邂逅
“人”との邂逅といったな。アレは嘘だっ!! ・・・いや、まだ導入部なんです。すいません。調子付きました。
少女は何が食べれそうな物が分からない上にこのままでは食料が得られそうに無い現実に突き当たり、今更ながらショックを覚えていた。このままじゃ下手すればやせ細って餓死?とか考えるだけで恐ろしい事が頭の中にいろいろと浮かんでくる。
「うぅ・・・。どうしよう。なんかこの森整いすぎててどっか違和感感じるし。」
そういえばさっきから同じ様な木ばっかりでいわゆる木の実を付ける木が一本も無い事に遅まきながら気が付いた。いや本当はあるのかも知れないが“人間”が食べれそうな実を付けた物が一本も見当たらないのだ。
「“人”の手が入ってるのは間違い無いんだよね。こんなに整った森は自然界じゃありえないし・・・。」
ピクリ。狐耳が何かの音をかすかに捉えた。「ん?」意識して耳をそばだててみる。
ちょっと先の僅かな森の茂みの中で何かの気配がする。獣か何かか?それとも“人”か?
数分後。
「いやーー!?こないでーーーーー!?!?!!!!?」ズドドドドドドッ
狐耳尻尾の少女は地面に出来た2本の溝の一つの上を全速力で走っていた。
「はぁはぁっ!な なにこの溝っ 車輪の跡っなのかな?“人”が近くにいそうなのは分かったけどっっ」
「ブモォーーーっ♯!!」彼女の後方から荒い鼻息がフンスコ聞こえてくる。・・・多分野生の猪みたいなモノだ。毛の多い豚の様だが鼻に牙生えてるし。その猪モドキに今にも追いつかれそうになりながら彼女は麓の方に向かって全速で走りまくっている。
「ひぃぃぃいっ!?ごめんなさいごめんない、そんなに怒らないでーー」
その猪モドキの背中には小さな歯型の様な物が小さくクッキリと付いていた。犯人は言わずもがなである。
「まさかそんなに大っきぃとわっっ!・・・じゃなくて美味しそうに見えら我慢出来なかったのよーー!」
多分山越え用か手入れ用の道だったのだろう。段々道が道らしくなっていく。このまま街道筋に出れば。
「ぜぇぜぇ・・・っ。この先に村か町があるよねっ!?てか何時までついてくんのよーー!?」
少女は走るのに精一杯で前方を碌に見ておらず何かを足で吹っ飛ばした。「ぷきゅっ」「え」
ちらりとふっとばした“ソレ”を視界の端で確認する。・・・なんか青い小さな塊だった気が・・・
見てはいけない物を見つけた気がするが、そんな事はお構いなしに必死に足を動かし続ける。
あ、ほらまた青い小さな塊を足でふっ飛ばした。今度は兎さんみたいのとかいたみたいだし?
流れる様に開けてくる草原と前方に見えてくる明らかに人工物の塊がこちらへと迫ってくるのを正面に捉える事に成功する。
「“村”だーーーっ!?“人”がいるかもーーーっ」
少女はふっとばした物を多数と猪モドキを引き連れたまま村の入り口らしき所に目指し突っ走り・・・
突貫した。
ようやく“人”と邂逅出来うる場面に突入です。果たしてこれが吉と出るか凶となるか。狐耳尻尾の少女の運命はいかに!という所で次回に続きます。