外伝06 ~もしかしたらこんなバレンタインもあったかもしれない2~
第2部開始!
今日は土曜日
勇人は部活の練習で、午前中は家を空けているということもあり、
「玲奈ちゃん、ほんとありがとね」
「そうそう。作り方とか色々教えてくれたし、作る場所だって借りてるしさ」
「まあ、家に親とかがいたら作りづらいもんね。遠慮しないで」
「私も一緒によかったの?」
「もちろん」
家に友達を呼んで、一緒にチョコを作っていた。
~一昨日のとある会話~
「私さー、今年チョコ手作りしようと思うんだよねー」
「え!!アイちゃん料理できるようになったの!?」
「玲奈ちゃん、それはさすがにひどいよ」
「そういえば梓ちゃんは去年のクラスは違ったわね」
「そっか。知らないんだ」
梓ちゃんは去年だけ違うクラスだったのだ。
「え?何を?」
アイちゃんには料理に関する恐ろしい伝説があるのだった。
一時期は噂になったりもしたけど、先生たちが必死に口止めをしたためか、そこまでの大事には至らなかった。
「去年の調理実習の時の話なんだけどね」
「一人ずつでやる実習があったでしょ?
あの時愛梨ちゃんが、すごいものを作ったのよ」
「作ったっていうか、錬成したって感じだよね」
「どうやったら、あれになるのか想像つかないという点を考えれば、そうかもしれないわね」
私は去年のことを思いだしながら、身震いした。
アレは本当に凄かった。
ただのクッキーを作るはずだったのだが、真っ黒な墨ができたのだった。
ただ焼くはずだけなのに本当になぜできるのかわからない。
「まあまあ、そんな昔のことはどうでもいいじゃん」
「いや、昔じゃないし、あの後食べた先生倒れたからね?」
「あの後さすがに練習くらいはしたよ!」
練習したといわれても、あんなものを作った人のことをすぐに信用することはできない。
人の信用は失うは簡単だが得るのは難しいのだ。
「まあ、今回ははじめてだし、みんなで一緒に作ろっか」
「玲奈ちゃんナイスアイディア!」
「まあ、愛理ちゃんにまたあんなものを作らせるくらいなら、その方がいいかもしれないわね」
このあと、アイちゃんも賛成してくれたため、話はどこで作るかということになった。
「ねえ、結局どこで作るの?」
「たしかに。狭いと作りずらいだろうし、そもそも親の前とかで作りたくないよね」
「アイちゃん、チョコを作るならそんなに台所は広くなくていいんだよ?」
「え?そうなの?」
アイちゃんに料理をさせて本当に大丈夫かな?なんだか心配になってきた・・・
「玲奈ちゃんの言うとおりね。
チョコの場合は溶かして型に容れるだけだもの」
「へー」
そこでふと思い出した。
「あ、私の家なら13日の午前中なら勇人も家にいないし、親もちょうどいないよ?」
流し台はそこまで広くはない。
だが、ダイニングキッチンということやお母さんが料理好きだからなのか、私の家の台所はカウンターがついている。
そのため、このメンバーでチョコを作るくらいはできるスペースがあった。
「私の家でやるなら、今からお母さんに確認するけど、どうする?」
歩美ちゃんはアズちゃんとアイちゃんに聞いてから、答えた。
「じゃあ、お願いしてもいいかしら?」
「うん」
その後、お母さんから呼んでもいいという許可をもらい、土曜日に私の家で一緒にチョコを作ることになったのだった。
~土曜日~
ピピピピ、ピピピピ カチッ
調理用のタイマーがチョコの完成を知らせてくれた。
「みんな、できたよー」
「はーい」
「やっとできたー」
私が呼ぶと、アズちゃんとアイちゃんは返事をしながら、歩美ちゃんは返事はなかったが、ほっとしたような顔をして歩いてきた。
3人がくると、私は冷蔵庫を開けてみんなのチョコを取り出した。
「これが歩美ちゃんで、これがアズちゃん、そしてこれがアイちゃんね」
そういいながら、私は各人にチョコを渡していった。
「後は、ラッピングだね」
「じゃあ、早くラッピングしちゃおう!」
「うん!」
「そうね」
そういうと、みんなラッピングをしはじめた。
そして、ラッピングが終わり、みんなは帰った。
「あ、もうちょっと時間ありそう」
私が時計を見ると、勇人が帰ってくる時間までには、時間があった。
新しいチョコを作っても大丈夫なくらいには、残っていた。
「よし!」
私は、勇人のためにもうひとつ作りはじめたのだった。
第2部投稿できました。
第3部は明日の9時頃投稿予定です。
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