外伝 01 ~時は戻って3年前の秋~
150pv達成記念です。
「おーい、玲奈~」
俺は下校中に玲奈を見かけ、声をかけた。特に用事があったわけではないが、見かけるとなんとなく声をかけてしまう。
「あっ、勇人!どうしたの?」
玲奈は振り向くと笑顔でそう返してきた。
そんなに遠くではなかったが、小走りで玲奈の方へとむかい隣につくと
「いや、特になにもないよ。ただ、玲奈がいたからな」
と答えた。
「そうなんだー。勇人は?今帰り?」
「ああ、玲奈は買い物?」
「うん」
買い物などは当番制で、今回は玲奈だったことを思い出す。
「じゃあ、久しぶりに一緒に行くか」
そういうと、玲奈は一層笑顔になり
「うん!」
といった。
スーパーへと向かう途中、玲奈は夕飯のことについて聞いてきた。
「勇人、今日の夕食は何がいい?」
「?なんでもいいよ?」
「もう、いつもそうじゃない。その答えが一番困るんだけどなー」
「だって、玲奈が作るご飯は美味しいからね」
俺がそう答えると、玲奈は赤面して
「バカ」
と答えた。
この表情がまた可愛く、回りの人の目を集めるのだが、玲奈はそれに気付いていない。
また、この応答がひとつのテンプレのようになっており、近くでこれを見ている俺へと、嫉妬や羨望といった感情を含む視線が向けられることもいつものことだった。
ーーーーーーいつものスーパーにてーーーーーー
スーパーにつくと、俺はかごを持ち玲奈がそのかごにいれていった。
後日聞いた話だが、そのときにいたクラスメイトとの目からしたら、俺らはどう見ても夫婦に見えたらしい。
当人たちには一切そんなつもりはないのだが、一番効率がいいということで、今後も変える気はなかった。
「あれ?今日のご飯って肉じゃが?」
俺は、かごに入れられる食材を見て聞いてみる。
「うん、その予定だよ。嫌だった?」
「いや、全然。でも、明日の朝食が肉じゃが風味のカレーになることだけは避けてほしいかな」
「あっ、その手があったか!」
「いや、本当にやめてくれよ!」
そんな他愛もない話を続けながら、俺らは買い物を続けていた。
買い物が終わり店を出ると、
「あっ、ひとつ買い忘れちゃった!勇人は、先に帰ってていいよー」
玲奈はそういいながら、店の中へと戻っていった。
「あっ、勇人くん!」
そう声をかけてきたのは、俺のクラスメイトで玲奈の友達でもある高瀬 梓だった。
類は友を呼ぶという諺があるが、その諺の通りこちらも美少女とは言えなくもない。
実際、玲奈の友達と遊ぶこともあり(持ちろん玲奈がいる状況で、そのなかに混ぜてもらうような感じになるのだが、)その友達の連絡先などは知っていたりする。
「あ、高瀬さん。学校外で会うのは久しぶりだね。なにか用?」
俺は笑顔でそう答えたはずなのだが、
「うん、そうだね、久しぶりだよね」
と、毎回顔をそらされてしまう。俺って高瀬さんに何かしたっけ?
「で?なにか用でもあったの?」
「ううん、用は特にないよ?でも、勇人くんがいたから声をかけたの。学校外でクラスメイトに会っても声をかけたらだめなの?」
高瀬さんは上目使いで話してくる。俺の身長は男子の平均よりも少し低いくらいの159cmだが、高瀬さんは俺よりも低くちょうど目の高さ位に頭のてっぺんがある。
そのため、話をするときにはどうしても上目使いになってしまうのだが、どうしても目が合わせづらい。
「いや、そんなことはないよ」
そういいながらも、目を少しずらしてしまう。
「あれ~?目をそらしたね、勇人くん。どうしたのかな~?」
「!!そっ、そらしてねーし!玲奈が遅いからスーパーの出口を見ただけだし!」
と、このように強がって言い訳をしてしまうのは、男の性なのだろう。たぶん・・・。
「あっ、勇人、お待たせー。待っててくれたの?」
ここで、玲奈が戻ってきた。
「いや、高瀬さんにちょうど捕まった」
「玲奈ちゃん、ヤッホー!」
「アズちゃん!ヤッホー!」
二人は挨拶をすると、そのまま話を始めてしまった。
「玲奈ちゃん、勇人くんがひどいよー」
「どうしたの?」
「だって、何回も下の名前で呼んでっていってるのに、全然呼んでくれないんだよー」
「ふふ、勇人ー、恥ずかしーのー?」
こういうことを外ですることもないだろうに・・・。被害を受けるのは俺なんだぞ?
