攻防の果てにあるものは
前回の続きです。
魔法が乱れ飛びガヴリン達と討伐隊の雄たけびが交差する戦場で腕に自信のある者達が駆け回る。
彼らの目的はこの騒動の原因たる群れのボス。長期戦ではもはやガヴリン達に勝ち目は無いのは眼に見えていた。“巣”の回りは囲まれ外部からの補給は見込めない。“巣”から出て行った者達は2度とこの地に戻らないか戻ってきたとしてもボロボロだ。中には“魔物”か何かに噛まれたらしい歯型が付いている者すらいる。
それでもまだボスは未だ“巣”の中心で健在であり何回かの襲撃で倒されたと思っても復活してくる。ガヴリンの側にも回復役がいるからだ。しかしガヴリンの回復役が全て倒れボスが丸裸になった時、事態は最終局面を迎えるのだろう。それはもうまもなくの事だ。攻める側も気合を入れて攻めまくる。
溜め込んだ資源は次々に外に持ち去られ後が無くなっていく。倒れたガヴリンですら片っ端から攻める側に回収されていくのでは“巣”側での回復は望めない。“解体”されるか地に帰るかの何れかであろう。
-もはやこれまでか- とうとう側近の者位しか残されていないこの“巣”のガヴリンの長の前に最後となるだろう挑戦者達が立ちはだかる。例えその者に勝ったとしてももう後は無いのはボスには分かっていた。
-せめて最後に一歩でも前に足掻いて見せよう- そうボスが思ったかどうかまでは分からないが、接戦となる位にはその戦いは激昂し、ついにボスはこの地に倒れ伏せた。2度とその目が開く事は無いだろう。
歓喜の声があちらこちらで上がる。“巣”の跡地から次々に脱出し本隊へと帰って行く。
この地での彼らの役目は終わった。跡片付けまでは彼らの仕事ではない。“村”からそう“距離”も無い為に“巣”の跡地は今度こそ本当に根こそぎ回収され、やがて野に帰って行く事となる。
討伐隊も“村”で解散し各々の目的地に向けて参加した者達が散っていく。大半は“街”に向けて出発した様ではあるが暫くはこの辺に留まる者等もいる。裏方で支援していた者達も幾人かは暫く留まり復興の支援に当たっている。“巣”が潰れた直ぐにまた別な“巣”が近くに出現しないとも限らないからだ。
狐耳の少女は“街”へと帰還する組の中にいた。彼女の役目は今回はここまでだったから。
中々戦闘描写に踏みめませんね。もう少し続きます。




