授業風景1年目
出来るだけダイジェスト版的なものにしてみました。
1年目の授業は“学生募集”で集められた生徒にとってはそれ程難しい物では無かった。全員が全員ともそうでは無かった様で苦戦する者がいない訳ではない。1年で辞める者が居たとしても仕方が無かった。
それでもこの“学校”は受ける科目は予め固定されているのではなく、受けたい授業を自分で選ぶ事が出来る仕組みを取り入れているので1年目では余り差は出ない様に一応は考慮されている。
“戦士”系を目指す者は素振りから始まり“学校”に来るまでに既に身に付けてる型を見直す授業を受ける。自己流で身に付けて来た者はより剣に慣れさせ、既になんらかの型を学んできた者はさらなる発展を期待して。最初から学ぶ剣技を一つの型に統一してしまっても良いが、それでは不慮の時に対応が遅れてしまいがちになるだろうとの事で、この年度は基本の繰り返し。“盾”による回避術も同様だ。
“魔術師”や“回復師”系を目指す者はまず“魔力操作”から見直し、より練度の高い“魔力”を操れる様にしていく授業を受ける事になる。
例え“魔力”0な者でも瞑想や魔道具による外部刺激等によって“魔力”に慣れさせていく方式を採る。この授業を選択した者は“魔力酔い”や“魔力枯渇”なんぞは日常茶飯事な光景だが1年が終わる頃には大分マシにはなっていく。
“体術”系を目指す者は受身や体力の見直しの授業を受ける事となる。所謂体育会系のノリだが他の方面を目指す者も防御や回避の目的の為に授業を受けない訳でも無いので意外と人気が高い。魔力が尽きたり武器が壊れたりしたらどうしても格闘戦に縺れ込んでしまうのだ。まるでやらないよりかは良い。
因みに獣人系は牙ですら武器として使う癖がある者は口輪を嵌めて臨む者すらいる位だ。竜人系に居たっては全身そのものが武防具となりえるので基本は同種属での組み合わせだが時々は別種族と組んでの乱捕りを行う。1年目の授業はあくまでも授業は基本までなので激昂して乱闘騒ぎ等にはならないのがせめてもの救いか。
また、授業という形ではないが、食堂の食事の用意片付けや清掃活動等といったものもまた修行の一環として位置付けられ“クエスト”として開放されていたりもする。
“解体”や素材の扱い方から様々な物の手入れ方法まで見渡せば出来うる限り“クエスト”化されているが、生徒にはあえてそこまでは教えていない。そのカラクリに例え気付かなくとも何回もクリアしていけば少しづつその系統に強くなっていく仕組みになっている。
“ギルド”で学生が受けれる“クエスト”とて同じ事。“都会”の汚れ取りから“素材”の調達から“お使いクエスト”までいろいろあるそれらもまた修行の一環だったりする。
無論、授業だけでは学校の行事としては終わらない。体育会や文化祭もそれらの一つだ。文化祭の出し物としての召喚魔法は“召喚士”の募集枠を増やす為の前提となるし、体育祭で擬似敵に放たれる魔法や怪我をした者に対する回復呪文はそちらの系統を目指す者にとっての目標となり、剣劇や体術披露等は戦い方の見本となる。
長期休暇も計4回ある。田舎に帰れる者は帰って英気を養い再びこの“学校”に戻ってくる。その間は“学校”の寮はお休みに入るので寮に入っている者は“都会”の宿に泊まるという手もあるが、その場合は高くつくので余りお勧めではない事にはなっている。元々懐に余裕のある者や“都市”に実家がある者等は余り気にはしてない様ではあるが。
狐耳の少女もその間に“村”に一旦帰り、真っ先にミラさんに自らの名前に付いての事後報告を無事に済ませて来ている。無論“街”に足を伸ばして友人達とも戯れたり“クエスト”を回したりしてたのは云うまでも無かった。
次はいよいよ2年目の再鑑定。果たして狐さんの適職は。




