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やっと書けたので、投稿します。
「あれ?青木姉弟じゃね?やっほー」
ビクッ!
後ろからそう聞こえた。
「おいおい、何の反応も無しかよ」
俺たちは声のしたほうへと振り向いた。
「なんだ。仁か・・・」
「おう。仁だ。・・・ん?どうしたんだ玲奈ちゃん、勇人みたいだが何かあったのか?」
やばい!今は玲奈の体だった!
「な、なんでもないよ。こんにちは北河君」
俺はとっさに今の状態を思い出し、玲奈の口調に合わせた。
「どうしたの?こんなところで」
「いや、遠くからお前らの姿が見えてな。面白そうだから声をかけてみただけだ」
「そ、そうなんだ」
そのとき、俺は今いる場所を思い出した。
「で、何で勇人は化粧品なんか見ているんだ?」
ここ、化粧品売り場じゃねぇか!
「よ、よう仁」
「おう勇人。で、なにしてんだ?」
玲奈の足がものすごく震えていた。俺もなんと答えるのかは気になるが、なんとなく俺についての変なうわさが流れそうで、怖い・・・。
「え~っと・・・、そう!プレゼント!玲奈に日ごろの感謝を込めて、プレゼントでもしようかと思ったんだ!」
いや、俺がついてきている時点で、嘘ってバレるだろ。仁はそこまでバカじゃないはず・・・
「そうか!いいやつだな勇人は!だが、自分だと種類が分からないから玲奈ちゃんについてきてもらうのは、今度からはやめたほうがいいと思うぞ」
バカだった!意外なほどバカだった!
そんなことを考えていると、玲奈がこちらへとよってきた。
(ねぇ、ここからどうするのよ)
(この後のこと、考えてないのかよ!)
(当たり前じゃない!とっさの思いつきで言ったのよ!むしろあの答えが出てきたことに対してほめてほしいくらいよ!)
(じゃあ、俺が適当に話を切るから、ほかの場所に行くぞ)
(わかった)
「なあ、勇人。お前こんなところに来て恥ずかしくないのか?ここに来るほとんどの人が女性だろ?勢いで来てしまったが、俺はかなり恥ずかしいぞ」
仁がいきなり大きな爆弾を落としてきた。
「ああ、たまに来るからな」
そして、玲奈はその爆弾に着火した。
・・・あれ?これからの学校生活で嫌なうわさが立つことほぼ決定してないか?
・・・詰んだ?
「へー、男で化粧品売り場に来るやつなんて珍しいな。まあ、頑張れよ。俺はどんなことがあってもお前らの見方だ・・・」
そういって仁は、去っていったのだった。
「「・・・」」
「なあ、なんかあいつ勘違いしていなかったか?」
「ええ、そうかもしれないわね」
俺たちの言葉に抑揚が減っていた。
たぶん仁は俺が(・・)よく化粧品売り場に来ると思っている。実際は玲奈がよく来るのであって、俺はほとんど来ない。来るとしても、それは玲奈の付き添いで来るくらいだ。
「なあ玲奈。なんでさっきあんなこといったんだ」
あんなこととはもちろん
「ああ、たまに来るからな」
と、仁に言ったことだ。
「ナンノコトカシラ」
「しらばっくれても、無駄だ。ここだと大きな声を出しづらいから、早くお会計を済ませて、帰ろうよ」
俺はにっこりと笑って言った。
「そんなこと言わないで、どうせなら飯食って行こうぜ」
「先延ばしにしようとしてもダメよ?」
「だ、だって、もう12時過ぎたし腹が減っただけだよ」
「へぇ」
時計を見ると、12時半になるところだった。俺の体のことだから、もうすでにかなりお腹がすいていると言うことは知っている。仕方ない。先にメシにでもするか。
俺は昼食中に怒る内容をまとめることを決意した。
「なら、いつものお店でいいわよね」
「あ、ああ」
玲奈の返事はかなりぎこちなかった。
昼食を終えた俺たちは、直ぐに家へと帰った。そして、現在は
「玲奈、なんで仁にたまに来るなんて言った」
リビングで玲奈に怒っていた。
「だって、いきなり聞いてきたんだもん。しょうがないでしょ?直ぐに返事をしなきゃって思ったんだから」
「普通に、馴れてないとか、玲奈の付き添いで来たことがあるとか、そういう当たり障りのない答えをしろよ!なんでよりにもよって”たまに来る”だけで終わるんだよ!俺は女子か!」
「は、勇人落ち着いて、ね?」
「落ち着いていられるか!俺の学校生活がかかっているんだぞ!」
「学校生活ってそんな大袈裟な」
「大袈裟じゃない!」
「だって、私は勇人として明日から学校に行くのよ?噂になるのは勇人だとしても、体は私が勇人なんだから、結果的には私が噂されるってことなのよ?」
「・・・あれ?ならいいのか?」
「当たり前じゃない。勇人だって、女子の中で実は委員長と付き合っているって噂があったの知らないでしょ?」
「たしかに知らない。・・・ってそんなこと噂になってたのか!?」
「ええ、もちろん。委員長も見た目はかなりいいけど、好きな人とかは他の子の前だと言わないし、勇人と一緒にいることもそれなりに多いのよ?そんな噂たっても不思議じゃないわよ」
「・・・なあ、玲奈」
俺は気づいてしまった。
「なに?」
「その噂って誰が教えてれたんだ?」
こういう自分の噂を、これからは自分で聞かなければならないということに。
「もちろん友達との会話で聞いた話だよ?」
玲奈は首をかしげた。
「やっぱりそうだよな・・・」
ああ、学校・・・行きたくないな・・・
疲れた・・・
あの後俺はそのまま寝てしまったらしい。らしいというのは、記憶がないからだった。起きたらリビングのソファーに寝かされていた。
そして、現在は夜中の3時
「腹減ったな・・・」
俺は昨日の夕食を食べていないことや風呂にも入ってないことを思い出し、ひとまずのメシを食べようと台所へ向おうと起き上がると、俺の体の上から布が一枚はらりと落ちた。
「玲奈がかけてくれたのか」
俺は玲奈の気遣いに感謝しながら、かなり遅い前日の夕食を食べるのだった。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
こんにちはyoshikeiです。
更新がかなり不定期になってしまっていますが、アイディアがなくマジでかけません。そのため、今後も不定期更新となってしまうかもしれませんが、気長にまっていただけたら嬉しいです。




