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変化

コンッと軽いノックの音が来訪者を告げる。

「もうすぐテストだな」

出会い頭の挨拶もなく用件を告げられる。

「そうだね。亮治はちゃんと勉強してるんだろうな?」

悟は亮治を部屋に招き入れ聞く。

「まあまあかな。退学にはならない程度かな。間壁はまたガリガリやってんだろ?」

「学生の本分は勉強だからね」

亮治はふーん、と興味なさそうに言う。

「間壁、もう幼馴染くんに振り回される心配はしなくていいからな」

悟は驚いて亮治を見る。

「何?どう言う事?」

話しがまるで読めず、亮治に聞く。

「前回赤点だったんだろ?学校中の噂だ。今回で挽回されたら退学しねえだろ?だから、俺が精神的に浮上出来ないようにしてやったのさ。これで安心して間壁に手を出せる」

悟の手を取り、手の甲にちゅっとキスを落としながら亮治は言う。

「精神的に?何をしたんだ」

悟は酷く狼狽えた。

「ま、色々とね」

亮治はそう言って不敵に笑んだ。

「余計な事はしないでくれよ」

「間壁が考える平凡な生活になるお手伝いをちょーっとばかりしただけだから」

「それが余計なんだけど?」

悟が睨むと、亮治は恐ーなあ、もう、と言いながら笑う。

「邪魔者がいなくなってからゆっくりメインを戴くのさ」

そう言って悟の唇を翻弄し始めた。

悟は慣れてしまったそれを受け入れながら、珠緒の事を考えていた。






★★★★★★★★★★★


案外簡単だったな、と亮治は考えながら授業に耳を傾けている。

日差しが段々ときつくなる毎日。

窓の外に茂る木々は青々と益々元気だ。

予定通り、珠緒を順調に蹴落としてはいる。一つだけ予定外はあった。

悟が珠緒に協力している事だ。

まあ、今回がダメでも、あの様子ならいずれ退学するしかないだろうと亮治は考えていた。

多少やり過ぎたかなとは思ったが、相手は筋金入りの変態だ。半端な追い込みは前回で懲りたのだ。

佐古田からの依頼で断れなかったという割には、悟は少し楽しげな背中で毎日図書室へと通っている。

今すぐにでも引き留めて抱きしめたい衝動を抑えるのに苦労する羽目になるなんて、と亮治は窓の外を見ながらため息を吐いた。


そのタイミングでチャイムが鳴り、亮治は思考を止める。

そして、悟の席へと向かった。

「間壁」

声を掛けると悟は亮治に柔らかく笑い掛ける。

「なんだい?」

なんでも、と言いながら亮治は悟の黒髪をひと撫でする。

「気味が悪いなあ。言いたい事があるなら言いなよ」

亮治はくすりと笑う。

「好きだよ」

呟いて自分の重症加減に頭を抱えるのだった。





「綾瀬」

同室の綾瀬に亮治は声を掛けた。

期末試験が近く、勉強をしていた綾瀬はノートから目を上げる。

「なんだよ?もうケツは貸さねえぞ。エミちゃん泣かせたくねえからな」

亮治は驚いた。

「えっ?エミちゃんとまだ続いてたのかよ。あの子普通にしてれば可愛いんだけど、ちょっとアレだから彼氏が出来ねえって言ってたのにな」

綾瀬は得意げに笑う。

「これが運命ってやつよ。今となってはお前に感謝だな」

この乙女ゴリラが、と言いながら亮治は聞く。

「テスト明けに間壁をデートに誘おうと思ってるんだけど、週末下見がてら遊びに行かね?」

綾瀬は首を振る。

「テスト前だしよお。エミちゃんに殺されちまうよ。彼女嫉妬深いんだ」

鼻をこすりながら照れ笑いするゴリラ。

「俺となら怒んねえだろ?男同士なんだし」

いやいや、と綾瀬は首を振る。

「お前が一番ヤベーよ。エミちゃん知ってるのよ?俺らの事。俺、エミちゃん不安にさせたくねえからよ」

「むしろ喜ぶんじゃねーの?オシオキ出来るから」

綾瀬は一瞬考えて、それもそうかと頷く。

綾瀬はエミちゃんにLINEをして用件を伝える。

間も無く、返信が来る。

「エミちゃんも一緒に行くって」

亮治は了解すると綾瀬は嬉しそうに返信を打ちだした。





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