僕の病気について
武田タケヒトと申します!なにぶん初めての投稿なので、見苦しい点も多々あると思いますが、これから精進していきますので、暖かく見守っていただければ、光栄です!今回は物語のさわりだけ書きたいと思います。
1 章 僕と病気のことについて
僕は、病気なのかもしれない、いや、「かもしれない」という表現は違う、僕は病におかされている、間違えない、ただその病気は約七十億人が生き、毎秒毎秒数えたくもないほどの命が落ちるこの丸く(厳密には完璧な丸ではないらしい)青い星において僕だけが持つ病だろう。
ちなみにこの病気によって命を落とすことはない、確実にない、断言しよう。十人の人間にこの病気のことを話したなら、十人中九人は「コイツは頭がおかしい」と声を大にして僕を迫害するだろう、十人中一人は多分話も聞いてはくれないだろう、だがその方が賢明だ、こんな頭のおかしい奴にくれてやる時間など多忙な人には1分たりともない。多忙でなくとも...とまぁこんな感じだから。
まずはこの病気の説明をしておくべきだ。
◇◆◇◆◇◆
にわかには信じがたいことかもしれないが、僕の患っている病は「嫉妬」だ、いや、こんな言葉の足りない説明はやめよう。流石にこの年齢になって中二なにがしを患ったとまわりに思われるのは勘弁だ、僕は多分この世の誰よりも嫉妬深い、ひとを羨み、妬まずにはいきていけないのだ、もう一度念を押しておく、中二なにがしではない。 初めてそれが存在を自分の中にあらわしたのは、保育園の年少だった。
「○○ちゃんすごーい!」
名前も思い出せない少女は教室全体に良く通る声でこれまた名前も顔も思い出せない少女を褒め倒していた。その子はひらがな、カタカナ、アルファベットをすでに書けた、いずれ書けるようになるものだ、少しは羨んだりするものもいただろうが彼女を褒め、讃える者がほとんどであった、彼女はまるで英雄のようで、
それを目にした僕はトラックに体をくくりつけられ振り回されるような錯覚に襲われその場で嘔吐した。
教室に悲鳴が上がり水をぶっかけられたアリの大群のように園児は逃げ惑った。
そんなことはどうでもよかった、嘔吐しながらも僕の異様な姿に怯える英雄の姿を僕は。
しっかりと睨みつけた、羨望と恨みの入り混じった目で、羨望と恨みの和は多分嫉妬だ。
それからも嫉妬という病魔が僕を離してくれることはなかった。
僕よりも勉強のできる生徒
僕より足の速い生徒
僕より身長の高い生徒
僕より優れたものを持つ人間
数えきれないほどいた、当たり前だ、その全てに嫉妬した。最初は何度も嘔吐した、人のいない場所では何度も発狂した。仕方がなかった、そうしてないと辛かった。が、高学年になると慣れた、勘違いしないでほしいのは、「慣れる」ことと「辛くない」ということはイコールでは結ばれないのだ。我慢できるだけなんだ。だが中学に入る頃になると顔にも出なくなり生活もグッと楽になった、なにせ顔に出ていれば、保健室に強制送還だ、保健室は嫌いではないが、僕を保健室に送還するのは保健委員だ、二人きりだ、大勢でいれば一人に注目することはあまりないので誰かを羨むこともないが、二人きりとなればソイツだけに目がいく、つまり体調は悪化する、それが教室から保健室までの百数メートルであろうと関係はない。
春からは都内の公立高校に通う、出来るだけ人と関わらない高校生活を送り、絶対に人と関わらない進路を選ぶ。
そのつもりだった、そうはならなかった。
2章 人間になろう!
