異世界転移の作品は大きく分けて二種類に分化していった
ここまでの説明で、異世界小説のジャンルのうち最もシンプルかつ歴史があるのは異世界転移であることがわかりました。
当時の作家はこの異世界転移をベースに自分の作品を描くことになるのですが、ただ単に流行りを真似をすれば良いというわけではありません。
読者としては同じような作品ばかりでは飽きてしまうし、作者としてもオリジナリティを出すために新しい要素を追加する必要があるからです。
それぞれの作品にはそれぞれの独自性がありますが、異世界転移に加えられた新たな要素として、特に流行した手法が2つあります。
それぞれについてみていきましょう。
【転生】
まず、1つ目は皆さんもお馴染みの転生です。
これまでは、現実世界の主人公がその体のままで異世界に転移していましたが、新しい命として生まれ直すという形で魂のみが異世界に転移するという一捻りが加えられました。
異世界転生が流行し始めたのは2010年代前半で、「転生したらスライムだった件」や「無職転生」など、異世界小説の代名詞とも言えるような作品があり、それぞれ連載が開始されたのが2013年と2012年です。
この転生という手法は、神様からチートスキルを付与される転生ボーナスや異世界にて前世の知識を少年/少女時代から発揮することで、主人公上げをする描写が多くみられます。
いわゆる初級魔法を繰り出しただけで周囲がその凄まじい威力に驚き、「まった俺何かやっちゃいました?」ってやるやつですね。
転生先を自由に選べるので独自性も出しやすく種類も豊富で非常に人気のジャンルとして発展しました。
【集団転移】
続いて、異世界転生に並び異世界転移を発展させた2つ目の手法は集団転移です。
これまで主人公たちは一人で異世界に転移していましたが、だんだんとクラスごと転移されるようになったり、他人の異世界召喚に巻き込まれたりなど、複数人で異世界に転移するようになります。
集団転移が流行り始めた時期も異世界転生と大体同じ時期の2010年代前半であり、代表作は「盾の勇者の成り上がり」、「ありふれた職業で世界最強」などが該当し、それぞれ2012年と2013年に連載が開始されます。
この集団転移のよくある作風としては、一緒に転移した人たち全員にチート能力が与えられるも、主人公のみが不遇の能力が与えられてしまい、なんやかんやあって別行動することになり、その過程でチート能力を手に入れたり実は不遇だと思われていた能力が一番最強だったりして、一緒に異世界に転移してきたメンバーを見返す、といった内容が多くとても人気を集めていました。
代表作として挙げた2作品も、このストーリー展開に該当しています。
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