4年目:試練の季節
学生の遣い所を何か間違ってる気もしますが気のせいです。
四年目。それはついにこの“学校”本領発揮の時期であるとも云えるだろう。別にギルドと学校の対抗戦とかがある訳では無い。夏休みもぶっ潰してまでの長期に渡る、“遠征”が行われるのである。
その中でも剣士組、回復師組、召喚士組は特に過酷を極める。他の組の生徒とPTを組んでも良いが出来うる限り“単騎”での“実績”を積んで来る事が彼らには要求されるのである。
回復師組の大半は移動も楽な“都会”の浄化等に回るので既に利用出来得る枠は全て埋まってしまっており、近隣の“町”や“村”への出向組も似たり寄ったりの状況だ。
“都会”が割りと清潔に保たれているのは回復師の4年生達がそれそこ点数稼ぎで走り回ってるからに他ならなかったのだが、それでもその系統の“クエスト”は無くなる事はない。
授業の一環である以上はそれを“クエスト”として受ける事は出来ないし、対象区画は決まっているので全域をカバーする事は不可能だからである。そうでなければ今頃“都会”は聖域並みの綺麗さに包まれていただろう。因みに夏休み期間は例によって寮には泊まれないので宿屋泊まりの者が多くなる。
剣士系は剣士系で、より点数の稼ぎやすい大物を狙いに走る傾向が高いので自然と回復師と組んでの長期出張を望む者が多く、浄化組にあぶれた回復師達はあっというまに“都会”からも居なくなってしまう。“単騎”でやるよりかは点数稼ぎの効率がいいからだ。
結果として一番割を喰うのが召喚士組だった。PTにおいて回復師同様後衛に就く事が多い彼らは同職同士で組む旨みも少ないのでどうしても“単騎”での活動を余儀なくされる。
授業で呼び出せる様になった“召喚従徒”も精々が“野犬”の子犬と訓練用のゴーレム程度でしかない。召喚
したい“魔物”を増やしたいのであれば期間内に“自力で増やす”しかないのである。
だが彼らの実力と限られた期間内では“大物食い”はまず不可能であるといえる。回復師と組みたくても既に組む相手が決まってしまっているのであれば・・・例え長距離移動を魔法で一瞬で行えたとしても大物を従役なんぞは夢のまた夢だ。抜け道は無くはないが普通の学生にはまず無理だろう。
かくして彼らは地道に“魔物”観察等をやる羽目になった。流石に差が付き過ぎる懸念がある為か回復師組が受ける事が出来ない“クエスト”も受ける事は許可されている。
狐耳の少女はそんな召喚士組の中では恵まれている方だった。元々“クエスト”の“選り好み”はしないから他のヒトなら飽きてしまったり敬遠されたりする“お使いクエスト”だろうが平然とした顔で回そうと思えば回せる。放っておけば最終日まで“クエスト”を回しまくってただろう。
だが彼女はあえて“都会”周囲での点数稼ぎをする事を最初から止め“都会”を出立した。“都会”周辺で点数を喰い潰しあうよりももっと効率のいい稼ぎ先を知っていたからではない。
何組かが既に目指してたある場所に向かって。その途中にある理由も兼ねて“村”にも寄る予定ではあったがさらなる目的地は”街”だったから。
次回は戦闘っぽいのに突入予定。




