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説明会

おっさんふぁんたじーです

8月14日  ×お譲ちゃん 〇お嬢ちゃん

       ×子共    〇子供

訂正しました

誤字指摘ありがとうございました。

 明けて今日は説明会


 朝食のビュッフェを腹八分に堪能したオレは、時間まで優雅に腹ごなしの散歩に向かう。


 エレベーターを降りると流石、朝も早よから会場になるホテルのロビーは賑わっているわけだ。


 受付の列の整理で混沌としているロビーを横目に外に出る。


 少し歩いて何となく空を眺める。 朝とはいえ夏の日差しは堪えるねえ~あ、いけねサングラス部屋に置いて来ちまった。


 取りに戻ろうかと踵を返す前に

「あの・・・すいません」

 イキナリ謝られた・・・ではなく。


「はい、なんでしょうか?」

 営業用の声色でにこやかに・・・昨日みたいのはごめんだ。


 声の出所はオレよりも少し高めの背丈の美女だった。

「あ、はい・・・道を教えていただきたいんですが」


「わかりました。」

 速やかに人差し指を立てスウーっと下を指す

「これが道です。」

 下に向けた指を彼女の後ろに向ける。 それを目で追うこの子は、見た目と違って結構素直な子供っぽい性格のようだと勝手に性格診断。

「あれが山です。」

「いえいえ、その道でなくてひゃ?!」

 ブンブンと首を勢いよく振る彼女。 その長い髪を後ろに纏めたポ二ーテイルが元気よく跳ねてその顔に『ベシッ』っと当たった。 クリーンヒットしたのか顔を押さえて蹲る。 面白い子だ。


