迎えし者
お金の価値の設定苦労中です。加筆修正するかも。
やれやれ。“クエスト”の見張り役やってて“村”の外で保護した子を連れて村の大人達の所に連れて行ったら、一目観るなり『こんなちっちゃい子をどっかから浚ってきちゃ駄目!』とか言われちゃったぜ。
まぁ着てる物とかぼろっちぃしどっかから浚って来た訳じゃない事は直ぐに理解してくれたけどな。大人達が寄ってたかって『どこから来たの?』とかあの子に2~3質問してたみたいだけど、肝心のあの子は聞かれてる事が分かんないのかボケっとしてたから、終いにはため息付かれてて、“言葉”が通じてないのは俺にも直ぐに分かった。とりあえず大人達がお昼用の食べ物の余分な分とかあげてみたら、がっついてあっというまに全部喰ってたけど。
そんなこんなで俺達“子ども”の世話役の姐さんが直ぐに呼ばれてお古の服とか貰った後直ぐに風呂に突っ込まれたら、程なく自分で身体洗って出て来たみたい。トイレもちゃんと一人で行ける様で、ちょっと意外そうな目で姐さんに見詰められてた。普通ならあんな歳では中々一人じゃ出来ないのに。とか言われてとっつかまって膝の上で抱きかかえられた上で優しげにモフられてた。・・・う、うらやましくなんかないぞ。
そうそうあの子の着てた“服”は道具屋で“鑑定”してみたら元は“上級品”だったてさ。今は見る影もないけど。持ってた“杖”らしきシロモノは直ぐに返してやった。何か嬉しそうにしてたから思い入れがあるのかも。姐さんあの子の様子観ててほっとけない。とでも思ったのかうちらの方で引き取るって息巻いて村の上役のヒトに直談判しちゃってたよ。
碌な詮索も出来てないのに。・・・いいのか。そんなザルで。
ついでに俺は『あんたが連れて来たんだからあんたも責任持つ!この子引き取ったから今度から“クエスト”にこの子ちゃんと参加させなさよいねっ!!』ってビシっと指差して言われちゃった。思わずがっくし頭を垂れちゃったよ。なんでたまたま連れて来ただけの俺が言われなきゃいけないのだ。他の奴でもいいんじゃないのか。とか思ってたらあの子ジト目でこっちを見つめてきた。わーったよたくっもー。
翌日は道具屋に彼女を連れて行って、店の人に不良在庫の山の中から“言葉”の“呪文書”を探して貰った。俺ら“子ども”は幼い内から口伝やら筆記なんかで“言葉”を覚えるのが普通なんだけど、姐さんはこの子の場合みたいなのは“呪文書”で覚えて貰う方が早そうだから探して貰ってこいと。“呪文書”はここなんかよりもっと大きな都市とかでは普通に売ってるなんだそうだけど、この村でもかつては“言葉”の“呪文書”なんて物が売られてた時期があるそうでそれが僅かに残ってる事を聞きかじってて覚えてたらしい。
そんなん便利なのあるんなら俺らだって普通に買って使えば楽なのに。と姐さんに文句言うと、単価はどうしても高くなるし速成だから覚えられる“言葉”と使える“文字”は最初は少ないわで覚える時間そのものは短縮出来るものの、一から学ぶのと結局は一緒の事だからと宥められた。実際埃まみれで出て来たその“呪文書”はもう買って使う人が少ないという割には意外と高い代物みたいでなんと100シルドだったからそりゃ気軽には買えないな。因みに100シルド=銀貨で10枚相当。銀貨1枚は銅貨だと100枚位になる。俺らの受けれる“クエスト”だと1回でも最大で銅貨50枚位だから労力的に鑑みた場合余り割りに合いそうにもない。
それを店頭で手に取ってみたその子はそれをどう使っていいのかすらも分からないのか、埃を掃ったそれを巻いたままの状態で口に咥えてみたり、頭の上にちょこんと載せてみたり、終いにはポコリと“呪文書”で自分の頭を叩いてみたりしていたが、見慣れないその動作に何処かほっこりしたのか道具屋は大まけに値引きして50シルドにしてくれたのはラッキーだった。
・・・お金支払って“封印”解いてからでないとそれ使えないってばw。
流石に俺のお財布から代金を支払うのもなんなので、彼女が今後受ける“クエスト”の分から代金を支払う事にして貰ったけどね。そんなゴタゴタもあったが、その子は最初はおぼつかなかった“採集”も日がたつ内に慣れて来たのか段々楽にこなせる様になり、仲間や村の人とも仲良くなっていくのも早かった。
今じゃ時々使い物にならない骨の端っ切れとか貰ってる。毛色はちょっと変わってるみたいだけど“犬”の“獣人”みたいだしね。最初貰った時は嬉しさの余りかなんか固まってたみたいだったけど。例の“言葉”の“呪文書”の代金も皆が気を聞かせて彼女の取り分を多くしてた様で、当初思ったよりかは早く支払えたみたいで買ってきたそれを手にして嬉しそうに俺に見せてくれたったけ。恥ずかしいと思ったのか誰も観てない内に使って“言葉”を覚えてたみたいだけど。
・・・そういやあいつ。“呪文書”の正しい使い方教えて貰ってなかったみたいだけどちゃんと教えて貰ったんだろうか。なんか変な使い方しててそうで笑える。前みたいに自分の頭を丸めた“呪文書”でポコンと叩いてみたりしてたんじゃないだろうかと思ってる。
時間経過というか生活描写をちょっとふっ飛ばしました。