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公爵令嬢の取り巻きA  作者: 孤子
第一章 幼少期
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贈り物 後編

 お披露目もいよいよ終盤に差し掛かり、人々の行き来が少なくなってきたところを見計らって、国王が王子と共に会場の奥側に設置されたひな壇の壇上に上がる。


 国王は堂々とした足取りで、王子は少し緊張しているようで、感情を押し込んでいるのがわかるような作り笑顔を見せながら階段を上がり、それを見た人々は皆黙って二人に注目する。


 二人が動きを止めてゆっくりと全体を見回すと、国王が話し始めた。


 「この度のお披露目は予定通り、恙なくこうして行うことができた。これからも我が国のため、その忠誠心を我に捧げてほしく思う。そしてこれから王族としての道を歩むことになるであろうルディウスの事も、支えてほしいと願っている。」


 それ程大きな声ではなかったにもかかわらず、国王の声は良く通る。威厳に満ちた語りはなおも続く。


 「ルディウスが貴族社会に出てきたことにより、良きにしろ悪しきにしろ世の中は動くことになるだろう。影響はこの国だけにとどまらず、国を超えて波立ことだろう。まだ弱く知恵の浅い息子ではあるが、皆、よろしく頼む。」


 国王が顎を引くようにして頭を下げる。それを見た大人たちはすぐさま膝をつき首を垂れて臣下の礼をとり、大人たちの動きをまねて子供たちも共に頭を下げる。


 しばらくしてからまた国王が口を開いた。今度は隣に立つルディウス王子に相対して。


 「ルディウス。これから其方はこの国の貴族として、真に王子として世に出ることとなる。幼くとも、知恵が足りずとも、ひ弱であろうと、其方は一人の貴族として評価されることとなる。子供であることを言い訳にすることは許されない。故に、成人までの間も、成人と同じ行動を求められるだろう。」


 そこで言葉を区切り、国王は壇の隅に置かれた小さな机の上に置かれていた細長い箱を手に取った。


 「親であろうと私が直接其方を助けることはできない。だが、其方の未来が其方自身にとって輝かしいものとなるように願っている。これはその証である。」


 黒色の箱を開けてから、王子に中のものが見えるように傾けてから、箱ごと王子に贈る。王子は中身をみて確認してから、片膝をついて贈り物を押し戴いた。


 「ありがたく、頂戴いたします。この贈り物に恥じぬ行いをすることを、ここに誓います。」


 こうして国王から王子への贈り物が終わり、一応の会の終わりとなった。


 一応というのは、壇から降りた王子に祝いの言葉を贈りつつ、持参した贈り物を渡す時間が設けられるため、すぐにお開きとなるわけではないからだ。


 ちなみに、贈り物を持参していない者も当然おり、その場合は軽く祝いの言葉を述べた後は早めに帰ることもできる。ただ、余程王子に近づきたくない者や、嫌われている者でもない限り、今回のお披露目では贈り物を持参している。


 贈る順番は基本的に貴族階級の順番で家ごとに渡す。子供が個人的に持参している場合は家の贈り物と一緒に出すことになる。よって、子爵家であるベッセル家は少し待たされる形となる。


 長蛇の列をなして私に行くわけでもなく、周りを見てタイミングを見図りつつ動くため、エルーナは家族が集まっている場所に向かう。


 王子が国王と共に壇から降りると、真っ先に動いたのはダスクウェル公爵家だった。


 「おめでとうございます、ルディウス王子。」


 その言葉を聞いてエルーナは家族の下の向かいながら横目で様子を窺う。


 互いに言葉を交わし、ダスクウェル公爵家からの贈り物を渡し、それを近くに侍る侍女に持たせてから、後ろに控えていたメルネアが一歩前に出た。


 「ルディウス様。私からはこれを。」


 メルネアが渡したのは国王が渡したのよりも少し大きな細長い箱だった。中を見てルディウス王子は微笑みながら受け取る。大きさからしてやはり魔法を扱う時の補助をする短杖型の魔術具だろう。


 表向きはまだ二人は婚約していないはずで、本来ならば送ってはならない物であるのだが、受け取ったところを見た国王は何も言わずにその様子を見届けている。つまり内々に既に話がまとまっており、表沙汰になっても問題ないほど進んでいるということなのだろう。


 二人の様子を見た他の人々の反応は様々だった。驚く者から当然という顔をしている者。声には出さないものの、皆の頭の中では多くの考えが巡っているように見えた。


 ただ、エルーナとしてはそのような周りの考えよりも、メルネアが無事に魔術具を贈れたことに対して、少なからず嬉しく思っていた。


 (あんなに嬉しそうにしてるんだもん。二人の仲がこのままうまくいってくれればいいな。)


 能天気にそんな事を考えていたエルーナは、その後少し待たされてから火を灯す魔術具を渡してやることを済ませ、「帰るまでが遠足」を心で唱えながら帰路についたのだった。


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