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ケモノライフ!キツネさんは転生者  作者: きつね耳モフモフ
7/67

リリースは基本。ですよね

唐突に現れたら困りますよね

 その“旅人”は目の前の状況に内心戸惑っていた。隣町へと旅立ったばかりとはいえ、もはや“野犬”の群れごときに遅れを取る程度の腕前ではないと自分では思っていてたし、“横殴り”される程の相手だとは思っていなかったからだ。しかも何故かその“横殴り”して来た相手からは攻撃の内にも入らないだろう“打撃”を頭に喰らっている。ポコンと音にもならない程度だったから傷にもなってないだろう。だが常識的に考えれば“村”や“町”の外に出る様な者ならば余程の事でもなければ“横殴り”なんぞしないだろう。

そう思いつつ“乱入者”に抗議の声を上げようとして頭をなでつつ目をそちらに向けた時に気が付いた。

 『“子ども”か?』思わず呟いた。どこかから来たのかまでは不明だがその子は頭に付いてる耳から“獣人”だとすぐに分かる。粗末な服っぽい物を着てるし尻尾も“猫”だか“犬”っぽい尻尾が腰の辺りから生えているのが見て取れた。少なくとも“魔物”ではないが、所謂“初心者”の類いにしては幼すぎる。

 “子ども”なら“横殴り”もしかたないか・・・。“ルール”はまだよく知らないだろうし。装備もしょぼすぎるだろ。一応本人なりにこちらを守ろうとしてくれているのか“野犬”と対峙はしてくれてはいるが、手に持ってる木の枝っぽいシロモノは“旅人”が持ってる護身用のナイフよりも明らかに攻撃力は低そうだった。そういえば乱入して来た時構えも何もなってなかったし、あるべき“声掛け”も無かった。今も目の前でその子の攻撃らしきモノは“野犬”に簡単に避けられてるし傍目にも“訓練”すら受けてないのは明白だ。オマケにお腹を空かせているのか『ぐぎゅるるる。』とかいうあからさまな音がその子から聞こえて来ているのだ。

        ・・・つい残念なモノを見る目でその子を見てしまった。

 気のせいかその子から無言の突っ込みがこちらにあった様だが、気を取り直しつつ改めて“野犬”の群れに目を向ける。お?何かこの子を見てた“野犬”達が一瞬怯んだぞ?この子から“殺気”というか“食い気”みたいのが発せられたからか? どれだけ腹空いてんだよ。

  雰囲気にあせって闇雲に飛び掛って来た“野犬”連中を倒すのには一苦労もしなかった。

 戦闘があっけなく終わるとそれまで張ってた気が無くなったのか『ぐぎゅるるる。』という音に続いてパタンと“獣人”の子どもが崩れ落ちた。へたってても握ってる木の枝っぽいシロモノをその手から離さないのは流石というべきか。

「うーん。弱った。本来なら戻って届けた方がいいんだろうけど、次の町早く行きたいしな。」

“旅人”は“獲物”を処理していたが碌な物は手に入らなかった様でややがっかりした口調でへたって動かないその子を横目で見ながら呟いた。「とりあえず・・・今手に入れた“素材”でもこいつ喰うかな?」

手に入れたばかりの“素材”とやらを片手でヒラヒラさせながらへたってる子どもの顔の前で揺らしてみる。

      パクっ!!雛鳥よろしく素早く頭だけ伸び上がると“素材”に喰らい付いて来た。

 「うをっと!?」持ってた木の枝を落として座りなおすと両手で持ってがっつき始める。もはや眼中に“旅人”は入っていない。「あはは・・・“素材”も食べれるんだ;一応覚えておこ。」あっというまにその“獣人”の子どもは“素材”を喰い付くし、何か期待する様な目付きで改めて“旅人”を仰ぎ見た。     「ん?もう“素材”すらないぞ?あ・・・そうだ。おまえ自分の居た“村”からはぐれ出ちゃったのか?」

言葉の意味が分からなかったのかその“獣人”の子は小首を傾げて“旅人”を見つめてくるだけだった。

「あーそれすらも分かんないのか。まぁとりあえずあっちに行けば“村”があるぞ?」と自分が元来た方を指し示してやる。“獣人”の子はまず指を見て指された方向に首を向け再び小首を傾げてみせる。一応理解したのか?と勝手に解釈した“旅人”は何処か自分の“認識”と目の前の“現実”にズレがある事に気が付かず、“強者”が“初心者”に対応したかの様に気を良くして立ち上がると、「じゃぁ俺は先に行くわ。またどっかで会おうな。」とその子の頭をポンポンと叩き、踝を返すととっととその場から立ち去ってしまったのだった。

            ・・・呆然としているその“獣人”の子を残し。

  「あ。名前とか聞いとけば良かったかな。一応女の子ぽかったし。」“旅人”がちらと来た方を振り返るとこちらに背を向けてトボトボと“獣人”の子が“村”の方向へと去っていく所だった。

     「そいや、はぐれ出たにしてもなんであんなとこいたんだろ。ま、・・・いいか。」

-どうせ散々“見慣れた”種族みたいだし気にする事も無いか。“獣人”なんてごまんといる訳だしな。“幼なすぎる”のは気にはなったが外へ出たてはあんな物なのかも知れないし。-

        “旅人”はその僅かな異常さに気付く事は無かった。

やっと“人”に会えたと思ったのに!困難はまだまだ続きます。後を考え一部表現を変更しました。

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