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ヤンデレ彼女も異世界へ!  作者: 黄田 望
第二章 【 魔王と神 】
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第93話 現人神②


 「あらびと・・神?」


 ピースが名乗る現人神と言う名前は聞いた事がある。

 正樹の世界の歴史上でも、人でありながら神様のように崇められていた人物がいた。

 現人神と呼ばれる人物達は、普通ではありえない不思議な力を扱い、他人を救い、世界の救済へと導いたと言い伝えられている。

 しかし

 それはあくまでも伝承に過ぎない。

 人は神の力を扱う事は出来ないし、ましてやそんな現人神(存在)が本当にいたと証明できる物もない。

 だけど、もしも本当に、人間として存在する神様が存在したと言うのなら、きっと正樹が今、目にしている人物のように神々しく、不思議な幸福感を感じさせられる人だったのだろう。


 「はい。 私は現人神。 本来、この世界の神として崇められ、世界を見守り続ける管理者(神様)。 ですが、諸事情により神として誕生するよりも先に、人間としてこの世に生を受け、神へと昇格する事になりました。 そして―――」


 ピースは赤く染まった空に開いた穴を見上げる。

 そこにいる巨大な鬼はピースの存在に気付いたのか、大きな瞳をこちらへと睨みつけていた。


 「あれは神鬼(しんき)。 人の概念から生まれた鬼とは別種。 ()()()()()()()()()()()()()。 あれをこのまま放っておけば、世界が滅亡するのは時間の問題です」


 すると、ピースの身体全体から光の粒子のような物が浮かび上がってきた。


 「だから、私は現人神として神鬼を止めなければなりません。 世界の滅亡を防ぐ為に。 世界の平和(ピース)を守護する為に!」


 光の粒子は段々と増えていき、次第に無数の粒子は国全体へと飛び立った。

 正樹の周囲の物から、崩壊した建物はまるで時間が戻るかのように崩壊する以前の姿へと戻り、逃げ遅れていた人達が次々と目を覚まして起き上がる。

 赤く染まった空は輝く夜空を取り戻していき、残るは鬼門が開いている鬼の場所のみが残った。


 「だからアンナさん!」

 「は、はいッ!!」


 ありえない現象を目の辺りにして呆然としていたアンナが、突然と名前を呼ばれ思わず猫のように驚きながら返事をした。


 「貴女の(賢者の石)で、あの門を閉じてほしいんです!」

 「え? あ、あの異空間を? で、でもこれは・・・」

 

 賢者の石はあくまで、初代魔王が神と対立できるようにする為に作り上げた物。 

 物理攻撃を防ぐ事も出来ず、極めて珍しいチートスキルという訳でもない。


 「大丈夫です! あれは鬼門と言っても繋がっている空間は神道。 つまり、あれらは神の力の副産物みたいなものなんです! 貴女の力も当然、通用します!」

 

 ピースは崩壊した国と怪我、もしくは()()()()人達を救済しているのに必死の為、鬼門を閉じることまで手が回らないらしい。


 「そして正樹さん! グレンさん!!」

 「え? 僕?」

 「お、俺もか??」

 

 ここまで来るともはや何もする事がないのでは? と思っていた情けない男性組2人までも名前を呼ばれ、キョトンとした表情でピースを見る。


 「今のアンナさんではただ普通に鬼門を閉じる事はできません! ですので、貴方達2人には裏鬼門から神道へと入ってもらい()()()()()に、少しでも構いません! ほんの少しのダメージを与えてきてください!!」


 「「 ・・・・ハイ? 」」


 何を言っているんでしょうかこの神様は。

 という心の声の籠った声が漏れた。

 何?

 つまりは直接あの神獣と呼ばれる物体に近づいてぶっ飛ばして来いと?

 それはあまりにも無茶な要求ではないだろうか。

 ほら。

 となりのグレンさんも完全に硬直してしまったではないですか。


 「で、でもピースちゃん。 そもそも裏鬼門にはどうやって入ればいいんだい?」


 実はついさっき裏鬼門の入り口を見てきたばかりではあったが、今からそこに戻るとしてもまだ開いている確証もない。

 何故なら普通に猿達には裏鬼門に入らない宣言をしてきてしまったばかりだからだ。

 そうなると、そもそも鬼門という時空間の開け方さえ分からない僕達がどうこう出来るものではない。

 そのはず、なのだが・・・

 ピースは何故か僕の顔を見てフッと笑みを浮かべた。


 「それについてはご心配ございません。 貴方様が愛されている証拠に、道は切り開かれますから」

 「 ?? それってどういう―――」


 ピースの意味深な言葉は、すぐに理解できた。




 「      」



 


 バッと真上を見た。

 何故か分からないが、真上から声が聞こえた気がした。

 しかし、そこには勿論何もない。

 見えるのはピースが取り戻した輝く満天の星空。

 だけど分かる。

 声が聞こえる。

 馴染みある声が。

 いつも僕を名前を呼ぶ1人の少女のあの声が。


 正樹が見上げる真上に、突然と黒い靄のような穴が出現した。

 それはまるでブラックホールのように吸い込まれる様な形をしており、何処までも続く深淵の底を見ているかのような穴。

 だけど正樹はそれを見た事がある。

 というかついさっき見たばかりだ。

 

 「これは、裏鬼門」


 そして、そこから聞こえて来ていた声が、何故か裏鬼門の奥から聞こえていた。

 何も見えない深淵の穴。

 そんな穴から、突如として振り落ちるように姿を現したのは、正樹が探していて恋人。


 「正樹さん!!」


 由紀が裏鬼門から出てきた。

 

お世話になっております。

毎度、更新を遅らせながらも久しぶりの投稿でございます。

ここまでお付き合いしてくださっている皆々様には本当に頭があがりません。

ありがとうございます!


さて、この章も遂にようやく、ようやくクライマックスとなりました!

え?

まだ続くのかと?

・・・・・・・・・・・ハィ。

まだ、続きます・・・。


初心者ながらもどうにか皆様に僕が描きたい物語を伝えられるようにと考えながら書いております。

良ければどうか、次回のヤンデレ彼女も異世界へも読んで頂けたら幸いでございます。


次の投稿は、出来るだけ早く(遅くても次週)に投稿出来るように勝手ながらに頑張らせて頂いております!

よろしくお願い致します!


それでは、また次回に!

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