お試しの迷宮 その③
一応戦闘回です。
今度の階では“迷宮”内部での戦闘が体験出来る。無論出てくる“魔物”は本物だ。地上で現れた“野犬”や角兎からガヴリンやらが集団で出てくる。
時々毒蛇なんてのも出てきたりするのでうっかりしていると毒を喰らったりする。
ガヴリンは人型だけあって攻撃も多彩だ。“人”の使うそれよりは小さいとはいえ弓や剣や斧といった具合に攻撃のバリエーションも豊富。せめてもの救いは毒系の攻撃や攻撃魔法や回復魔法を使えるのは彼らの中でも高位の者等の限られた者だけという点だろう。
もっともこの“迷宮”では自動的にコースに振り分けられるのでこの初心者コースではそうそう高位の者が現れる事は無い。精々1回か2回初級の呪文を使える者が時々出たりする程度だ。
毒蛇は文字通り毒を持った中型の蛇だ。角兎やなんかとは一緒に出てくる事は無いが、たまに彼らを襲っては捕食していたりもする貪欲な食欲の持ち主だ。
狐耳の少女はこの階に降りて直ぐに3匹の召喚獣と練習用ゴーレムを召喚し、慎重に先へと進んでいく。念の為に武器屋で買って来た杖で“迷宮”の床に罠が無いか確かめながら慎重に進んでいるが、元々≪危険感知≫を持っている所に召喚獣達の鼻等による補助もあるので今の所は罠に掛かる事無く進んでいっている。
「キシャーっ!!」毒蛇がシュルシュルと物陰から現れ鎌首をもたげながら先を行く犬の子の前に立ち塞がった。立ち止まった犬の子の後ろから狼の子が飛び掛り、練習用ゴーレムが牙を立てようと反撃する毒蛇から子犬達を庇う。
例え毒蛇に噛み付かれ巻き付かれても動じる事のないゴーレムはこういう時有り難い。余り巻き付かれると今度はこちらからは攻撃しにくくなるのである程度引き剥がしつつ床に叩き付ける。
彼女も油断する事無く小型盾で毒蛇の動きをけん制しつつ攻撃を受け流し杖で叩いて退ける。
剣で斬っても良いのだろうが主な攻撃は召喚獣達に任せている。少しでも動きは知っておいた方が召喚獣達の身の為でもあるからだ。「キ・・・キシャァ」無事毒蛇をぶっ倒すとどんどん先に進む。
因みに召喚獣達は普通は“調教”した方が言う事を聞きやすいのだが彼女の場合は今の所そういう“能力”は必要としていない。主な理由は格下の子どもの状態から召喚して慣れさせているからだが、群れるタイプのばかり契約している事も少なからず影響していた。
召喚魔法陣に一工夫すればより親睦度の高い個体を呼ぶ事も可能なのであろうが、まだそこまでの様々な余裕は無いし少しでも召喚可能率を高めるのには少しでも一緒に戦った方が良い。
今度は戦闘を通路の影から観ていたガヴリン達が彼らの前に躍り出て来た。例え気配は消していた心算でも既に戦闘体勢な彼女らに取っては詰めが甘すぎた。オマケに隠れる所の多い外と違ってここは“迷宮”の中だ。たちまち混戦となって討ち取れ数を減らしていく。
少女達も無傷ではすまないが携帯していた“薬草”で召喚獣達を回復し、解体して“素材”を回収すると次の部屋へと歩を進めていく。 こうして次々に“迷宮”の部屋を攻略していき、宝箱が設置された部屋も何個か発見したりしつつ、最奥部へと進行していく。
そして最後に“最後の試練”の扉の前に辿り付いた。入り口の横の壁から突き出た開閉レバーを押し下げると石の扉が開いていく。『ゴガガガガ!』部屋の中央の床には少し大きめの召喚魔法陣が刻まれている。
少女達が部屋の中に入ると『ゴガガガガ』と音がして後ろの石の扉が閉まり召喚魔法陣が輝き出した。
召喚魔法陣が青く光り、中心部から“ボス”が出てきた。
“学校”の練習用のよりも頑丈そうな太い木の“ゴーレム”だ!火系の攻撃呪文を持つ者なら楽そうだが、そうでなくてもここまで来れる者ならなんとか倒せるレベルの難敵。今その決戦の火蓋が切って落とされた。
次で迷宮クリア! あれ?召喚獣達の様子が???




