけどな… 『アクシュ』ってのはただの握手じゃない」


「なんだよ?」


二人の間の雰囲気が一変する。

「良く言えば精神安定剤みたいなモノ。悪く言えばドラッグみたいなモノ。」


「桃花がそんな事するようなヤツじゃなさそうだぞ?それにお前も。」


「薬って訳じゃない。ただの儀式みたいなモンでな、その効果と薬じゃないってのが話題で若者の中で密かに広まってる。」


「儀式? そんなオカルトな…」


「昔ドールってヤツが広めたらしいけどな、現実に広まってるしこの街じゃ少し問題になってる。」


「ドールってのも胡散臭いじゃねーか。そんな儀式スゲーヤバいんじゃないか?」


「儀式自体は簡単にできる。光で出来た影同士で手を繋ぐような形をとって、相手と繋がる想像をするだけ。すると、互いに繋がった感覚がして、心が安定するんだと。」


「繋がるってなんかエロいな…」


「実際そいゆう手で女を餌食にする輩もいるしな。」


「マジかよ!てか、なんじゃそら!」


「更にその儀式には依存性がある。二人で繋がる感覚を得る事で安息を得るとゆう事は、逆に離れた時に孤独感を感じる。最初は小さなものだが、やり過ぎると孤独感は大きくなり、一種の中毒状態になる。」


「オイオイ!マジでヤバいモンじゃねーか!」


「奈々は桃花を気にしてた。どんなに言ってもやめないんだって…そんなのに俺がやる訳にはいかねぇだろ? 俺がどうにかするべきなんだが、どうしようもなくてな。」



「……」


喜一は黙る。

あんな綺麗で清楚な少女が…


「さらに危険なのは、さっき言った犯罪者みたいなヤツがいてな。『アクシュ』するかわりにってするヤツらがいるんだ。今の所大丈夫みたいなんだが、そろそろ止めさせないと。とんでもない事になりそうでな。」


桃花が戻ってくると喜一と修平はいつも通りに接した。


修平曰く、しばらく桃花を説得して自然にやめるのを待って、それでもダメなら力づくで更正させるように奈々と計画を立てていたらしい。


店で時を過ごし、店をでる頃にはの19時になっていた。


修平は病院に用があると言って、途中で帰った。


こんな時間に病院だなんて、と思ったがそれは言わなかった。


その後桃花と大通りを歩き街を案内してもらった。その都度『アクシュ』を求めてきたが、適当にあしらい、止めるように忠告しといた。


家まで送ろうかと聞いたら、もう遅いし早く帰ったほうがいいと言われ、気が着くと夜の22時になっていた。

驚き、言葉に甘え家に帰る事にした。


その帰り道。


ふと、後ろから人の気配がする。この辺りは街の周辺街で、中心街に近いと言っても、この時間に人影は喜一ぐらいなはずだが…


「こんばんは。上村 喜一君。少し良いかな?」


後ろから声をかけられる。本当にいたようだ。

恐る恐る振り向くと、昨日襲ってきた女と一人の男性がいる。


男性と呼ぶよりは喜一に歳の近い青年と言った方が近いかもしれない。


昨日の女がいる時点でもう既に、危険な匂いがする。


背中に嫌な汗が流れるのがわかる。


「キミちょっと力貸してくんない?」

明らかにそれだけでは済まない感がビンビンに出てる。長い夜になりそうだった。












所変わり、上山公立公園。


ここは昼間は憩いの場だが、今は人一人すらいない。


その中で3つの影


一つは上村 空。他2つは優夢と一護だ。


こちらもただでは終わらない。そんなピリピリした緊張に包まれている。


「さぁ、始めようか…」

優夢は月光の下この緊張した空気を更に研ぎ澄ます一言を放つ。


その光景を一人の少女が観ていた。誰にも気付かれず、ただじっとその光景を観てるだけ。


その少女は消えかけた街灯の下でただじっと…始まるのを待っていた。


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