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【電子書籍化】異世界もふもふ幼稚園(無認可)  作者: 翡翠
第六章 もふもふ幼稚園
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3

Happy New Year!

皆様にとって素敵な年になりますように……☆°。⋆

「また明日ね。さよなら〜」

「「さよなら〜」」


 ララさんが迎えに来て、ナギくんとリリちゃんが笑顔で手を振りながら帰っていく。

 ゲイルくんとゾイルくんは、少し前にヤンさんが迎えに来て帰っていった。

 パタンと閉じられた玄関扉にカチャリと音を立てて施錠する。つい先ほどまでは賑やかだった室内も、今はシンと静まり返っていた。


「幼稚園一日目、無事終了〜っと」


 ボスっと音を立ててソファーに転がりながら、両手を上げて大きく伸びをする。

 

「んんん〜〜」


 背中がピンと伸びて気持ちがいい。

 可愛いもふもふちゃん達に癒されながらも、子ども達が怪我なく元気で楽しく過ごせるように気を張っていたので、肩に余計な力が入っていたのかバキバキに凝っているのが分かる。


「マッサージいきたい……」


 この世界にあるか分からないけど。

 今度ロイさんかリンデルさんに、マッサージ屋さんがあるかどうか聞いてみよう。

 そう思いながら、自分で自分の首のつけ根辺りを揉んでみる。

 しばらく揉んでいれば、多少は軽くなったような気がしないでもない。

 ま、多少でも楽になればそれでいいでしょ。

 里緒菜は小さく『ふぅ』と息を吐き出した。

 ーー子ども達だけの留守番が当たり前のこの世界であっても、多少はぐずったりするかな? なんて里緒菜の心配は杞憂だったと思わせるほどに、子ども達は始終楽しそうにしてくれていた。

 とはいえ、まだ初日が終わっただけで、今後もスムーズにいくとは限らない。

 体調が悪かったり、虫の居所が悪ければぐずったりすることも出てくるだろう。

 それでも、幼稚園に来ることが楽しいと思ってもらえるように、やれることは何でもやろうと思う。


「さて、晩御飯と明日のお弁当の仕込みをするとしましょうかね」

 

 ムックリと起き上がり、キッチンへ向かう。


「う〜ん、キャラ弁もいいけど明日はお子様ランチ風にしてみるのもいいかも! お子様ランチといえば、オムライスにハンバーグ、エビフライにミートソーススパゲッティとフライドポテトだよね。彩に緑がないから、ブロッコリーのグラタン風でも乗っけるか」


 お弁当の隙間によく入れていたブロッコリーのグラタン風。

 これはアルミカップに冷凍のブロッコリーを一つ入れて、マヨネーズとコーヒーミルクを混ぜたものをかけて、とろけるチーズを乗せてオーブントースターで焼いたものだ。

 簡単に出来て彩も良いので、とっても重宝していた。

 これはすぐに作れるので明日やるとして、今日はハンバーグとミートソースを作って、エビフライは揚げるだけの状態にしておけばいいだろう。

 晩ご飯はハンバーグでいいや。


「よし、始めるとしますか」


 ハンバーグ種をコネコネして今日の晩御飯用とランチに使う用を形成していく。

 一つのフライパンで一度に焼けるのは四つ。子供用に小さいものであれば八つ。

 フライパンを二つ出して片方は大人用、片方は子供用を焼いていく。

 多めに作って、余った分はジップロックに入れて冷凍しておくつもりだ。

 焼きあがったものをお皿に移し、二回目のハンバーグを焼こうとしたところでコンコンとノックの音がした。


「は〜い」


 急いで玄関へと向かうと、扉の外には隣のリンデルさんがたくさんの野菜を持って立っていた。


「どうしたんですか? その野菜」

「いやね、知り合いからたくさんお裾分けにってもらったんだよ。せっかくだから、リオナにもお裾分けと思ってね」

「うわぁ、新鮮なお野菜! ありがとうございます」

「喜んでもらえて何よりだよ」


 里緒菜に野菜を渡し「じゃあ」と背を向けようとしたリンデルさんに、慌てて声を掛ける。


「あ、リンデルさん。ちょっと待ってください! 私もお渡しするものがあるので、少しだけ待っててくださいね」


 一度扉を閉めて急いでキッチンへと向かう。

 大きなタッパを棚から取り出し、先ほど焼いたハンバーグをタッパに入れて、時間がないので中濃ソースをかけて蓋を閉める。

 それを持ってリンデルさんの元へ。


「これ、よかったら今日のおかずに皆さんで召し上がってください」


 リンデルさんはタッパを受け取ると、


「いいのかい? 何か気を使わせちまって、かえって悪いことしたみたいだねぇ」


 と眉尻を下げて申し訳なさそうに言った。


「とんでもない! こうやって声を掛けてもらって、私はとても嬉しかったです。ありがとうございます」

「こちらこそ、ありがとう。リオナの作るご飯は美味しいからねぇ」

「そう言って頂けると、作り甲斐があるというものですね」

「忙しいところお邪魔して悪かったね。それじゃあ頂いていくよ」

「いえ、こちらこそありがとうございました」


 扉を閉めて施錠する。


「あ、マッサージのこと聞くの忘れた。……また今度聞けばいいか」


 キッチンに足を向けながら一人ブツブツと呟いていれば、再度ノックの音がした。

 再び玄関へと戻り、ドアスコープを覗けばロイさんが立っている。


「ロイさん、お疲れ様〜」


 扉を開けてヘラッと笑ってそう言えば、里緒菜の頭をポンポンしながら、


「ああ、お疲れ様」


 と低音の耳に心地いい声で返される。

 ああ、ご褒美ありがとうございます!


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