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ケモノライフ!キツネさんは転生者  作者: きつね耳モフモフ
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巣立ち

とりあえず往く先が決まった様ですが・・・?

   -とうとうその日が来た。覚悟していなった訳じゃない。前から分かっていた事なのに。-

あの子に聞いたらこれから何処へ行くのか聞いたら、とりあえずは“街”へと目指すのだという。

              “一人”じゃ山越えはまだ“キツい”からと。

 一応“街”までは友人2達と一緒に行くから道中も安全だよね。とあの子は笑ってはいたけど、本当はまだ自分が過去から来た方向にはまだ行きづらいのであろう雰囲気なのは痛い程にその全身から漏れ出ていた。探したいモノはあるけど探すのもまた怖い。場合によってはもう2度と探しているモノとは出遭えない事を知るのが怖い。だからそれを無意識に感じ避けているのだという事はあの子自身にはまだ分かってはいないだろう。でもいつかは真正面から向き合わなければならない。・・・だからこそ、往くのだ。

 暫く“街”の近くで力を付けるのであれば気心のしれた友人達ともすれ違う事も多いだろう。無論“都会”に出て行って働いてたりしてる子達も居るが、あの子にとってはより“村”との繋がりの深い“街”を暫くの根城に決めたのはある意味自然な流れだったとも言える。妥協もまた結構。世の中を渡り切れるだけの年齢や実力に達してるとは言い難いのは彼女自身が一番分かっているのだから。

      せめて。私は笑顔であの子を送り出そう。-そう決めたのだから。-

 「じゃぁ、行ってくるね。」「ほらほら何時までもボケっとしてない。置いてくわよー。」

ミリーとマリーが“街”の方角へと歩みだす。あの子もまたその歩みを“村の外へと進めていこうとして。

         ふと歩みを止めて振り返ると私にさりげなくその言葉を告げた。

   「あ、そうだ。ここの道具用の物置の隅にさ。“私物”一個置いて行くけど良いよね?」

   私物?荷物は全部持った訳じゃ無かったのね。“旅”に出るのに邪魔だったのかな?

   「え?・・・あ。いいわよ?そんなに嵩張ったりする物じゃないんでしょ?」

私は道具用の物置をさっき見て来てたばっかだったんけど、“それ”の存在を見逃してた事に気が付かなかった。

   「うん。邪魔にならない様に置いておいたしね。いざとなったら捨ててもいいよ?」

私はその時はまだ“それ”が“大した物”でも無いだろうと碌に気にも止めなかったんだ。「そんな事しないわよ。何時でも取りに来ても良いようにちゃんと取って置いてあげるから。」 本当は“それ”はおいそれと使う訳にも行かない“代物”だって事にすら私はその時は分かりもせずに言った。

 本当は。・・・告げられたその時に“それ”の存在とそれの持つ“意味”に気付くべきだったのだ。余りにも自然過ぎてそこに置いてあった事を見逃してた“それ”と“それ”が持つ意味に。

  -“それ”が本当は私にとっては“大した物”であり、あの子の出した“答え”だったという事に。-

    その事に私が気が付いたのは恥ずかしながらずっと後のお話し。

 「・・・ありがと。んじゃ、行って来るね。時々はこの村に戻るから寂しくはないよ。ミラさん。」

     まるでお隣の家にでも行く様な気軽さであの子は告げた。

 「行ってらっしゃい。」私は笑顔であの子を送り出す事に成功してたんだけど、大事な事を一つ失念してたのよね。“それ”とはまた別な事だけど。

なにやら私物を置いていった様ですが、とりあえず本編とは関係ないフラグの予定なのでとっとと先に進めます。



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