第7話 打倒神様
色々とあったが、アンナが2人の夫婦認定した事によりヤンデレである由紀が友人認定する事になった。
外も暗くなり夜となった為、アンナが準備していたシチューを食べて今夜は泊らせてもらう事にした。
「それで由紀ちゃん。 どうやってこの世界にやってきたの?」
ここでようやく正樹はずっと聞きたかった話題を切り出す。
「僕は前の世界で死んでしまって条件を果たす為にこの異世界に召喚されたわけだけど、まさか由紀ちゃんまで死んでしまったわけじゃないよね?」
ヤンデレである由紀ならやりかねないと考えていたがそれだけは違ってほしいと心の底から願っていた。
その過程が当たっていれば、僕は自分を許せなかったが由紀は満面の笑顔で首を横に振る。
「違うよ正樹さん! 私は死んでしまった貴方を蘇らせる為に黒魔術の勉強をしていたら、なんか変な黒いオーラを操れるようになったんです! すると同時に正樹さんが何処にいるのかも分かるようになったのでなんとなく空を飛んだり時空を超えたりしていたらここまで来ちゃったんです! これも私達が相思相愛の仲だから出来る奇跡ですね!」
凄く可愛い笑顔で語る由紀ではあったが、語っている内容があまりにも現実離れしており正樹は頭を抱えた。
正面の椅子に座って話を聞いていたアンナも「何言ってるのこの人」見たいな視線で由紀を見る。
「あっ、でもこの世界に来れたのは正樹さんを狙ってこの世界に飛ばしたあの女とその仲間と戦ったからだよ。 あの女絶対に正樹さんに好意を抱いてるもの。 ・・今度会ったら絶対に許さない」
最後は小さい声で呟いていたが、隣にいたのですべて聞こえていた。
「―ってちょっと待って。 由紀ちゃん。 まさか君、女神様と戦ったの?」
「あの女、女神っていうのね。 絶対に許さないから、あの女神!」
「女神と書いて女狐と呼ぶんじゃない」
まるでデートをしているカップルのようにふざけ合いを始めた2人だが、アンナは由紀の話を聞いて口を開けっ放しにして驚いていた。
「お、奥様? ちょっと質問いいですか?」
「え? な、なぁにアンちゃん。 もしかして私達がどうやって恋人同士になったか知りたい?」
「あっ、えっと、それも確かに知りたいんですけど、その前に女神と戦ったっていうのは・・?」
急に省略した名前で呼ばれ戸惑ったアンナであったが、なんとか話題を逸らすことなく続けることに成功する。
それから由紀は正樹の気配を追って向かった場所に1人の女性がいた事、その女性が正樹に惚れていると考え消そうとしたが、仲間を引き連れてきた為に劣勢となり、この世界に飛ばされた事を話した。
その内容を聞いてアンナは更に驚きを隠せない。
神1柱だけでも倒す事が出来なかった魔王アンナとは対極的に、由紀はたった1人で神の領域である天界で複数の神と戦い無傷。
まさに神の天敵と言っていい存在だと確信した。
「奥様ッ! どうか私と一緒に神を倒しましょう!!」
「オーッ!」
意気投合する2人を余所に、今度はその話についていけず頭を抱えるのは魔王を倒す為に女神にこの異世界へ召喚されてきた正樹だった。
「どうしよう・・魔王じゃなくて神様を倒す事になってる・・」
こうして魔王を倒す3人の旅が今、始まった。