第37話 千年前②
「なんで・・こんな山奥に・・」
魔術師は女王陛下の命令により不老不死になる為に占った。
本当は占った所で不老不死になる方法など見つかるはずがない事を魔術師は分かっていた。
もしもそんな事で不老不死になるヒントが見つかるのであればとっくの昔に誰かが占ってすでに不老不死になっているからだ。
鏡とは真実を映し出す道具だ。
つまり、鏡に映らないと言う事は不老不死になる方法など存在しないという事。
魔術師はとりあえず占いをして適当な事をでっち上げ無理難題を言う女王からどう逃げようかと考えていたのだが・・鏡にはとある森の山奥を映し出した。
森の森林に囲まれた山奥を進み続けると、そこには大国にも存在しない立派な教会が建っている映像が浮かび上がってきたのだ。
思わぬ事に言葉を失う魔術師だったが、興味津々に見ていた女王が背後からその映像を見ていた為、魔術師は捜索に向かう命令を下った。
そして今にあたる。
大国から一ヵ月も離れた場所にある森の山奥。
鏡に映しだされた映像は山奥にある立派な教会のみだった為、魔術師は占いながら教会までの道のりを知らべあげてようやく目的の教会が建つ森までやってきていた。
しかし
占いの通りに歩く山道はどれだけ進んでも教会などに辿りつく事がなく、後々同じ場所をグルグルと回っている事に気が付いた。
時刻はすでに夕暮れとなり、1時間もしない内に真っ暗になる。
魔術師はとりあえず占いで1晩過ごせそうな場所を占い移動する事にした。
「こんな場所に絶壁が・・」
空を覆う森の中を彷徨っていたせいで気が付かなかったのか、占いの通りに進んだ場所には何処まで続いているのか分からない巨大な絶壁が立ちはだかり、そこに1つの洞窟を発見した。
魔術師はとりあえずその洞窟で1晩過ごそうと魔術で火を起こして腰を下ろす。
「一体どこまで続いているんだ?」
入り口付近からでは奥が見えないほど続く洞窟をジッと眺める。
「・・・ッ! なんだ?!」
すると突然洞窟の奥から一点の光が輝き一瞬で魔術師の場所まで光が届く。
あまりの眩しさに目を瞑った魔術師が次に目を開けると、そこには両手を握って祈るような態勢を取る巨大な女神像が建つ建物の中に立っていた。
「ここは・・教会?」
内部の構造的に神を祈る教会の中のようだ。
信者が祈る為に椅子が並び何かを祈るような態勢の女神像を見渡しながら立ち尽くす。
「何故、私はこのような場所に。 確かにさっきまで洞窟の中にいたはず・・」
「あら? 誰かいるの?」
女神像が建つ隣の扉から女性の声が聞こえたかと思った同時に、扉が開かれる。
「あらあら? どちら様?」
扉から現れたのは真っ白な修道服を身に纏い、まるで雪のように煌めく白髪をなびかせる美しい女性だった。




