最後と決戦
AI
翔太の目の前に立ちはだかるのは、かつてエルダリスを滅ぼした古の神、「終焉の王」だった。その姿は、闇と混沌を纏い、周囲の空間すらねじ曲げるほどの圧倒的な存在感を放っていた。翔太はリリスの力を宿した「終焉の剣」を握りしめ、その巨体を見据える。
「人間ごときが、我に抗おうとは愚かだな。」終焉の王は、嘲笑混じりの低い声で言い放つ。その言葉には、長い時を超えて培われた圧倒的な自信が滲んでいた。
しかし、翔太の心にはリリスの言葉が響いていた。「諦めないで…」その声が、彼の心に力を与えていた。
「僕は、人間だ。でも、この世界を守るため、そしてリリスの願いを叶えるためなら、どんな敵にも立ち向かう!」翔太は強い決意を込めて、剣を構え直す。その瞬間、リリスの命が宿る剣が再び眩い光を放ち、周囲の闇を切り裂いた。
「無意味だ。すべてを終わらせるのはこの我だ。」終焉の王は手をかざし、黒いエネルギーの奔流を翔太に向かって放つ。それは世界をも消し去る力であり、一瞬で翔太を飲み込もうとする。
しかし、翔太は躊躇することなく、剣を振りかざし、その奔流を切り裂いた。「これが、僕たちの力だ!」
終焉の王は驚いた様子で翔太を見つめるが、その表情はすぐに冷笑に変わる。「では、真の力を見せてやろう。」王の体から無数の闇の刃が生み出され、翔太を四方から襲いかかる。
翔太は瞬時にそれを見切り、剣を自在に操りながら次々と闇の刃を弾き返す。リリスの力が彼に戦いの技術と反応速度を与えていた。しかし、その一瞬の隙を突かれ、翔太は一撃を受けてしまう。激痛が体を走るが、彼は倒れずに踏みとどまった。
「リリス…君の力を…借りるよ!」翔太は痛みを堪えながら、剣に込められたリリスの魔力を全て解放する。その瞬間、剣が白銀の炎に包まれ、周囲の空間が輝き始める。その光は、まるでリリスが彼を守るかのようだった。
「これが…最後の一撃だ!」翔太は終焉の王に向かって駆け出し、全ての力を込めて剣を振り下ろした。
「愚かな…だが、我が宿命を認めよう。」終焉の王は、その一撃を避けることなく受け止めた。瞬間、闇の王の体が裂け、膨大なエネルギーが爆発的に放出された。その光と共に、王の姿は消え去り、エルダリスを覆っていた闇が徐々に晴れていく。
翔太はその場に膝をつき、重い呼吸を繰り返しながらも、勝利を確信した。「やった…僕たちの勝利だ…リリス、ありがとう。」彼は剣を見つめ、そこにリリスの温もりを感じた。
しかし、その時、剣が静かに輝き、リリスの姿が淡く現れた。「翔太、おめでとう…あなたの強さが、この世界を救ったの。」
翔太は驚きと喜びでいっぱいになり、彼女に駆け寄ろうとするが、リリスは静かに首を振る。「もう、私はここにいられない。でも、あなたの心の中にいつもいるよ。」
「リリス…行かないでくれ…」翔太は涙を浮かべながら彼女に手を伸ばすが、その姿は次第に消えていく。
「大丈夫、翔太。あなたなら、きっと素晴らしい未来を作れる。だから、どうか…笑顔でいてね。」
最後に、リリスは優しく微笑み、完全に光の中に溶け込んでいった。その瞬間、剣は再び静寂を取り戻し、翔太の手の中にただの剣として残った。
翔太は静かに立ち上がり、空を見上げた。そこには、リリスがいつも見守ってくれているような、温かい光が広がっていた。
完結