気遣いは密やかに
はぐらかすのも友達だからこそ
尻尾の追いかけっこ過ぎでミリーが何時もの様に目を回してぶっ倒れてるのを端に見つつ絵本をパラパラと捲りながら武器選択に付いて考えてたら、口から独り言が漏れてたみたいで部屋に入ってきた“うさ耳”のマリーちゃんに誤魔化し切れずに突っ込まれてしまいました。
あの子“うさ耳”だけあって耳良いんだよねー。会ったばかりの頃は耳だけ柱の影からとか出してこっちを伺ってた草食系女子だったと思うんだけれども、お互いに慣れて来たら結構アグレッシブな女の子になってました。“クエスト”での見張り役の時に自慢の脚力で正義のバッタの怪人よろしく“野犬”ふっ飛ばしてドヤ顔決めた時には私開いた口塞がりませんでしたよ?凶悪兎の事教えたの不味ったかもしんないと気付いた時にはもはや手遅れだったような気も(遠い目
言葉使いは最初の頃から変わらないんだけど時々私に対してお姉さん的な雰囲気醸し出す様になったし。何処行った最初の頃に感じた妹属性。今の姉属性も嫌いじゃないけどね。
「いやね、武器選択に困っちゃっててさー。いずれこの“村”出て旅に出る心算なんだけど何にしようか迷ってて。弓とか槍とか剣でもいいんだけど、“魔法”も使いたいし重装は無理かなと。」
マリーちゃんもそれ聞いて「“村”を出て旅に・・・?それって・・・」と言い掛けて何かの事に気付いたのか一人物凄く納得する事に思い当たったみたいで気不味い様な顔を一瞬したけど、それには触れずに話を武器に付いて聞いて来た。「あ;・・・ぶ、武器の事だったよね?弓は矢が要るし槍って使った事あるの?」
ん?何か気になる動作でも私やってたのかな。何か誤解されてる気がしないでも無い気がするけど。
「槍は無いなー。“杖”なら持った事はあるけど本式のじゃないし?」って、マリーちゃん端から見ても動揺しすぎてて視線がさ迷ってる様ですが、何を誤解してるんでしょうか。気になる。
「あはっ・・・つ、“杖”っていつか弓にしようとしてたアレだよね?そっかーそれで弓なんだ・・・。」
うぐぅ。あの黒歴史を己も観てたのか。まぁ矢を放った瞬間ポトりは印象に残るだろうけどさ。
「重装備して星振る大剣で一刀両断なんてのも浪漫だとは思うんだけどねー。無理あり過ぎるし却下。」
あれ。マリーちゃん今度は目を白黒してるぞ?何か変な事言ったかな?
「星振るって何・・・?お星様が大剣持って切るの?・・・それともお星様が刺さってる大剣?」
ってそこに突っ込むのっ!?ていうか私の覚え間違えに気付くとわ“うさ耳”侮れんわっ。
「うー。何騒いでるのー?頭まだくらくらする。」あ。ミリーが復活した。
マリーちゃんがすかさずミリーに話を振る。「あ。ミリー丁度良かった。あのねー聞いてー」
わー!?マリーちゃん傷口広げる様な事止めてーー。
結局私はマリーちゃんが私の動作の何を誤解したのか聞きそびれてしまったのだった・・・。
◇◇◇◇◇◇
『・・・あの時のあの動作ってそういう意味だったんだ。あたしから触れちゃやっぱ駄目、だよね。』
彼女の脳裏にその時浮かんでいたのは“街”で“狐耳”の女の子がやってた人々の顔を見上げる様な動作の事。
本人にとってはそういう“意図”は無かったが、なまじ迷い子だった事を知る彼女らにしてみれば。
それはまったく別な意味の“構図”となって結実する。
・・・何故ならそれは迷い子なら絶対やるであろう動作の一つだから。
不審な動作を旨い?具合に誤解されるシチュの消化としては失敗したかも。
こんな例もあるという事で次回に進みます。




