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【電子書籍化】異世界もふもふ幼稚園(無認可)  作者: 翡翠
第二章 もふもふ騎士さま
19/53

12

「それにしても、気持ち良いほどの食べっぷりでしたね~」


 私の倍以上あったはずの炒飯とスープをあっという間に完食してしまったロイさん。

 今は食後のデザートに、フルーツポンチを食べているところである。

 私は本日二度目のフルーツポンチだけど。


 スイカの器に入ったフルーツポンチをテーブルへと運んできた時には、ロイさんが驚いたように仰視していた。

 こちらの世界では、スイカやメロンなどの皮部分を器に使うことはないそうで、こんな使い方もあるのだと驚いたらしい。

 砂糖はとても高価で使用出来ないのでお菓子の種類は少なく、フルーツは皮を剥いてそのまま食べやすい大きさに切って食べるのが主流だそうだ。

 このような食べ方は初めてだと言って口にする。


「甘い。さっぱりとした甘さがクセになるな」


 そう言ってあっという間に器に盛った分を完食したので「おかわりは?」と聞けば「いいのか?」と目をキラキラさせて言うものだから。


「何なら全部食べちゃってもいいですよ」


 思わず満面の笑みで答える。

 デザートは昨日フルーツポンチと一緒に作ったメロンシャーベットがまだ残ってるし、喜んでくれているのが分かって私としても嬉しいので。

 ロイさんは遠慮がちにチラチラこちらを見ているので、声を出して笑いながら、スイカの器ごと彼の前へと置いてあげた。

 それからは気持ちの良いくらいの勢いで、フルーツポンチはロイさんの口の中へと吸い込まれるように量を減らし、あっという間にスイカの器が残るだけとなってしまいました。

 満足気なロイさんの顔を見て、再度可愛いと思ってしまった。

 ……基本オカンだけど。

 

◇◇◇


 ランチの後は特にすることもなくソファーへと席を移し、冷たい麦茶を飲みつつまったりとロイさんから日本でのことを聞かれるままに答えていく。

 日本(あちら)では「獣人」という存在は実在せず、お伽噺の中だけの存在であったと話せば、大きな切れ長の目を更に大きくして驚いていた。

 今回私の身に起こった異世界転移も数えきれないほどの物語があるけれど、その殆どが剣と魔法のファンタジーだと言えば、やはり目の前のオカンことロイさんは目をキラッキラさせて。

 この世界には魔法という言葉はないけれど、不思議な力を操る魔女のような存在がお伽噺に出てくるらしい。

 きっとその不思議な力=私達の世界で言うところの魔法なんだろうと思う。

 今度時間があったら、図書館で色々なお伽噺の本でも借りて読んでみよう。うん。

 ……って、あれ?

 なんか普通に言ってること理解出来(わか)るし話せるし、読み書きも普通に出来るもんだと思ってた、というより思い込んでたけど。

 あれ? ねえ、私、本当に読み書き出来るのん?


「ねえねえ、ロイさんや」


 何だか焦ってどこのばあ様? って言い方になってしまったけど。

 ロイさんがどうしたんだ? コイツ、っていう目で見ている気がするけど。

 そんなことはどうでもいい。


「ロイさんて、文字の読み書き出来る?」

「騎士になるには学園(高等学校)卒業が必須だからな。だから読み書きは普通に出来るが、いきなりどうしたんだ?」


 里緒菜はガバッと立ち上がってテーブルに手をついた瞬間、捻挫していた右足首に激痛が走り、思わず乙女らしからぬ(乙女じゃないけど)叫び声を上げていた。


「うぎゃあっ」


 里緒菜がボスッとソファーに勢いよく座り込むのと同時に、ロイが慌ててソファーから立ち上がり、里緒菜の足元へとやって来るとしゃがみこむ。


「何やってるんだ! あれだけ安静にって言っただろうがっ!」


 口調はキツいけれど、心配してくれているのが分かるから、大人しく「ごめんなさい」と謝罪する。


「謝らなくていいから、頼むから大人しくしておいてくれ。こんなじゃ心配で一人に出来な……あ、いや。とにかく、君はここから一歩も動くな!」


 ……心配してもらって何だけど、イケメンの上目遣い、激ヤバですっ!!

 思わず壊れた首降り人形の如く、了承の意味で頭をカクカク前後に揺らす。

 オカンだけど、ロイさんてやっぱり超~タイプのイケメンさんなんだよなぁ。

 右足首めっちゃ痛いけど、眼福です。ありがとう。

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