ギルド
とうとうギルド登録です。
4年、いや正確には3年間“学生”として足繁く通ってた“ギルド”の入り口を潜り、受付の前に立つ。
「こんにちわー。“ギルド”登録に来ましたー。」と受付で何かの書類に目を通してるお姉さんに声を掛ける。あ、やっぱし“街”に居たあのお姉さんだ。
「はい、こんにちわ。“ギルド”登録ですね?・・・あら。貴方だったの?お久しぶりねー。元気だった?」と途端に事務的な顔からにこやかな顔にチェンジして応対しだすお姉さん。
ん。カウンター近くに居た“クエスト”探しのヒト達の中で私を窺ってたヒトがビクっとなったね?
「はい、お陰さまで元気に過ごしてます。お姉さんも元気そうですね。」とこっちも余り砕けた感じにならない様に言葉に気を付けながら返事する。
「ええ、お陰さまで、こうして毎日元気に受付やっておりますですよ。」とこちらににこやかに笑い顔を見せながらも手元では素早く読んでいた書類を纏めると脇に置いてスペースを造っていく。流石だ。
因みに何かの職業に付いてるヒトは仕事中は大概指には結婚指輪とか付けてない。例えそれが何かの祝福とか補助効果のある“魔法”の掛かった指輪であったとしても、外してる。
一応身には付けてるだろうから効果は効いたままだろうけどね。お姉さんの場合は多分首から覗いて観える銀色のチェーンの先に結婚指輪がぶら下がってる筈。
あーでも“街”に居る娘さんの事は仕事中はこちらからは触れない方がいいんだろうなぁ。代々受付やってる訳では無いんだろうけど、何かの障害になっちゃ不味いだろうし、そもそもお姉さん、いやこの場合は奥さんでいいのかな?この奥さんが何故こっちに来たのかすらまだ聞けてすらいないんだよね。
つか、奥さん呼ばわりも・・・辞めて置いた方が私の身の為なんだろうなぁ。藪から蛇突いて出す勇気は無いよ。このヒト目当てで受付来てるヒトはこの“都会”にも居るんだろうし。
「では、準備も出来ましたので改めまして。“ギルド”に登録されるのであれば50シルドか“魔力”カードがあればそれの参照が必要になりますのでそちらもこちらにお出し下さい。“魔力カード”の方は書き換えが終了すれば後でお返しします。」とトレイを私の前に引き出す。
50シルド・・・なんか昔どっかで聞いた様な金額だね。偶然かな?そんな事は無いか。門戸を広げる為にワザと低くしてあるのかも知れない。“クエスト”の紹介料か何かで取り戻してるんでしょ。きっと。
「はいこれ代金と私の“魔力カード”です。」と彼女にも多分見覚えのある“魔力カード”を懐から出し代金と一緒にトレイに置く。そのカード、言われた通り大事に使ってるんだよー。
因みに“魔力カード”のデザインはカードゲームの様な物で、裏は真っ黒。表側の上半分には何も描かれてない黒い画面の様な物が付いていて、今は“学校”の紋章の絵が表示されてる。
“学校”に通う前は“街”の紋章が表示されてたから用途によって変更されるんだろう。今度は“ギルド”の紋章が浮かぶのかな?画面の下は“標準語”ではない文字が連なってるけどこれは多分呪文か何かで一度読もうとしたけど辞書と首っ引きでも中身が全然判読出来なかった。
「はい、50ギルド確かに頂戴致しました。それでは今度はこちらの“鑑定石”に手を置いて下さい。適性職業が貴方の目の前に表示されると思いますので、育てたいと思う職業を選んで下さい。“ギルド”に所属している間は選択した職業の経験値が自動的に蓄積される仕組みになっております。」
む。“学生”仕様の時は選択してた学科で得た経験値が最も溜まる仕組みになってたみたいだからそこはそんなに変わらないのね。
「職業選択は何時でもここで変更する事が出来ますが、その度に200シルド頂きます。今回は初回と言う事で無料となりますので良くお選びになった方が宜しいかと。」
うわーい結構高いね。まぁ登録したてで気軽にほぃほぃ替えられても“ギルド”側も困るか。さて、一応私の成りたい“職”は決まっているけど、“学校”時代よか選択可能な職とか増えてたりするのかな?
それでは“鑑定石”に手を置いてと。目の前の空間に様々な適性職業がずらずらと並んだ表の様な物が浮かぶ。“学生”時代に観た職業が一杯並んでいる中にはやはり“巫女”がある。
新たに追加された職業で目に留まったのは、竜騎士と竜育士。賢者も何気に追加されてたけど、私そんなに頭良いとは思わないんだけどなー。
てか竜騎士とか竜育士て多分それあの卵関係だね?受付のお姉さんには鑑定結果は開示されてないのか裏側からじゃ読めないのか何か別な書類に目を落としてる。今知らなくていいの?
あ。脇の機械みたいのからいろいろ書かれてる紙が出てきてそれ観たら目ぇひん剥いてた。多分あれが私の適性職業の書いてある紙なんだろう。えぇー?って顔してるし。選択肢多すぎるのかな。
ま、まぁとりあえず選択した場合の仮職業名も分かるみたいだから念の為に“巫女”を選択してみればと。あ。やっぱし単なる“巫女”でなくて“狐巫女”になるのね。
では、この目の前の“狐巫女”の文字をこのまま触れば良いのかな?ポチっとな。
さて、そろそろストックも無くなって来ました。VRMMO物なら“狐巫女”になって活躍とかで良いんでしょうがなんかズレまくってここまで来ちゃいましたのでもう暫くこの拙い物語にお付き合い下されれば光栄です。




