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公爵令嬢の取り巻きA  作者: 孤子
第一章 幼少期
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お茶会の報告

 メルネアとルディウス王子とのお茶会を終えた翌日、エルーナはエドワルドに執務室へ呼び出された。二人とのお茶会でどんな話をしたのかを報告させるためだ。


 子供たちの間での話し合いでも、聞く者が聞けば重要な情報が行きかっている場合があるため、お茶会などがあった場合は必ず報告することになる。食事の席で報告することも多いが、今回は早めに情報が欲しいということで、朝食をとる前の朝早くに呼び出された。


 エルーナは側近を連れて執務室に訪れ、扉をアルテに開けてもらい、中に入る。


 「ああ、待っていたぞ。そこに掛けなさい。」


 エドワルドに勧められてソファーに座ると、エドワルドも執務椅子から立ってエルーナの対面のソファーに座る。


 「朝早くから呼び出してすまない。公爵令嬢と王子という二人とのお茶会というのはなかなかあるものではないからな。どんな話が出るのか想像がつきにくい分、早めに情報が欲しいのだ。」


 当主の座についているエドワルドは本業が騎士であるものの、当主としての執務もこなさなくてはならない関係上、どうしても書類仕事や会議に出席するなどの文官のような仕事も行わなくてはならない。


 ベッセル家は子爵であり、本来は王族や公爵家などと直接付き合う事はほとんどないはずなのだが、エルーナとメルネアはまだ言葉もおぼつかないくらいからの付き合いであり、ルディウス王子はメルネアと付き合っている以上避けては通れない相手であり、今後もこういう私的なやりとりも多くなってくる。


 それは当然子供同士の付き合いだけではなく、家同士の付き合いも濃くなるということである。エルーナに引っ張られて否が応でも対応せざるをえなくなるからこそ、エドワルドは早めに情報を仕入れて考えたいのだ。


 「わかっています。予めどのような話が上がったのか報告するために、こちらも準備していたので問題ありません。テレサ。」


 エルーナがテレサに指示を出し、報告を始めさせる。エルーナは前回訪れた時のように散らかっていない綺麗な執務室を目だけで見まわし、最後にエドワルドの顔色を窺う。


 (疲れは表に出てないみたい。注意は聞き入れえてもらえたみたいだね。)


 十分観察を終えたころにはテレサの報告も終わり、エドワルドが報告を聞いて考えるように一度目を伏せた。


 「ふむ。何気ない話題の中にもいくつか気になるものはあるが、メルネア様が仰った横領事件に関する話は調べてみる必要があるな。」


 エドワルドは自分の側近に目配せする。するとその側近が一つ頷いて執務室を後にした。恐らく何かの予定を入れたのだろう。側近が出て行ったということは、面会予約か、移動の準備かのどちらかだ。


 「ただ、私が調べるまでもなく、公爵家が関わっているのなら、既に十分な調べがついているはずだ。」


 「メルネア様はただの噂と仰っていましたが、話している時に顔はとてもそのようには見えませんでした。何か確信があるのではないでしょうか。」


 その場合、メルネアだけではなく、ダスクウェル公爵もその情報を握っていることになる。にもかかわらず、当の商人を貴族に引き立てることに表立って反対をしていないということは、何か考えがあってのものなのか。


 いずれにせよ、エドワルドもエルーナも公爵家以上に調べることは難しいだろうという結論がつき、話しはメルネアと王子の様子についてに移った。


 「メルネア様はルディウス王子にご執心なのですが、ルディウス王子はそれに気づいている様子は見えませんでした。」


 「王子も優秀だと聞くし、表には出ていなくとも気付いている可能性はある。問題はメルネア様が誰から見てもわかるほど態度に出てしまっていることだろう。」


 当然ではあるが、公爵家の令嬢であるメルネアも、ルディウス王子と同じくらい厳しい教育を受けている。メルネア自身も言っていたが、表情や態度に出てしまうのは貴族としては良くない振る舞いである。エルーナとしては好きな人の前なのだから仕方ないとは思うものの、貴族の常識に照らし合わせるとそうも言っていられない。


 「今はまだ許される範囲かもしれませんが、このままメルネア様の想いが強くなれば、問題になるでしょう。」


 エルーナの言葉にエドワルドが同意し、苦い笑みを浮かべた。


 「エルーナはこれからどんどん二人との距離が近くなるだろう。メルネア様を支えてほしい。ダスクウェル公爵からも頼まれていることだが、それだけでなく、メルネア様はお優しい方だからな。」


 エドワルドとしては、エルーナが大変な時に心配してくれたメルネアの事をとてもありがたく思っている。公爵家の者が子爵家の者を心配するというのはあまりないので、余計にそう思うのだろう。


 「これからまた貴族学校に入り、寮での生活となれば、これまで以上にお傍にいる時間が長くなるでしょう。メルネア様の支えとなれるように、努めたいと思います。」


 エルーナが他にも伝えておいた方がいいことがなかったか思い出そうとすると、お茶会を終えて帰宅する際の事を思い出した。


 「そういえば、帰りの時にダスクウェル公爵が、近々行われる建国祭でメルネア様と行動してくれないかとお願いされました。」


 「建国祭?ああ、確かに2週間後にあるな。だが、毎年最後まで祭りに参加することができていなかったと思うが、体調はいいのか?」


 エルーナの体は丈夫とは言えず、平民の熱気が貴族街にまで届くような祭りは、時期などに関わらず体力を消耗させて、最後までもった試しがなかった。


 ただ、今回ばかりは状況が違う。舩がエルーナとして生きてから、エルーナの体とは思えない程に健康になっている。少々無理をしても大丈夫なようで、同年代の子供より少しひ弱かなと思う程度である。


 「恐らく大丈夫かと。最近では調子の悪くなったことはありませんし、体力もついてきましたから。」


 「そうか。ダスクウェル公爵には?」


 「伝えました。ダスクウェル公爵もそこは気になったようで。その上でメルネア様とご一緒すると伝えました。」


 「そうか。くれぐれも気を付けていくといい。テレサ、よく見ていてくれ。」


 エドワルドはエルーナの後ろに控えている3人の側近を見回して、テレサに目を向けた。


 「王宮でのことは国王の考えもあって、対策が立てられていた。私たちには知らされていなかったことだが。だが、市街となれば多くの人が行きかっているぶん、誰にどのような思惑があるのか読み取ることが難しい。護衛は必ず2人以上つけていきなさい。」


 「かしこまりました。それでは、アレスとミーシャをお借りしても?」


 「ああ。二人には私から伝えておこう。」


 話が終わると朝食の時間となり、全員が執務室から食堂へと向かった。


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