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短編

いろは歌

作者: 神通百力

 むすめのしかけたわなに(娘の仕掛けた罠に)

 こよゐ おとうさんはまる(今宵 お父さん嵌る)

 ひふを ほねも ちぬられて(皮膚を 骨も 血塗られて) 

 せつゑ そろり やみへあいきえゆく(節江 そろり 闇へ愛消えゆく) 


 

 むすめはおかんにころされた(娘はおかんに殺された)

 しつけならぬゆゑ(躾ならぬゆえ)

 あね ひそをまき いもうとへのせほふる(姉 ヒ素を撒き 妹へ乗せ屠る)

 やみよりくちてゐわえ(闇より朽ちて祝え)


 

 のらねこはえいりあんにきせゐされ(野良猫はエイリアンに寄生され)

 ぬけみちゆくひとをおそうわなへ(抜け道行く人を襲う罠へ)

 よるむかゑて ふたつもやましす(夜迎えて 二つも山死す)

 ほめろ(褒めろ)

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