小説家になろうの暗黒の時代 〜追放ざまぁ〜
ランキングの仕様が変わったことにより小説家になろうの生態系が姿を変え、それもしばらく安定していた2020年初頭、急にとあるジャンルが爆発的に流行り始めます。
それは追放もとい、「追放ざまぁ」です。
以下のグラフは「タイトルに異世界を含む作品数」と「タイトルに追放を含む作品数」を並べたグラフです(本当は追放だけのグラフを用意したかったのですが、昔作ったグラフが見つからなかったので異世界付きで失礼します)
少し見づらいのですが、追放の作品数は2018年から増え始め、2019年に一度微減してから2020年に急増していることがわかります。
当時の小説家になろうに投稿された作品数全体は2018年、2019年、2020年と順々に増えていたわけですから、追放は2018年に一度ブームとなり、2019年に一度下火となってから2020年に2回目のブームを迎えていたことが言えそうです。
しかしながら、この2020年の第二次追放ブームは2018年の第一次追放ブームと明確に区別するべきだと僕は考えています。
なぜならば、2つの追放が流行っていた時期の作品を比較してみると第二次の方では、主人公を追放した側のキャラクターたちが没落していく様子が過剰なまでに描写されている、という特徴があるからです。
そのため、この時期の追放モノは単に追放と呼ぶのではなく、追放ざまぁと呼ばれています。
ではいったいなぜこの追放ざまぁがこんなにも流行ることになったのでしょうか?
追放ざまぁが流行し始めた時期である2020年の4月にあった出来事といえば一つしかありません。
それは新型コロナウイルスの流行とその蔓延防止のための緊急事態宣言です。
人々が未知のウイルスに健康的にも経済的にも不安を抱える中で、他人が落ちぶれていく様子を強く描写したこの追放ざまぁは、社会的なニーズととてもよくマッチしていたんじゃないかと僕は考えています。
また、ここで一つ補足しておくと、追放ざまぁが流行る少し前になろうの評価システムの仕様変更がありました。
そのため、追放モノが流行った理由はこれが原因なのではと考える人もいるかもしれません。
確かにこれも理由の一つとして考えられると思いますが、僕はこれだけでは1つのジャンルだけがあそこまで流行ってしまったことの根拠としては少し弱いと考えています。
なぜならば、ユーザーが求める物自体が変わらない限りシステムをどれだけいじっても人気を集めるストーリー展開に変化がないことは、すでにこれまでのランキングの歴史が証明しているからです。
(仮に特定ジャンルに対して優遇するようなシステムにしたとしても、外堀だけ変えただけで実質的に変わらない内容の作品がランキングの上位に来るし、逆に一切評価システムを変えなくても、男性ユーザーがカクヨムに流出すると現状のように女性向けの作品がランキング上位に来るようになる)
また、僕がこれだけコロナを根拠に出したがる理由は小説家になろうの外側にもあります。
というのも、YouTubeでも小説家になろうと似た傾向があったんじゃないかと考えているからです。
ちょうど冒頭で紹介したYouTubeチャンネルの活動をやっていた時期がこれくらいの時期だったので、当時の状況をそれなりに知っているのですが、当時はなろう系レビューと称して、この設定おかしくない?と重箱の隅をつつくようなツッコミ系の動画が流行っていました。
実際正しい指摘もあるのですが、中には少し言い過ぎなのではないかと思うような動画があったり、なろう小説を批判するためだけのチャンネルが登場したりもしており、とりあえずなろう系小説や漫画を面白おかしくディスってれば数字がとれる、そんな時代でした(今もかもしれないけど、当時は本当にひどかった……。実際に「なろう 叩き」とかでYouTube検索すると追放ざまぁが流行っていた時期の動画が多い、気がする……)
また、僕の肌感覚ですが、〇〇な人間の末路、みたいなタイトルで登場人物が老後に苦しむような展開の漫画動画もこの時期に急に増え始めたように思います。
この時代は、小説家になろうにかかわらず全てのコンテンツ投稿サービスにおいて、他人下げをすること自体が高い評価を受けやすい時期であったのではないでしょうか。
【異世界小説の歴史まとめ】
僕が異世界小説の歴史について調べていた2021年ごろまでの歴史をまとめると以下の図のようになります。
追放ざまぁの次にはタイトルに聖女とついた作品が流行したり、徐々に異世界恋愛の作品の数が増えていったなどの変化がありましたが、そのあたりの話については他の方に託そうと思います。
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