図書館にて
移動にやや無理させましたがまだ行き付けない距離でも無いという事で。
今日も“学校”ではいろいろな事がそこかしこで行われている。“都会”に残っている4年生の回復師クラスの者達の一部が“寮”や校舎の彼方此方で浄化を行っているかと思うと生産職に興味のある者が備品の修理を行っていたり、ゴーレム造りに興味がある者達はゴーレム倉庫から貸し出されている練習用ゴーレム達の修理や点検をしていたりしている。練習用ゴーレムを造った者達にとっても貸し出された練習用ゴーレムがどう扱われてるかとか何処が脆いかとかは他人が使ってみれば洗い出しやすいからか、帰還したばかりの破損した練習用ゴーレムを取り囲んでの談義に花を咲かせていたりする。
狐耳の少女はそんな彼らの様子もそぞろに図書室へとゆっくりと歩んでゆく。昨日“街”から“都会”へと“村”にも拠らず爆走して来た結果眠くてつらいのだ。宿で1泊はしてるから大分マシだが。
彼女は先生に職員棟に従魔達の事を聞きに来たのだが、そういう情報は自分で調べてこその物だと言われてしまい、それならばと図書館に向かっていたのだ。
彼女は図書館に入ると適当に本を本棚から2つ3つ見繕って隅の机に積み上げそこの椅子に座り読み始めた。
因みに召喚獣達は召喚する「前」に関してはこの“世界”では今一分かってはいない。呼び出された者は基本的にはこの“世界”の“魔物”の姿や能力を持ち尚且つ内部構造も確認されている者と「同一」ではある。
但し中には召喚された際に中身や外見を詐称する者もいる様に本当に「本物」として「生息」している者を呼び出しているのかは「不明」なままである。
それは“魔物”のランクアップ時も同様で、姿が変化した者の「心」は今まで召喚していた者と「同一」ではあっても肉体は完全に別物と云って良い状態に完全回復される事は知られていてもそれ以上の事については未だに未知数なままである。
そこは本来はその『生息域』でない“魔物”を呼び出しているのと同様な場合もあるのだからなおさらなのだろう。場合によっては既に絶滅したと思われている様な稀少種に変化する場合もあるのだし。
召喚者もLVUPしていけば召喚した者のランクアップ先を自分で選べる様になるらしいが、術者のLVが低い場合等は召喚した者自身が術者の戦い方等の傾向に合わせてランクアップ先を勝手に選ぶ事もある。
こちらが選ぶのと“魔物”に選ぶのを任せるのとではどちらが効率がいいかは術者の戦い方次第である為、一概に言えないが、普通はあらゆる状況に対応する為にバラけた構成を目指す者が多い様だ。
-“魔物”解説- その参
一角兎
:角兎の上位種。額にあった小さい2角が変化した一角を持つ。角兎よりも攻撃力は増しているが動きがより直線的になった為に突進中は下種より避けやすい。逃げ足が速いのも変わらないが角が邪魔をしてそこらにひっかかりやすく捕まえやすい。肉質は柔らかく、飼育しても美味しい。角に魔力が溜まり易く生息域によっては攻撃魔法を覚える個体も。
犬
:“野犬”と同属。小型~大型。飼い易いタイプから慣れない者までと色々種類があり、狩猟に適した者から鑑賞用の者までと多岐に渡る。ふわもこな者は防御力が比較的高く、環境変化にも強い。成長し魔力操作を覚えた者は“魔犬”となりえる。体毛の色によって属性が異なり白系は回復系。魔導柄が付いた者の方が格が上となる傾向がある。
魔狼
:魔力操作を覚えた狼。色や模様によって様々な属性を持つ。“魔石”の位置は心臓。毛色は金~黒までと属性によって様々。体毛が灰色~白系は万能型。犬同様に同種でも魔導柄が付いた者の方が格が上となる。赤色の場合は火系に強く火の耐性を持つ。
-用語- その壱
魔導柄
:何らかの魔力を帯びた柄の事。色や模様によって効果が異なる。主に呪文の短縮発動に使われる。太古の神聖文字の一種らしく、属性毎に決まった模様となる。魔力を持たせた塗料で模様を描く事により元々その属性を持たない者でもその系統の魔法を使う事が可能にはなるがその場合はあくまでも一時的な補助にしかならない。巫女等が肌に描くは場合は肌に塗るだけでなく肌そのものに柄を刻む場合もあるが、刻んだ場合はその系統のみの使用に限定されやすいので注意が必要となる。
従魔達は今後の事も考えて系統をある方向で偏らせています。猫系と鳥系と蛇系は押さえる心算ですが。狐系も追加した方がいいのかな。




