外伝07 ~もしかしたらこんなバレンタインもあったかもしれない3~
第3部開始!
バレンタイン当日
私は今日、早く起きてしまった。
「はぁ、まだ5時だよ・・・」
いつもの休日なら、7時頃までは平日でも6時までは寝ているのに、5時に起きてしまったのだった。
そして、そんなに早く起きたのに全く眠くなかった。せめて眠ければ、2度寝をするという選択もあったのに・・・
「はぁ、もしかして緊張してるのかな、わたし・・・」
起きてから、何度目かとなるため息を吐きながら、そうつぶやいた。
私はここでうじうじしていても仕方ないと思い、部屋を出た。
部屋を出ると
「「あ」」
ちょうど勇人も部屋を出ると頃だったようで、ばったりあってしまったのだった。
「お、おはよう勇人」
「お、おう。おはよう玲奈」
私も勇人もバレンタインのことを考えていたからなのか、挨拶がぎこちなかった。
「・・・した行こっか」
「あ、ああ」
私たちはすこしぎこちなくなりながらも、いつも通りの朝を過ごしていった。
朝食や家事をすべて終えると、特にやることがなくなってしまった。
いつもなら、家事が終われば勇人とテレビを見るのだが、今日はそれができない。
どうしても、意識をしてしまい、きまづいのだ。
だが、それらの仕事を終えてしまうと特にやることがない。諦めて今週の録画を消費しようと、テレビのあるリビングへ行くと、そこにはすでに勇人がいた。
「あ、勇人」
「お、玲奈もやっと終わったか」
「うん。勇人こそ、わたしよりも先に終わってたんだね」
「ああ、まあな」
いつもどおりの会話ですら、どこかぎこちなかった。
「何から見る?」
「うーん、勇人が決めていいよ」
「わかった」
勇人はそういうと、テレビをつけた。
『いやー、今日はとうとうバレンタインですね』
『そうですね~。女性のかたは好きな人にチョコを渡すことができましたか?』
『男性は、チョコもらえましたか?』
テレビではバレンタイン当日だからなのだろう。
どの番組でもバレンタインのことで話は持ちきりだった。
そのため、二人はよりいっそうバレンタインのことを意識してしまい、さらに気まずくなるのだった。
(勇人にチョコを渡さないと)
録画していた番組もめぼしいものはおおよそ見終わり正午が過ぎた頃、私はふと思い出したようにそんなことを考えた。
いつ渡そうかと考えていると、
「玲奈は今日の昼食なにがいい?」
そう勇人に聞かれた。
「え?今日は勇人が作ってくれるの?」
「あ、ああ。まあ、日頃の感謝を込めて、たまにはな」
「ふふ、なにそれ」
勇人がそんなことを言うのが珍しく、少し笑ってしまった。
「なんだよ。なにかおかしいかよ」
「ううん。そういうことじゃなくて、珍しいと思って」
「たしかに、最近は玲奈に任せっきりだったような気もするけど、そんなにらわなくてもいいじゃんかよ」
勇人は、そういいながら恥ずかしくなったのか、そっぽを向いた。
気がつくと、私はいつのまにか普通に話せるようになっていた。
たぶん、勇人が気を使ってこんな話をしてくれたんだろうなと思うと、また笑みがこぼれる。
(ありがとね勇人)
勇人が料理をしている姿を見ながら、私はそう心のなかでつぶやいた。
勇人の料理が、食卓に並べ終わり、一緒に席についたとき
「はい、勇人。ハッピーバレンタイン」
私は勇人にバレンタインのチョコを渡した。
それは、昨日委員長たちと作ったものではなく、少し豪華な手作りチョコだった。
月曜日
「勇人がいつもお世話になってます」
私は歩美ちゃんたちと一緒に作ったチョコを勇人の友達や先生に配っていた。
委員長やアズちゃんも自分の友達や部活仲間に配っていた。もちろん、勇人に渡すことは忘れない。
変な勘繰りをされるのは、勇人も私も嫌だったからだ。
「ふぅ、一通り配り終えたかな」
そういうと、アズちゃんやアイちゃん委員長も戻ってきて、またいつものおしゃべりが始まった。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
外伝の方が多くかいているyoshikeiです。
今回の“もしかしたら~“はいかがでしたでしょうか。楽しんでいただけましたか?
第3部の投稿が予定より1時間ほど遅れてしまいました。すいません。なかなか執筆が進まず、この時間になってしまいました。
さて、話は代わりますが、現在2月17日に投稿する1000ユニーク突破記念で投稿するないようについて、アンケートを活動報告のコメント欄にて実施しております。
お時間ございましたら、是非ご参加ください。
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