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【電子書籍化】異世界もふもふ幼稚園(無認可)  作者: 翡翠
第二章 もふもふ騎士さま
15/53

8

 ロイさんを玄関で見送り、キッチンへと戻る。

 彼はかなりの心配性なのか、何度も『絶対安静』『無理をするな』『大人しくしておけ』『施錠をしっかりするように』を口にして帰って行かれました。

 施錠以外はほぼ同じような内容な気がするんだけど。

 そんなに釘を刺すような言い方しなくても、ねぇ。

 さすがにそんな無理はしない……と思うんだよね、うん。

 忘れて動いちゃいそうになっても痛みで動きが止まるだろうし、きっと大丈夫な、はず?

 さて、気を取り直してフルーツポンチを作りますかね。

 冷蔵庫からフルーツを取り出し、まずはスイカの底面を安定するように薄く切り、上から1/3の高さでカット。中身をくり貫いて一口大に。

 他のフルーツも一口大にカットし、くり貫いたスイカの器に入れ、サイダーを注ぎ出来上がり。

 前は炭酸水と蜂蜜を混ぜたシロップを使用していたのだけれど、最近は簡単楽チンなサイダーを使うことが多い。

 今回はフルーツだけで作ったけれど、ゼリーや(白玉や)ナタデココを入れても美味しい(白玉は私が好きじゃないので入れないけどね)。

 料理もお菓子作りも好きだけど、実は私自身は結構な偏食の人だったりする。

 納豆やおくらなんかのネバネバ系はダメだし、苦いものも苦手。

 だからコーヒーも飲めないけど、コーヒー牛乳は好き。

 お菓子なんかだと、生クリームや白玉は食べられないわけではないけど好きではないので、友達からはカフェなどでの注文の仕方がおかしいとよく言われていた。

 例えば『あんみつの白玉抜き』とか、『チョコパフェの生クリームとバナナ抜き』(バナナも嫌い)とか。

 最早チョコパフェではなくなった、バナナのかわりに大量の重増し用コーンフレークの入ったパフェ擬きが登場した時には、周りの友達がお腹を抱えて笑っていたっけ。

 インスタに載せてる子もいたなぁ。

 クレープは生クリームとバナナの選択肢を抜くと惣菜系しか残らないので、いつもハムチーズやらツナマヨやらを食べていたのよね。

 懐かしいなぁ……。

 そんなに昔のことでもないはずなのに、少しだけ寂しくなってしまった。

 そんな気持ちを切り替えたくて。


「よし、メロンだメロン」


 わざとらしく大きな声で楽しそうに、傷んだメロンに手を伸ばした。

 皮と種を除いてぶつ切りにしたものを、少しずつミキサーに入れて撹拌する。

 砂糖と牛乳を加えて更に撹拌して、○ップロックに入れて一センチくらいの厚さにならして、冷凍庫へ。

 凍ったら超簡単、美味しいメロンシャーベットの出来上がり。

 食べる直前に好きな大きさにカット出来るのが、また良いんだよね。


「暫くはデザートに困らないね」


 前は結構な頻度で親友の明美が泊まりに来ていたので、甘いもの大好きな大食らいの彼女のために、色々なお菓子を作っていたけれど。

 ここには明美はいないので、確実にリンデルさんやナギくんとリリちゃん兄妹にお裾分けすることになるだろう。

 出来れば可愛いもふもふ兄妹を愛でながら一緒に食べたいなぁ。

 口から漏れる不気味な『うふふ』という私の笑い声は無視してキッチンを片付け、シャワーの準備をする。

 せっかく手当てしてもらった足首を濡らさないように、ラップでぐるぐる巻きにして、更にスーパーの袋の中に入れて縛る。


「ん、これなら大丈夫でしょ」


 パジャマ代わりのデカTと総ゴムの短パンを用意し、浴室へと向かう。

 『もちもち美肌・メイク落とし』で検索すると、一番上に広告で出てくる『○辺美奈代』も使っているというクレンジングを使ってメイクを落とす。

 使い始めたばかりなので、良いのか悪いのか正直よく分からない。

 今のところ肌荒れはしていないので、悪くはないのだろうけど。

 髪と体を洗って、浴室の掃除もササッとついでにやって出る。

 タオルでガシガシ頭を拭きながら冷蔵庫から冷えた麦茶を出して喉を潤した。

 親友の明美はそんな私を見ながら、いつも『見た目小動物なくせに、やたら男っぽい動きするよね』と笑っていたのを思い出して、何だか少し泣きたくなって。

 もう一杯グラスに麦茶をついで、そんな気持ちと一緒に一気に飲み干した。

 その日の夢は、いつものようにこの家で明美と二人、くだらない話をしながらバカみたいに笑っている夢だった。

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