 そのまま親指で自分の後ろを指し

「大丈夫かね? そして、恐らく君が知りたい『ブレイクワールド』の受付はそこのホテルのロビーだよ。」

 それを聞いて彼女は顔を赤くしながらも目を丸くしている。 成人してると思ったが・・・女の子・・・のようだな。


「え? あれ、どうして・・・?」

 なんか不思議そうにこちらを見つめるこの子はなんか大人な体型に似合わず小動物っぽい雰囲気だ。

「ん、違ったか? もしお嬢ちゃんの聞きたいのが生きる道とか信じる道とかの哲学っぽい問いなら少々時間をくれないとおっちゃんも困っちゃうぞ?」


「いえ、そうじゃなくて・・・なんで私の尋ねようとしたところを知ってるんですか?」

 好奇心一杯な無垢な瞳で見つめてくる。 スマンおちょくったオレが悪かったと謝りそうになった。

「あ~~~とりあえず当たりだったみたいだし。 歩きながらでOK?」

「え? あ、はい・・・でもホテルから出てきたところだったんじゃ・・・」

 悪い気がしてるのか語尾が小さくなっている。

「あ~いい、いい! オレも忘れ物があったんで丁度良いから」

 手を振って否定してやるととたんに笑顔満天になる・・・気持ちいいくらい素直な娘だねえ・・・違う意味で心配になってくるな。


 ~~~~~~~~~~~


「ぶっちゃけるとこんな時間。開園前の施設の関係者に見えない、中高生ぐらいの君が知りたい場所って言えば。 今回のベータテスト参加者ぐらいと推理しただけだよ。」


「え?! ん・・・なるほど・・・それで聞きたい道がわかったんですか~凄いです! ・・・あれ?」

ロビーに入った後。 ついでと思い受付で並び暇つぶしも兼ねて話していた。


「どうしたの?」

 何かまだ疑問があるみたいなので問うてみると

「私・・・学生って言ってませんよね? どうして?!」

 何か嬉しそうなのは気のせいか?

「まあ、雰囲気がまだまだかわいい子供って感じだったから?」

 あえてガキっぽかったとは言うまい。 だから対応が年下対応に変わったんだが・・・ん、なんかプルプル震えてるような・・・? ってなんか泣いてないかいこの娘?!

「どうし「うれしいんです!!」た・・・はあ?!」

 突然のセリフに語尾が上がっちまったい。

 嬉泣きかい・・・思ったよりも感情豊かなんだな、ギャップ萌えとかいうやつかね? っていうか、周りから伺うような視線を感じるんですが・・・。

「いままで・・・私の・・・その・・・背が高いとか・・・外見で大人に見られてばっかりで・・・。」

 ぐずりながら消え入りそうな声で、話し出すその言葉に「ああ、なるほど」とため息一つ。 確かにこの娘は一見人目を引く高い背とグラビアアイドルのような色気と言うか、 セクシーとも言える立派な体型をしてらっしゃる。

「苦労してたんだなあ・・・」

 しみじみと苦笑・・・持てるものの悩みってか?

「はい・・・小学生の時からヤラシイ目でゴニョゴニョ・・・を見られたり・・・街に出たらナンパされたり・・・ホテルに連れ込まれそうになったり・・・」

「おいおい・・・」

 まあ、確かにボリュームがある胸だが・・・イロンナ意味でホントに大丈夫かこの娘? 

「あ、いや・・・別に何も無かったですよ! 友達が助けてくれましたし! ホテルに連れ込まれそうになっただけで入ってないし! 私これでも腕におぼえがありますし!!」

 自分の言ったセリフに気づいたのか慌ててフォローしてるのをほほえましく眺めているとイキナリ手を掴まれた。

「へ・・・?」

不意を撃たれて不覚をとった・・・と言うか、この娘本当に腕におぼえがあるようだ。 ・・・って思ってる間に手をその胸元に抱き寄せられていた。

「うおい!?」

 流石においちゃんも焦っちゃうぞ・・・ってか周り見て! 視線が痛い!

「それで、友達からそういったのの対処の仕方を教えてもらって何とかしてたら・・・大人っぽいとかクールだとかって余計にそんな風に見られるようになって・・・でも!」

 ズイ!っと顔をよせてくる・・・泣き止んでるのは良いがなんかテンション上がってるっぽい? 周りが見えてないな・・・お~い戻ってこ~い!

「初めて会った人でちゃんと歳相応に扱われたのは初めてで嬉しかったんです!」

 更に詰め寄ってくる。 アップに耐える容姿って~のかね? オレがロリコンだったら危ないところだ。

「はい、ストップ」

「ふにゅ!?」

 ちょっと押されたらキス(シャレニナラナイコト)になりそうなので、デコに空いた左手を沿え軽く押さえつけた。 

「な、なに? なんで!?」

 急に体勢を崩されてパニクッてるようだが手は未だこの子の胸の中・・・放してプリ~ズ!

「とりあえず落ち着け嬢ちゃん」

「へ? あ、はい!」

 素直でよろしい。

「嬉しいのは存分に理解した・・・が、周りに注目浴びてる。 時と場所は弁えてな?」

「あ・・・はい・・・」

 周りを見回すと見物して覗き込んでた数人が目を逸らしていくのに漸く気づいたようで、顔を赤く染めていく。

「あとな・・・」

「は、はい!!」

「おっちゃんは別にいいんだがよ? カワイイ嬢ちゃんがそんなことホイホイしてると他の野郎共は勘違いしちまうから気をつけなさいな」

 抱かれた手の人差し指を立てそのまま『チッチッチ』ってなジェスチャーでおどけてみる。

「はい!? あ、ああ・・・ごめんなさい!ごめんなさい!!ごめんなさい!!!」

 うん、胸から遠ざけてくれたのは良いんだが、ペコペコ元気良く謝ってる間も手を握って離さないのは勘弁して・・・

「なんで、あんなおっさんが・・・」

「見せびらかせやがって・・・」

「バクハツシロ・・・」

 って色々聞こえるんですが・・・

「はあ~~~・・・よっと!」

 深いため息一つ、掴まれてる腕をホンの少し押し反発する押し返される力を感じた瞬間、相手の右手首を掴み、流れるように引きよせ更に回転運動を加えていく。 それを一挙動で行い、嬢ちゃんの身体が踊るように一回転。 その勢いのままオレの真横に移動させ肩を軽く柔らかく受け止め前を向かせた姿勢で止める。

「「「「「「おお~~~!?」」」」」

 回りの声に一瞬何が起きたか解らずキョトンとした表情になってる嬢ちゃん

 頭頂部を軽くポンポンと叩き覚醒を促す。

「おちついたかね? っとコレは失礼」

 言って肩に置いた手を離す。

「強引だとは思ったが取り止め無かったんで悪いね。 あ、セクハラ通報とかは勘弁な。 今まで法は犯して来たとはいえチカンとセクハラはまだないんで」

 おどけて言うと周りの何人かが法を犯したの辺りでズザッと離れる気配がする。

 今までの経過で冗談に気づいたのかクスッと笑い

「訴えませんけど・・・犯罪者さんだったんですか?」

と笑いながら聞いてくる。

「ああ、幾多のツミを犯してきたもんだ・・・駐車違反と法定速度超過だけだがな・・・おかげでまだ免許は青免許さね」

 懐は寒くなるがちなみに前科は着きません。

「まあ、普通に冗談だがね」

「プッ・・・でしょうね」

 お互い笑いあってリセットと・・・。

 そうこうしてるうちに順番が回ってきたので手続きを早々に済ませる。