などと考えていたのだが当然のように俺に話が振られてきた。
いつものことなのだが、どうも対応に困ってしまう。
「普通呼ばないだろ?」
「それは、きっかけがないからだよ。勇人はもうきっかけがあるんだから良いと思うけどなー?」
「そうそう、早く梓って呼んでみ?梓って、ほら、あ・ず・さってさ」
なぜか、呼び捨てにまで発展してしまっていた。
こうなると、全く引いてくれないのが女性だ。“男は黙って腹をくくれ“と数年前に父に教えてもらった。
仕方ないか・・・
「はいはい、梓さん、これで良いですか?」
「えー、勇人~呼び捨てじゃないよ~?」
「そうだよ~?私はあずさって呼んでほしいんだよ~。あっ、アズちゃんでも良いよ?」
「そうそう、ほら早く早く!」
女三人寄れば姦しいというが、別に二人でも十分だよな。
と思いながら、俺は腹をくくり呼ぶことにした。
だが、このときの俺の決意はなかばやけになっていたというほうが正しかったかもしれない。
今思うと、今日の俺は少しどうかしてたのだろう。
「じゃあ遠慮なく、アズちゃんと呼ばせてもらおうか。アズちゃんどうした?
というか、こんなところで立ち話もなんだし家に来ないか?」
「へ?いきなりどうしたの?」
「勇人にしてはめずらしいね~、家に人を誘うなんて」
「うちなら、親もいないしさ、色々とできるだろ?良いよな、玲奈」
「来ることは別に構わないけど、勇人、あんたアズちゃんに何かするつもりじゃないでしょうね」
「い、色々ってなに?」
「色々は色々さ」
俺は、わざと何をやろうとしているのかわからないように言った。
まあ、普通に話をする場所を替えたいっていうだけの理由だが、ここで言う必要もないだろう。
「勇人、アズちゃんに変なことしたら、責任とってもらうからね」
などと考えていると、玲奈がすごい剣幕でにらんできた。言う必要もないとか考えていたけど、やっぱり言った方が良さそうな気がしてきた。
「ちょっと玲奈ちゃん、そんな真剣にならなくても良いよ」
「そんなこと言ったって、何かあってからじゃ・・・」
「私は大丈夫だよ。それに、何かあっても、家なら玲奈ちゃんもいるんでしょ?」
「アズちゃんがそういうなら良いけど・・・、勇人、変なことすんじゃないわよ!」
「はい・・・」
最終的にはやっぱり怒られた。ドラマで、こういうのをやってたから使ってみただけだったのだが、なにか悪いことでもあったのだろうか。
これからは使わないようにしようと心に決めた俺であった。
その後、アズちゃんこと梓さんと家へと帰った。
------家------
「だよねー!」
「ねー!」
玲奈と梓さんは話続けていた。
「梓さんは?飯食ってく?」
「ん~?あ、もうこんな時間なんだ。じゃあ、そろそろ帰るよ」
「えー、食べていきなよー」
「玲奈少し押さえて。こんな時間だし、梓さんの親御さんだって心配するだろうから。
まあ、食べていくって言うなら作るけど」
たぶん食べていかないと思ったのだが、
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな」
梓さんはそういった。
え、マジで?本当に食べてくんですか?
幸いさっき買い物から帰ってきたばっかりだから食材はあるが、俺が作るとなるとそんなにすごいもの出せないぞ?
そこまで料理はうまくないし、家族以外の人に食べてもらうのはこれがはじめてだったため、緊張する。
いや、一応家族以外の人に食べてもらったことはあるか。幼馴染みの委員長だけど・・・
俺がそんなことを考えている時、玲奈は梓さんとまだ話せるということで、喜んでいた。
「ほんと!?やったー」
「はしゃぎすぎだぞ玲奈」
緊張で声が少し震えてしまった。
予想が外れ内心ビックリしていたため、動揺を隠せずにいた。
「勇人よろしくね?」
「ああ、玲奈は梓さんと話してて」
「うん!」
「端から見ると、夫婦みたいだよ?」
ボフン!!
そんな音が聞こえそうなほど二人して赤くなってしまった。
「「そんなことない!!」」
二人して声を合わせて否定してしまった。そのせいで、赤いかおがさらに赤くなった。
その後は3人でご飯を食べ、梓さんを送り、1日を終えた。
こんにちはyoshikeiです。
150pvを達成したため、投稿いたしました。
次は1500ポイントか1000ユニークで投稿したいと思います。
今後もよろしくお願いします。




