お試しの迷宮 幕間:詰め所にて
いやーB1Fでいいのかな?“迷宮”の中で洞窟行き体験出来るとは思わなかったよ。“転生”した直後に洞穴の中に居た訳だしある意味懐かしいっていうかなんというか・・・。
洞窟の支道なんかで服が引っ掛かった時には無理にその場で外すんでなくて、引っ掛かったのをそのままにして脱いで着直すって発想も中々思いつかないっていうか、その方が服が破けてたりしにくいんだね。
ちなみにB1Fの擬似フィールドもB2Fも魔法で照らされてるんだけど、B1Fは空に当たる部分全面が照らされてるのに比べてB2Fは松明みたいなのが要所要所に設置されてて雰囲気が全然違う。
用途が違うから当たり前っていえば当たり前なんだろうけど、良く考えられてるね。一部は明かりが無くて手探りで進みましょうってトコもあったし、お陰で≪暗視≫も過信は禁物だと分かったよ。
そういう所は松明や魔法で光源造ったりすればそれ程苦労はしないんだけど“迷宮”と違って換気機能とか付いてない場合が多いしガスが貯まってたり魔力溜りとかだったら迂闊にそういうのは使えない。
“迷宮”の中にはワザとそういう罠な部屋とか造ってあったりするそうだけど、そういう所は不自然過ぎて一定の“魔物”とか以外は普通は寄って来ないから逆に分かりやすいとの事。
そりゃそうだよねぇ。誰だって死にやすい場所に好んで近づこうなんて思わないもの。耐性がある場合でも痛いのとか苦しいのとかは嫌って当然。安全地帯だと思ったら罠部屋でした!じゃしゃれにならない。
ただ集まってくるのがそういう状況が好きなのばかりだと勝手に罠を作動させまくる可能性もあるだろうし、そうなるとますます罠としては機能しにくくなるだろうからさっさと撤去されるかそういう“魔物”の寝床とか繁殖の場になってるかも知れない。ん?“迷宮”の中に“巣”?モンスターハウスとかてそれかぁ!!
まぁそこら辺はダンジョンマスターとか居るとすればそのマスターの采配次第って事だね。“旅人”がこないと成り立たない様なシステムならそうそうそういうのばっか設置するとは思わないけれども、例外とか常識とかいろいろ合致したりすればそこはどうなるかは分からない。“人”基準で考えちゃ駄目って奴だね。
今日は“迷宮”の次の階の攻略前に事前情報知ろうと思って詰め所へとやって来てる。“攻略情報”を誰かに教えて貰う事は禁じられてる訳じゃないし、“召喚魔法”使っちゃっていいのかどうかも聞いておかないといけないし。
“お試しの迷宮”はあくまでも訓練場。流石に初心者コースでバカスカ中級とか上級の攻撃魔法とか撃ちまくるヒトはいないだろうけど、召喚魔法で出した“魔物”が適性レベルより上のだと出せない縛りとかあるかも知れないし、そこは攻略前に聞いておいた方が良いでしょ。
同クラスで“お試しの迷宮”のヒトに聞く手もあるにはあるけど、運よくすれ違ったり出来たりする機会はそうそう無いのでより現地に精通してる方に聞くのがてっとり早いんだよね。という訳で早速詰め所の受け付けに回ってみる事に。
「受付のお姉さんさんお久しぶりです。こんにちわー。ってあれ、お姉さん前より大分若くなってませんか?」とつい一歩下がってお姉さん全体を観ちゃったよ。なんか前より背丈も小さいような???
「はいこんにちわー。若いだなんて、そんな照れますね。あ、ひょっとして母の知り合いの方ですか?母の名前はお姉さんとやらでは無いんですが???」と照れながら言う彼女は良く似ているが別人だった。
「ほぇ?先代の受付の方の娘さんですかー?失礼しました。あ、お母さんにはお世話になりました。お母さんは元気にしてますか?お名前は伺って無かったので適当で済みません。」と謝っておく。
「あ、いえいえお気になさらずに。受付をやってると余程親しくして居てでもないとつい他人に名乗らなくなる癖が付いてしまうので名前を知ってなくてもそれ程おかしくは無いですよ?母でしたら今年度から“都会”の“ギルド”の方で受付をやる事になったので、もし宜しかったらそちらにも顔を出して頂けると喜ばれるかと思いますが。」とにこやか丁寧に教えてくれた。
そっか。“都会”の“ギルド”の受付行けばあのお姉さんに会えるのかー。異動してたんだね。向こうで遇えるの楽しみだ。というか目の前のこの娘って私やマリーちゃんらと同じ位だよね?胸おっきぃなぁ。
今までも“街”のどっかですれ違ってたかも知れないなー。私は半“旅人”だったから会う機会が遇える機会が少なかったって事か。マリーちゃんやミリーとは既に知り合いなのかな?
まぁそれはそれで置いておいてと。「今度“都会”に行ったら会ってみますね。所で、“迷宮”の初心者コースについてなんですけど、最後の方の“魔物”が出る階で“召喚魔法”使ってもいいですか?入ったばかりの所じゃ必要無かったので召喚はしなかったんですけど。」とこっちも口調を普段より丁寧に聞いてみる。
「えっと、召喚士の学生さん・・・ですか?そうですね。余り巨大なのとかあからさまに凶悪なのは“迷宮”に張られている結界で召喚が無効化されますが、多分大丈夫だと思いますよ?」と恐縮されちゃった。
む。一目で学生と推測したのは流石だね。他にも一々聞きに来た同クラスのヒトがいたのかも知れないね。前情報全然無しで突入しちゃって召喚失敗したヒトもいたりするんだろうか。
てか過去に誰か既に試したヒトいたりするのかその口ぶりじゃ。運用試験の時か何かで試したりしたのかな?今私が召喚出来るのは練習用ゴーレム以外は小動物系ばっかだからまぁ大丈夫でしょう。
「そうなんですか。教えてくれて有難う。また“クエスト”の時とかに寄らせて貰いますね。」と挨拶して“迷宮”のB3Fに向かう事に。
出る魔物の傾向は周りの回復師クラスのヒトとかの方が詳しかったので念の為に“毒消し”とかを多めに用意した。内部構造とかは入る度にランダムで変化するので入ってみなくちゃ分からないとの事。
その辺は飽きさせない為の工夫だろうからどういうのが出るのか楽しみだね。では、行きますか。
次回で“迷宮”クリアを目指します。受付のお姉さんを同年代の娘にしたかったんですよねー。牛さんか羊な“けも耳”にしちゃってもいいんですが(謎




