今も昔も子どもはさいきょー
なんか段々残念な子になってる気が
地面が近い。お腹が空き過ぎて意識が無くなって地面にへたれてた私の目の前に誰かの気配が屈んで何かを振っている気がする。食べ物だ。そんな気がして本能的に“それ”に噛み付いてた。
この噛んだ感触と味はお肉だー。わーい。口の中に広がる生のお肉の味。“調理”とかされてないお肉の味しかしないけど、なんかおいしー。思わず両手で持ってむしゃむしゃ食べちゃったよ。“獣人”だからかな?“生”でもあんまし気にならない。案外平気で食べれるよー。新鮮なお肉ってもっと血まみれで筋とかある物かと思ってた。・・・あ、今気が付いたけど、これって“血抜き”とか“筋”切ったりとかの最低限の下処理はされてるのか。道理で食べやすいと思った。さっきの“野犬”のお肉?だよね。これ。“野犬”やっぱり食べれるんだー。貰えるんなら有難く頂いちゃおう。もぐもぐ。
夢中で貰った分食べてたけど、ふと気が付いたら目の前で“旅人”がこっちの食べる勢いに押されたのか軽く尻餅ついてた。・・・どう見ても“人”ですよね?なんか口が笑いつつも片方引き攣ってるみたいにみえるけど。このお肉、さっきのお礼かなにかな?それともお腹が鳴ってるの聞いておすそ分けしてくれたの?私は結局何もしてないからおすそ分けの方かなー。
あ。もう無くなっちゃう。ごっくん。ごちそーさまですた。
「☆メ〆#~」ん。あれ。なんかあの“人”喋ってるけど意味分かんない。そっかー“転生”したからこの“世界”の言葉は私、分かんないんだね。残念。“特典”で“翻訳”とか貰えたりしてないんだ。ちょっとショック。思わず小首を傾げて私に告げただろう事についてちょっと考えてみる。何か教えてくれてるのかな?そう思ってたら片手を上げてその“人”が今来ただろう方向へと向けた。思わずその指先を見詰めてから指差されてるだろう方へと首を巡らせて見せる。あっちを見ろっての???あ、そっちへ行けばいい。とでも言ってるのかな?と再度小首を傾げつつ指された方を見透かしてみる。
正解だったみたい。よっこらせと立ち上がるとポンポンとまるで“子ども”にやるみたいに頭叩いてその“人”は今来ただろう方向とは反対方向へと歩みだした。むぅ。指差した方向へ連れてってまではしてくれないのか。・・・しょうがない。お腹はちょっと膨れた程度にもならないけど、そっちに行けば何かにありつけるかも知れない。“杖”を拾うとヨタヨタと指さされた方向へと歩みだした。さらなる出会いを求めて。
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何時の時代も“子ども”ってのは元気だ。今日もまた野原で駆け回っては“草”を引っこ抜いたり小さな“虫”を追っかけまわしたり。“魔物”とやらが普通にいる“世界”だからか、見張り役の大人も居る様だが、各々が何か知らんその手や足を使ってフルに動き回っている。 がんばれ若者達よ。世界は・・・ん。あれ?そういえばさ。目の前が開けて対象物となるうる物がこう沢山目の前に入ってくると自然と分かってくるものなんだけどさ。・・・なんか意外と目線が低く感じるんだよね。私。森の中じゃ気が付かなったけんどね。今更だけどさ、この世界の“子ども”や"人”がおっきいんじゃないよね?
見た目“人の子”に混じって“獣人の子”とか平然と混じってるみたいなんだけどあの子らの背の高さってば、どう考えても今の私と同じ位じゃん。そういやさっきの“旅人”さんも結構おっきっかった気がする・・・“野犬”は私よりちょい小さめな気がしたけど。
まさか。あの“人”の頭ポンポンのっ意味って!?ひょっとしなくても・・・
私マジで“子ども”だと思われてたのかーーーーーーー!?!?!?
チーン。どっかで残念な音が残酷にも鳴り響いた気がして眩暈がした。ぐぐぅぅ。またお腹が鳴いてる。
子どもの一人がこっちに気が付いて“仲間”に教えてるのが見えた。音が聞こえたのかな・・・。
またもやボーっとしてくる意識を何とか持たせようとしつつジト目で彼らを見つめてやったわ。
ようやく遭えた人の営み・・・。