“呪文書”は正しく使いましょう
私は絶賛“クエスト”中。なんか“クエスト”での見入り=収入が多いと思ったら、影で皆で気を利かせてくれてたよ!恩返しも兼ねて率先して仕分け作業とかも多めにやっておりまする。
“けも耳”とはいってもそこら辺はやっぱり“狐”さん!畑の守護神の異名は伊達じゃない!と偉そうに言ってはみても私自身は非力だし、見張り役やったとしても時間稼ぎ位程度しか出来無いけどね。
後、道具屋で見つけて貰った“呪文書”を店頭で見せて貰った際に無料で譲って貰えると思ってた時に店頭に出されたそれを妙な使い方してたみたいでお店の人と連れて行ってくれた兄ちゃんには笑われちゃったよ。巻物といったら口に咥えるか頭に載せるか頭ポコンと叩くか位しか使い方思いつかなかったんだよ!
何この無駄に凝った前世知識っ!!買ってお店で封印解いて貰ってからでないと使えないって事すら知らなかったし。・・・まぁお陰さまで安くして貰えたみたいからいいんだけどね。
お金で思い出したけど、この“世界”、硬貨だけじゃなくて平たい“ペグ”みたいのもあるんだ。ジャラジャラ細かいお金を硬貨でいちいち持ち運ぶのより楽。5・10・20なんて具合に端に色の付いた“ペグ”がお金代りに交換されてたり。それでも楽をしたい人なんかは魔力で入出金出来るキャッシュカードみたいのを利用してるみたいね。“呪文書”よろしく買わなきゃいけないからか“子ども”は“ペグ”と硬貨どまり。これも学習とかの一環なのかな。値段きっちり払う事はまず無くけど余分に払ったら代りにオマケを貰えたり。
そして私はというといよいよ買ってこれた“呪文書”を使う時がきた。結局買えるまでに約2週間位は掛かったのかな。きっちり日にちを覚えてる訳じゃないけど。手振り身振りでお絵かき付きでとかでの意思疎通を試みられた日々がもう懐かしいくらいに思えるよ。・・・その間何言ってるか分かんなくてもとりあえず指示通りに動けてたのは奇跡だと思う。まぁ時々ずっこけられたりしてたかもだけどそれも気のせいだ!!持って帰って道具屋に連れて行ってくれたお兄ちゃんに“呪文書”見せたら顔が妙に晴れやかだったけどなんでなのカナー?
んで、肝心の“呪文書”は皆の前で広げるのもなんなんで一人部屋の隅に篭って早速開いて読んでみようとしたら・・・。ふつーに読めんかったです。これさ。皆が書き物とかしてる文字なんかよりもさ、なんか書かれ方とか全然違うんですけど!?“象形文字”ですか?それとも“聖刻文字”か何かですかコレ???しかも“中抜き文字”?状態のがビッチリ書かれてるんだよね。こんな難しそうなの読めるかーーーっ!!!!
あ。これひょっとして“魔力”とか読むのにいたりする奴?“呪文書”だもんね。一般人用に“魔力”感知して動く仕組みになってるんなら何かの動作で“呪文書”読める筈。とりあえずいろいろやってみたけど無理でした。あの思い出してもこっぱずかしい動作も全部当然やってみましたよ?頭ポコンもね。
いい加減諦め掛けてた時に“採集”でちょっと傷付いてた指先の血の汚れが“呪文書”に付きそうになってたのに気が付いて慌てて拭おうとして気が付いた。血が付いた文字の部分が薄く光り始めた事に。
これって・・・“魔力”で無くて“血”でもこの“呪文書”使えるの???あーでも、血がこんな程度じゃ足りないんでは?とか、いやいやこれってなんか間違って使ってヤバい状況とかなんじゃ?とか内心焦りに焦りまくってたら“呪文書”の白抜き文字の中がどんどん光で埋まっていって全部の文字が光で満たされた時。
--- 言ノ葉ノ理ト文字ノ由ヲ理解シヨウトセシ者ヨ。---
--- 我、汝ノ支エトナランコトヲ望ム存在ナリ。 ---
--- サレド我ハ微力ニテ我ハ汝ノ今後ノ努力ヲ欲スル。 ---
大雑把に要約すると大体こんな感じの“宣言”が私の脳裏に流れて浮かんで消え
役目を終えた“呪文書”が光の粒となって目の前から消えて行った後、
晴れて私はこの“世界”の“言葉”・・・“標準語:LV.0”を正式に習得した。
これで“スキル”が一つ増えました。