夢のオヤツ
何か食べたいものある?
たまに、嫁からそんなことを聞かれる…
食べ物に対して好き嫌いがあるのに、マルチな俺…気が付けば無理難題を突きつけることもしばしばだったりする。
で、…数年前の話になるが、ょめの「何か食べたいものある」発言に、俺はとんでもない難題を提示してしまう。
あの時は確か親戚の叔母さんが亡くなって間もなくのころだった気がする。
そしてふと叔母さんが作ってくれた。
不思議なデザートを思い出していた。
正月やお盆に叔母さんの家で食べた、それを思い出し思わずリクエストしてしまったのだ。
透明なゼリーの上に豆腐の刻んだものが入ったゼリーがあって甘いヤツ!と
この料理叔母さんの家以外で見たことがなかったが、無性に食べたくなったのだ。
「はっ?」
と、ょめが言ったかどうだか記憶無いが、俺の朧気な記憶を元に料理の作成にとりかかる。
まずは、何処の探偵顔負けの事情聴取、をかなり強めの口調で俺に聞いてくる…
何故か何も悪いことをしているはず無いのに、犯人になった気分になり、小声になりながら答えた。
そして、俺の証言から材料や見た目を想像し、レシピ(仮定)をイラストつきで作成する。
俺はそれを見ながら、更に一言二言…
ょめはそれを聞いて更に料理を修正した。
出来上がったそれはかなり、見た目良かった、それなりに旨かったが、味わいが違い。
結果、俺は首を縦に降らなかった。
それから、二年ぐらいたったある日、ょめが手作りスイーツを作ったので食べて欲しいといってきた。
琥珀色の寒天の中に豆腐の砕けたものが閉じ込められていた。
甘しょっぱい寒天はみたらし団子のような味がした。
料理名を聞けば、長野県の郷土料理で(豆腐よせ)というらしい。
cook、パッとな先生で偶然見つけつて作ってくれたのだった。
でも、叔母さんの作ってくれたものはほぼ無色だった。
推測するに叔母さんなりに食べやすいようにアレンジをしたのではないかと思う。
叔母さんの出身は長野県ではなかった気がするが、どうして豆腐よせを作れたのか謎である。
今でも、気が向くと、ょめは豆腐よせを作ってくれる。
最近では、ょめの豆腐よせの味が美味しくて、叔母さんの豆腐よせの味を忘れてしまった。