四月の初め、降り続いた雨は桜を全て散らした
「13番、木梨 秋人」
「......はい」
入学当日から嘔吐はマズイ、誰だって知ってる。絶対にヘマはしないようにしっかりと間をとって返事をした。それからは一切顔を上げず、用務員が磨いたであろうと思われるピカピカの机の表面に映る自分をみて時間を潰した、決してナルシス何とかなわけではない。入学初日は問題なく終了した。
「ただいま...」
誰もいない自宅に気の抜けた挨拶をした。両親は共働きだ、幸いなことに両親にはあまり嫉妬という感情を持つことはない、もちろんゼロという訳ではない、学校よりもずっと楽なだけだ。僕は二階にある自室に入り本を読む、本には嫉妬しない、至福の時間だ。
「嵐の前の静けさ」というものだったのだろうか?
◇◆◇◆◇◆
「ねーねーねー」
平穏は突如破られた。最悪の出来事であった。
「ねーって!」
今、一人の少女は一生懸命に寝た(フリ)僕に話しかけている。彼女に負けじと僕も一生懸命考えた。
1,知り合いである可能性
A,ありえない、同じ中学の奴はもちろん、小学校、保育園にさかのぼっても知り合いはいない、次!
2,僕に気がある可能性
A,ない。次!
3,金
A,うん、多分これが正か
「松山中の子だよね?」
ん?何故僕の出身中学がコイツの口から?財布から取りあえず五千円札を取り出していた僕は凍りついた。
(これ以上の狸寝入りは不可能かな)
三回 、相手に気取られないように深呼吸をして、
僕は起き上がった、目線は机の上だ。
「なんで、知ってるの?」
久しぶりの人間との会話に途切れ途切れになりながら
も言葉を絞り出した。
「お!起きたー!」
目の前の女子は心底嬉しそうに声をあげ僕のブレザーの袖を掴み、屋上まで拉致した。
◇◆◇◆◇◆
ヤバイ女のヤバイ行動のおかげで道中4回は吐きかけた、二回、せり上がってきた汚物を飲み込んだ、奇跡だ。自分の成長に感動している時間などない。
「ハァハァ...ふぅう」
ヤバイ女は一息ついてから喋り始めた。
「秋人君だよね!ねーねーねー」
ヤバすぎる女が自分の名前を知っていることに底なしの恐怖を感じて再び財布から五千円札を取り出す。
また、どんなヤツであろうと姿を見てしまうとこの後の授業を受けることができないので早々とコイツを視界からはずそうとするが、彼女は恐らく女子のなかでも相当身長が低い部類なんだろう、182cmの僕の視界にはほぼ入ってこない。
「はぁ...そっすね」
「ね!ね!ね!私のこと覚えてる〜?」
ちなみに僕の病の症状は視覚から取り入れられる、情報に基づいて現れる、だから相手のことを見なければ最低限のコミュニケーションはとれる、話をしている時にずっとどこかを見ているヤツと仲良くなりたい物好きはいない、少なくとも僕の人生にはあらわれていない。
「いいえ」
「え…?」
楽しそうだった彼女の声色が途端に悲しい色に変わった。
「まあ、いっかー!」
また、楽しげな色に戻った
「木梨秋人 一年四組 15歳 182cm AB型 趣味は読書だったよね?好きな作家は太宰治!」
驚いた、誰とも関わりを持ってはこなかった、そんな僕の特徴を一つも間違えず高らかに言い当てた彼女の姿を目にしてしまう。綺麗な瞳、華奢な体、華やかな目鼻立ち、まぁ美少女であった、興味はない、ただ、死ぬほど嫉妬した、次の瞬間には嘔吐していた。彼女がどんな顔をしていようが知らない。不覚だ、小三以来の嘔吐、人生で最大級の嫉妬、無論彼女に非はない、彼女を睨みつける。
「ま…の、..やめ...」
(何を言ってるんだこのクソ女!)
何もしていない彼女と彼女が絞り出した言葉に最大限の罵詈雑言を浴びせ、意識を失った。が、途端彼女の顔色がまたカメレオンの様に変わり。
「さてさて...コイツをどうやって人間にしてやろうかしらん?」
心底楽しそうにそう言った。
最後まで読んでくださり本当にありがとうございます!二話では秋人と少女の絡みをもっと書いていきたいと思っています!




