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ブルジョワ評価貴族が今日も往く!!

作者: 翔という者

この作品は空野 奏多様主催「ブルジョワ評価企画」参加作品です。

 ここは、とある小説投稿サイトが形になった国、なろう王国!

 道行く人々は『作品』そのもの!


 素敵な服、可愛い服、キラキラの装飾を付けている人々は、それすなわち『人気小説』の証! この世界では、手に入れた『ポイント』が高ければ高いほど、自分を豪華に着飾ることができる!


 逆にポイントが少ない人々は、それはもう悲惨だ! 

 身に着ける服はボロ布一枚。家もない!


 こんな貧相な身なりでは、新しい読者も寄ってこない!

 高いポイントで着飾る人気小説たちは、さらにどんどん読者を呼び込む!

 富める者はさらに富み、貧しき者はさらに飢える!

 おお! これぞ、なろう王国の光と闇!


 さて、そんな秩序と混沌が入り混じるこの国の大通り。

 その大通りを悠々と闊歩する、この私は何者か?


 そう! 私こそは、ブルジョワ評価貴族!


 見よ、この胸に輝く、青き五つ星の勲章を!

 これこそ、これまでに数多くの作品に評価の星を与えてきた証!


 私が道を行けば、多くの人々が目を輝かせて振り返る。

 皆が私に読まれて、ポイントをもらうことを望んでいる。


 可愛らしいワンピースを着たお嬢さんが、私の元へと駆け寄ってくる。



こぐまさんのマリトッツォ「きぞくさま! どうぞわたしをよんでみて! そしてぽいんとくださいな!」



 おお、素敵な童話じゃないか。

 よしよし、星五つ!


 次にやって来たのは、どこにでもいそうな、しがない町娘。



町娘と王子様の、秘された恋愛譚「貴族様。もしよろしければ、私も読んでみてはくださらないでしょうか。なかなか読者に読んでもらえず、自信を失いかけているのです」



 ほう! これはとても情熱的な異世界恋愛モノだな!

 良いぞ! 星五つ!


 今度はなんと、サムライがやって来た。



異世界武客物語「貴族殿。拙者も読んでみてほしいでござる」



 れはまた、なんとも胸躍る歴史アクション小説(なり)

 良きかな! 星五つを取らすぞ!


 また別の作品がやって来る。ボロ布一枚を羽織った女の子だ。

 全くポイントを貰えていない作品。悪い言い方をすれば底辺層の者。



Future Days「貴族さま……。少しだけで良いのです、私を読んでみてくれませんか……? 誰も、私のことを読んでくれないのです……」



 おぉ、短く英文なタイトルのせいで全く読者に寄ってきてもらえず、それでもなお投稿を続ける不屈のSF恋愛小説よ。君のような恵まれない子を救うために、私は活動している。内容も素晴らしいじゃないか。星五つだ!


 最後にやって来たのは、どこにでもいそうな普通の少年。



外れスキルだと思っていた『時間停止』スキルが、実はとんでもないチートスキルだった!? ~見りゃ分かるだろ、逆になんで外れスキルだと思ったんだよ! それはそれとして、僕のことを使えない奴呼ばわりしてパーティを追放した元仲間たちにざまぁします。今更戻ってきてと言われても、時すでに遅し。まぁその時を僕が止めてるんですけどね。そして僕は新しい仲間の女の子たちとイチャイチャしてますのでもう知りません~「貴族さん! 僕も読んでください! 少しでも面白いと思ったら星5お願いします!」


 良いぞ、台詞と比べて名前だいめいがあまりにも長すぎる異世界ファンタジーの少年よ。私は雑食なのだ、名前で内容の良し悪しを判断はしない! 内容もなかなかどうして面白い! 星五つだ!



 ふぅ……。

 また、たくさんの作品に希望を与えてしまった……!


 ところで諸君。

 私が、読んだ作品には何でもかんでも星五つを付けているように見えるだろうが、実際その通りだ。しかしそれは、断じて適当に付けているのではない。


 私とて、面白い小説、面白くなかった小説の区別はある。

 内心では星二つくらいかなぁー、と思う小説もある。

 しかし、それはそれとしてだ。


 作者たちは、その作品を書くために、多かれ少なかれ時間を費やした。

 作者たちは、その作品を書くために、己が培ってきた知識を切り出した。

 作者たちは、その作品を書くために、それぞれの情熱を注ぎこんだ。


 作品とは、作者の時間と、知識と、情熱の結晶である!

 そんな素晴らしいものに、どうして半端な評価を付けられよう!


 私は、その作品に注がれた、作者の努力を評価している!

 ゆえに、私が付ける評価は、たいてい星五つばかりなのである!



 ただ……まぁ、内容に何らかの問題がありそうだったり、内容があまりにも私に合わない場合は、そっとその場を立ち去る。ブルジョワである以前に貴族だからね。出資先くらいはちゃんと選んでいるのだよキミぃ。


 出資先と言えば。

 あそこにいる作品ひとを見てほしい。

 そう、あのきらびやかなドレスを着ている彼女だ。


 彼女も、もともと誰にも読まれなかった底辺だった。

 しかし、私が入れたポイントをきっかけに、少しずつ他の読者にも注目され始めた。


 それから彼女の人気は爆発し、今ではすっかり人気小説というわけだ。私のポイントを元手に成り上がった作品を見るのは、その成り上がりの一助を担うことができたようで、なんとも心地良い!


 評価の星は、誰でも無数に持っている!

 諸君らも、今すぐ私のようにブルジョワ評価貴族活動を始めることができるぞ!


 救われない作品を救うのは、とても楽しくてやりがいがある!

 私の行動で、多くの作品ひとびとを幸せにできる!


 さぁ、この作品にも、あの作品にも、星五つを進呈だ!

 何者であろうと、この私の素晴らしい活動を止めることはできないのだー!




 ───────────────────────────────────

│⚠エラーが発生しました                        │

│スパム防止のため、短期間での複数作品への評価はご遠慮頂いております。大│

│変恐れ入りますが、今しばらくお待ちください。             │

│                               ☒閉じる│

│───────────────────────────────────│



 あっ、はい、ごめんなさい。

 そうですよね、スパム防止は大事ですもんね。

 わかりました、止めます、いったん待ちますとも、はい。



 あのー、もう再開しても大丈夫そうですか?

 あっ、まだでしたか、すみません、すみません。

 大人しく待っておきます、はい。




 ……もうそろそろ良いかな?



 ふははははは!!

 ブルジョワ評価貴族、活動再開!! である!!


 さぁ、今日もいざ往かん!

 この国に住まう人々(さくひん)に、幸せのきっかけを振りまくために!

皆様も、この作品であれ、他の作者様の作品であれ、気に入った作品にはどんどん評価を送ってあげましょう! 感想も書いてあげたらさらにお喜びいただけると思いますよ。それが作者様のやる気を引き出し、結果として防げるエタや打ち切りもあるかもしれません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こんにちわ、企画よりお邪魔しました。 エラーからの流れがもうツボで……ニマニマさせていただきました。 この貴族さんの考えにとても共感しました。 応援したい気持ちを星で現したって、いいんです…
[良い点] 初めまして。空野様の企画から参りました。 みなさんもおっしゃっていますが、私も声を出して笑いました。 心底面白かったです! [一言] この企画を見事に体現されている作品だと思いました。
[良い点] まさにブルジョワ貴族! しっかり自分の面白いを評価していてよかったです。作品の擬人化とは面白い発想だと思いました(笑わせていただきました)
感想一覧
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