名物
迷宮が“街”の近くにあったっていいじゃない!て感じで迷宮登場です。
この“街”が何故“旅人”達で賑わっているのかと言うと、それはこの”街”の近くに“迷宮”があるからだ。
無論“迷宮”とは言っても古代遺跡とかがある訳ではない。人為的に創られた存在の中でも極めて入り口に近い存在であり、尚且つ利便性も兼ねてあえて“街”の近くに創られたそれは“街”の大きさにも匹敵する程の巨大な“訓練場”。・・・通称『お試しの迷宮』。
手っ取り早く旅の為の“経験値”を積ませる為に“街”の住人達が管理する、意図的に造り出された“訓練場”はその目的上利用する“旅人”達も多く、時として手錬れの“旅人”ですら己を省みる事に挑戦する事もある位には利用されている。住人の手で管理されてはいるとは云え、怪我や何らかの問題が起こる事は日常茶飯事であり、なればこそ“街”で用意出来る物資等は“街”の外部から頻繁に搬入せざるを得ない程だ。その結果として近くの“村”で採集された“薬草”やら“毒草”やらの“素材”を集約する拠点の一つにもなっている。
山間にある“村”から世話役の娘さんが彼ら子どもを引き連れて来たのは彼らの単なる“社会見学”という名目だけって訳で無くて、そういった“納品”物を収める為の戦力も兼ねてという目的もあったから。
“村”から“街”への道中は山越えの道を往くよりかは安全だが一応対策もしてあるからぞろぞろと隊列組んで連れてくるのに苦労はしないだろう。子ども達が全員“紐付き”の状態にされてるのは目を離した隙にうろちょろされて迷子になっても困るからと安全対策の一つだから。
“迷宮”の内容は初心者向けとはいえ内部には簡易な“トラップ”等が普通に仕掛けられていたりする。時々大掛かりな修理や補修もしなくてはならない。“迷宮”の中まで子どもが入り込まない様に常時気配りはしているが、彼らがする事は時として予想の斜め上を行く事があるので世話役が“紐付き”の上で見張っているとは言え油断は出来ない。この街に元々住んで居る子どもは“迷宮”の危険性やらに付いて普段から知る機会が与えられているが、“村”の子ども達の場合はそうも行かないからな。
世話役に連れてこられたその子達は特に問題は無さそうだった。さりげなく観てると垂れ“犬耳”の子がやや興奮気味だが他の子達は大体こちらの想定通りの反応を示してる。
その子も低い目線ながらも興味深げに書類を書くその手の動きを目で追って観ている。“世話役”の娘さんに“標準語”を覚えてまだLVが低いとか聞いたから手馴れた様子が物珍しく見えるものなのだろう。
なんか毛色が変わった感じのする“犬耳”の女の子だな。時々通り掛る“旅人”達に頭を撫でられてたりしてその度にくすぐったげな表情を浮かべていたりする。他の“獣人”の子達も似たりよったの事をされてたりしてるがあの子をつい撫でなくなる衝動に駆られるのは何故なんだろう。ちょっと手を休めて撫でてやりたくなって来た。
「はーい、次は“ふっとばし基”に行きますよー。」アレか。あれはあれで楽しいぞー。
紐にひっ張られ回収されたかなり不安そうな顔のその子に思いっきりにこやかな笑顔を向けてあげた。
今回はちょっと文章不足? 後で付け足すかも。×「経験地」⇒○「経験値」に修正しました。