外伝05 ~もしかしたらこんなバレンタインもあったかもしれない1~
またまた、時期ネタ投稿
今回の外伝は3部構成です。それと、玲奈視点です。
バレンタイン
海外では男性が女性に贈り物をする日。
でも、日本ではちがい。女性が男性にチョコを送る日。今では、友チョコや義理チョコなどもあるけど、基本的には意中の男性に送る。つまりは女性が想いを伝える日。
~およそ1週間前~
「あー、甘いもの食いてー」
「わかる、わかる。最近疲れること多いよな」
「そうなんだよ。疲れたときって甘いもの食いたくなるよなー」
一週間前だからなのか、男子のそんな話声が聞こえてくる。
最も、聞こえるように話しているのだろうけど、露骨すぎてあきれてしまう。
かくいう女子も
「ねえねえ、委員長は誰にあげるの?」
「あ、それ気になる!」
バレンタインの話で持ちきりだった。
「今年も去年と同じで、勇人くんと佳人くんにあげるつもりよ。
幼馴染みだし毎年のことだから、習慣みたいなものね」
毎年勇人は多くのチョコを渡されるが、そのほとんどを断って帰ってくる。
そのためか、断られた子から毎年のようにグチを言われるのだ。
勇人がもらうチョコといえば、私と委員長のもの以外はない気がする。
「なーんだ。つまんないの」
「本命はないの~?」
「そんなものないに決まってるじゃない」
「え~」
こういう話しになると、
「ねえ、玲奈ちゃん。
勇人くんってさ、バレンタインデーって予定あったりする?」
やっぱり、勇人の名前が出てきた。
「あー、どうだろう。
そういうことは、勇人あまり私に話さないから、よく知らないんだよね」
これは半分嘘だった。
勇人はほとんどの予定を教えてくれている。
放課中の予定は知らないけど、バレンタインデーの放課後の予定は聞いていて、空いていた。
最近は両親の出張が多くなってきて、バレンタインデーは家にはいない。
勇人は年頃の男の子だし、彼女がいてもいても不思議じゃない。
だから、バレンタインに勇人の予定を聞いてくる人は多い。
小学校にかよっている頃は他の女の子に勇人を呼んでほしいといわれれば、普通に仲介くらいはしていた。
だが、中学に入ってからはなぜかやらなくなった。
勇人に彼女ができることはいいことのはずなのに、紹介とかはしたくない。
他の女子が勇人と一緒にいるのを見るといやな気持ちになるのだ。
(もしかして、私は嫉妬してるの?)
そんな考えが頭に浮かんできたが、ブンブンと頭を振ってその考えを頭の中から追い出そうとしたが、なかなか出て行かない。
そんな時、
「玲奈?急に頭なんか振って、どうしたの?」
と声をかけられた。
「う、ううん。なんでもない。大丈夫だよ」
(いくら歩美ちゃんでも勇人のことで嫉妬してたなんていえるわけがないじゃない)
そんなことを考えていると、いつの間にか学校は終わっていた。
今日は部活もなく、家に早く帰れる。そう思いながら、勇人に声をかけようとしたその時、
「勇人君、勇人君、バレンタインデーって何か用事ある~?」
そんな声が聞こえてきた。
さっきのは、同じクラスの柳沢 瑞希ちゃんだ。
「あ、柳沢さん。誘ってもらえてありがたいんだけど、ごめんね。
バレンタインは先約があるんだ」
「そっか~。じゃあ、またね~」
また断っていた。去年ののバレンタイン位からだろうか。勇人は、女子からの誘いを断ることが多くなっていた。
「あ、玲奈」
「勇人、今日私は部活ないけど、勇人はあった?」
「ちょうど、休みんだ。じゃあ、久しぶりに、行くか」
「そうだね」
勇人はさっきのことは全く気にしていないようで、いつもと変わらなかった。
(男子って女子から何か誘われたら、少し位は動揺するような気がしたんだけど、違うのかな?)
そんなどうでもいいことを考えながら、私たちは、近くのお店によって帰ることにした。
今日の夕飯を考えながら歩いていたのだが、行く予定のお店が近くなってもいっこうに決まる気配がなかったので、
「勇人、今日の晩御飯なにがいい?」
勇人に聞くことにした。
(あ、このフレーズ外で言うのは久しぶりだな)
「?なんでもいいよ?」
「そういう答えが一番困るんだけどなー」
「だって、玲奈が作る料理はなんでもおいしいからな」
私は、ビックリして顔が熱くなるのを感じていた。
きっと、今ごろは、顔が真っ赤だろう。
「そういうことは、彼女に言ってあげなさい」
勇人から、顔を背けながらそう言った。
お店につくと、一番はじめのところに板チョコがおいてあった。
(もうすぐバレンタインだから、たくさん売れるってことでおいてあるんだろうけど、どこもかしこもそればっかりね)
私がボーッとしている間も、聞こえてくる話はバレンタインの話ばかりだった気がする。
「もうバレンタインか・・・」
勇人はそう呟いた。
「そうだね。そういえばさ」
「ん?玲奈、どうした?」
「帰る前に、瑞希ちゃんの誘い、断ってたよね」
「ああ」
「どうして断ったの?」
「今年は、他の人からはもらわないようにしようと思ってな」
「なんで?」
「それは秘密だ」
勇人は笑って、それよりも今日の献立何にするか決めようぜと言った。
そして、私たちは買い物を終えると家に帰った。
どうも、最近外伝の方がよくかいているような気がするyoshikeiです。
前書きにも書きましたように、今回の“もしかしたらこんなバレンタインもあったかもしれない“は、3部構成となっております。このあと、もう一部投稿いたしますので、そちらも読んでいただければ幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。