プロローグ
初めて小説を書くのでドキドキしております。
おかしな点や違和感などがありましたら遠慮なくお願いします!
プロローグ
「ねえ、瑛麻。私再婚しようと思うの。」
今日の夕食に告げられた母親の思いに私は驚くしかなかった。なぜなら、母はそんな素振りを一度も子供である私、能田瑛麻に見せなかったからである。
父親は私が幼稚園生の頃に他界したため女手一つでずっと育ててくれた母親の思いは尊重したいと思う反面、知らない人が新しい父親になる事の不安が込み上げて来た。
母には近々相手の家族と私たちとで食事をする事、母と相手の男性は再婚する気はあるが、二人とも子供がいる為少しずつ一緒にいる事に慣れてから一緒の籍になりたいという事、急に今の生活から離れる訳では無いから安心して欲しいという話もされた。
他の事も何か言っていたが、頭が着いていかず内容はそこまでしか覚えていない。私はため息をつきながらベットに仰向けで倒れ込んだ。
「KAIくん……どうしよう?」
と天井に貼ってある1番お気に入りのKAIのポスターに問いかけてみた。
因みにKAIとは今大人気の男性アイドルグループ『STEP』のメンバーで、来週メンバー初のソロデビューをする人気急上昇中のアイドルだ。
KAIは歌って踊れて頭もいいというハイスペックなのだが、何と言っても可愛いという所が私の心を掴んで離さなかった。いや、全体的に見れば可愛いのだが、体の1つ1つのパーツに男らしさを感じさせる所と言った方がいいだろう。声は高いが、首元は喉仏が出ていてセクシーな所や、細い腕のさりげない筋肉の膨らみなどは最高である。
自己紹介が遅れたが私は能田瑛麻。16歳で、南女子高校の2年生。料理部に所属しており、部長も任されている。今の所母親と二人暮らしをしており、幼少期より母親は仕事で夜遅くまで帰って来なかった為大体の家事はこなせるようになった。中でも料理が大好きで、料理部に入った理由もその為である。
言うまでもないと思うが、私はアイドルが大好きなのである!
中3の夏に友達に受験勉強の息抜きにSTEPのコンサートに連れて行って貰った時に一目惚れをしてしまった。それ以来、受験が終わるまでは勉強を頑張り、偏差値も高くアルバイトの許可が降りている南女子高校に進学してからは、小さな雑貨屋さんでのんびり働きながらSTEPのライブにたびたび参加していた。
実は私はもう一つ大好きなものがある。
それはアニメだ!!
小さい頃からずっと憧れていた世界
アニメは大人から子供まで幅広い層が楽しむ事が出来、アイドルとは違う角度から見ている人を幸せ
にする事が出来る私にとって掛け替えのないもの。
いつかアニメの登場人物になりたいという幼少期の夢を母は叶えようとしてくれた。高校生でも入れる声優の養成所に南女子高校の入学祝いとして入所するために必要なお金を用意してくれた。
オーディションに合格して入所出来た時は物凄く嬉しかったし、母の為にも頑張ろうと思った。家は決して裕福ではないので、お金が無駄にならないように絶対に声優になる。そう決意した。
初めての文化祭が終わった9月の事だった。
養成所の先生から電話がかかって来た時は焦った。
滅多に電話をかけては来ない為、私はてっきり養成所を辞めさせられるのではないかとビクビクしながら電話を耳に当てた。
「オーディションを受けなさい!」
興奮気味に先生が言った。
いきなり過ぎてよく分からなかった。
先生曰く、大きな作品のオーディションに私のボイスサンプルを送った所二次審査に進むという連絡が入ったらしい。
私は迷わずオーディションを受ける事にした。
折角のチャンスなのだ。掴まなければ。
二次審査は1ヶ月だったので、先生は私にビシバシ演技の指導や現場での礼儀作法など沢山の事を教えて下さった。自分の未熟さ故に先生に着いていけなくなってしまった日もあったけれど、KAIに元気を貰いながら先生の無茶難題に食らいついていった。