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 パソコンを立ち上げ『絵本』『無料』で検索すると、ものすごい量の絵本が出てくる。


「うわぁ、めっちゃあるやん」


 怪しげな関西弁で呟く私。

【0〜1歳】【2〜3歳】【4〜5歳】【6歳〜】という項目があり、とりあえず一番使いそうな【4〜5歳】のところをクリックしてみた。

 ズラリと並んだ作品に感嘆の声が漏れる。

 人気順に並んでいたので、一番人気のものから読んでいく。

 思った以上にクオリティが高くてつい、


「こんなん無料で出しちゃっていいの?」


 と疑問が口から飛び出してしまう。

 目を通した中から五冊を選んで早速コピーしていく。

 異世界ゆえに著作権を気にしなくてもいいとはいえ、心の中で「ごめんなさい、ありがとう」と謝罪とお礼の言葉を述べつつ、ホチキスとマスキングテープを使って絵本を作る。

 紙がコピー用紙なのでペラッペラな絵本になってしまうが、そこはもうそういうものだと割り切ってしまえばいいだろう。

 汚れたり破れたりしても、再度コピーしてすぐに作り直せるから便利だ。

 とはいえ乱暴に扱っていいというわけではなく、物を大切にすることはしっかりと教えていきたいと思っている。

 絵本を作り終えて時計に目を向けると既に二十四時を過ぎており、日にちをまたいでしまっていた。


「ありゃ、もうこんな時間? ……そろそろ寝ようかな」


 パソコンの電源を落とし、電気を消して部屋を出る。

 3LDKのうち一部屋は寝室、一部屋は今までパソコンを使用していた書斎的な部屋、残る一部屋は今は使用していないリビングに面している和室。

 襖を開け放てばリビングと一体化するこの和室を、子ども達の教室として使おうと思っている。

 少しずつだけれど、ここで幼稚園を始めるための準備が進んでいくことは嬉しい。

 ご機嫌にスキップを踏むべく足を上げた瞬間に、ロイさんの『大人しくしてろ!』という声が聞こえたような気がしてハッとする。

 いけない、いけない。

 ゆっくりと足を下ろし、静かに寝室へと向かう。


「危なかった〜、スキップなんて踏んだら捻挫が悪化しちゃうところだったわ。また(・・)ロイさんに怒られちゃう」


 手を腰に当てて眉間に皺を寄せながら説教するロイさんを思い浮かべ、思わずクスリと笑ってしまう。

 ロイさんとは昨日知り合ったばかりだというのに、彼の説教する姿が簡単に浮かんでくるほど何度も説教される私って……と考えると、何だか可笑しくて。

 ベッドに潜り込んで目を瞑る。

 この日の夢は、もふもふな子ども達が里緒菜を取りあってギュッとしてくるという、何とも幸せなものだった。



◇◇◇



 あれから七日が過ぎ、右足首の捻挫もほぼ治ったと言えるほどに痛みがなくなっていた。

 窓から入る日差しは明るく、どうやら今日も天気は良いらしい。

 こういう天気の良い日にはお外でお弁当を食べるのもいいよね、なんて思い立って、いそいそとお弁当を作り出す。

 昨日カップケーキを焼いたので、それもデザートとして持っていこう。

 フンフンフ〜ンと鼻歌を歌いながら、肉巻きおにぎりと唐揚げとエビフライと玉子焼きといんげんの胡麻和えを重箱に詰めていく。

 少しだけ空いた隙間にハムとスライスチーズを重ねてくるっと巻いた薔薇を作って入れる。


「うん、揚げ物と肉多めだけど、いい感じじゃない」


 ちょっと張り切りすぎて一人分には多すぎる気がするが、余ったら持って帰ってきて晩御飯にでもすればいいだろう。

 あわよくばお隣さんのナギくんとリリちゃんも一緒に……なんて思ってはいるけどね。

 カップケーキも多めに入れて、準備はOK。

 地味目のワンピースにキャスケットで耳を隠して、重箱と敷物と麦茶の入った水筒その他諸々を入れたバッグを持って。

 ナギくんたち兄妹はいるかな〜なんて扉を開けて外に出てみれば、ちゃ〜んといましたよ!

 施錠して満面の笑みを浮かべながらナギくん達のもとへ向かう。


「こんにちは」


 挨拶すれば、ナギくんがニコニコと挨拶を返してくれる。

 リリちゃんも恥ずかしそうにモジモジとしつつも、小さな声で挨拶を返してくれた。

 う〜ん、めっちゃ可愛い。

 目線を合わせるために、二人の前でしゃがむ。


「お姉さんね、これから公園に行ってお弁当を食べようと思うんだけど、ナギくんとリリちゃんも一緒にどうかな?」

「公園でお弁当?」

「うん、お外で敷物敷いて、風を感じながら食べるお弁当って美味しいんだよ!」


 ナギくんは少しだけ迷いながらも、


「この前くれた『おにぎり』もある?」


 と聞いてくる。


「この前のとはちょっと違うけど、お肉を巻いたおにぎりは入ってるよ。あと唐揚げとエビフライと玉子焼きとかも」


 ナギくんとリリちゃんは瞳をキラキラさせて、でも遠慮してか「いいの?」なんて聞いてくるものだから。


「もちろん!」


 とこれ以上ない笑顔で力強く頷いてみせたのだった。

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