~~~~~~~~~


 受付も済んでロビーの端


「じゃあもう大丈夫なようだな。 あれ、ホテルのルームキーは貰わなかった?」

「あ、友達と応募したんで3人同室なんです。 さっきも逸れちゃったんで先に来て待ってたそうなんです。 あ、部屋番号は「チョイ待ち!」は、はい!?」

「そんな今日会ってすぐのこんな中年にイキナリ部屋番号とか教えないの!」

「は、はい・・・」

 ちょっと強めに注意するとシュンとして俯く。

「信用してくれるのは嬉しいけどな、もしオレが悪いやつだったらと思うと・・・いや、オレ自体清廉潔白な人物でもないがな?」

「いえ、おじさまの意見もわかりますし・・・これでも私は人を見る目には自信あるんですよ! おじさまはいい人です!」

 そう言いながら詰め寄ってくる・・・近い近い・・・

「まあ、そういってくれるのはありがたいが・・・おじさま?」

 どうやらオレの呼び方らしい、もしかしてホントにどっかのお嬢さまか?

「あ、すいません・・・友達に聞くところ私の家は古い家系で、普通より少し躾が厳しいらしくこういった呼び方になってしまいます。 そういえばおじさまのお名前を伺ってもよろしいですか?」

 どうもバリバリのお嬢様だったようだ。

「オレはおじさまって柄じゃあないなあ・・・あと、名前ねえ・・・そうだな、こうしよう」

「教えていただけますか?」

 にじり寄ってくる・・・なんかそこはかとなく怖いと思うのは気のせいか? 普通この場合男女立場が逆じゃね? コレも時代の流れか・・・。

「え~と、な・・・オレ達は今回ゲームに参加する為にここにきてる・・・OK?」

 にじり寄る彼女を牽制するように言い放つ

「はい、そうです」

 キョトンとして返事をするのをみて何気に操作方法を見つけた気分?

「とりあえずそれならお互いキャラを作る筈だからそのキャラにつける予定の名前で名乗らないか? その方が面白いと思うし」

「本名は明かせないと・・・?」

 少し悲しそうな彼女を見るとなんか罪悪感を感じるが・・・

「まあ、まて!」

「!? は、はい!」

「それで一週間の間に・・・良ければお互いの事を話すで良いんじゃないか?」

 パアッっと花が咲いたような笑顔になる。 この娘もう少し成長したらオレも危なかったかも・・・まあ、将来有望だねえと心の中でごまかしとく。

「わかりました・・・では、この一週間でおじさまの心を掴んで見せます!」

 おいおいなんか告白されてる気分なんですが・・・まあ信頼を得るってことでよかろう・・・多分。

「お、おう・・・がんばれ。 とりあえずオレは『政十郎』にする予定だ。 まあ取り易い名前だけど・・・もし取れなかったらそのときはそのときで」

「政十郎様ですね・・・好い名前です。 私は友達と決めてた『桜花

』にしようと思います。」

 桜花・・・また取り難い名前だな・・・まあ、200名だし普通より倍率低めかな? 今回一人1キャラみたいだし。

「桜花ね、取れると良いな。 いい名前だし」

「はい、それから・・・」

「うん?」

 言いよどむように俯く桜花を覗き込むと『ガバッ!』というぐらい勢いをつけて顔を上げると

「本名は桜咲おうさき 華乃かの 都内星歌学園高等部1年F組で16才です! 不束者ですが以後よろしくお願いします!!」

 突然まくし立てるような自己紹介だ

 あっけに取られ呆けるオレをしり目に

「出会ってからの時間は少なくとも政十郎様に本当の名前を預けるほどには信頼しておりますのでよしなに」

 と、ぬかしやがった。 開き直った女は怖いというが・・・この嬢ちゃんも侮れない女だったわけだ。

 オレがニヤリと嗤うと女もニコリと笑う・・・お互いが譲らない意志を感じるのは気のせいではなかろう・・・失礼だがこいつとオレは本質で似ているのかも知れない・・・負けず嫌いってとこで。 まあ、今オレに一本入れたわけだがな。

「コレは一本取られたな・・・面白い・・・ああ、よろしくな!」

 まさかこの出会いが今後ああいう関係になるとはオレもこのときは予想もつかなかったわけだ。


 ~~~~~~~


 【午前10時『ブレイクワールドクローズドベータテスト』説明会】


 貰ったパンフレットの指示に従って時間前に散歩から戻り、軽くシャワーで汗を流す。

 とりあえず昨日のスーツを着込みサングラスは胸ポケットにしまっておく。

 会場は地下のパーティーホールで行われるらしいので、ちらほら見える人の波に乗って移動・・・会場に着くと奥行き100m四方ぐらいの大きな部屋に、会議室でよく見かける3人並びで座る長机とパイプ椅子が100人分+アルファ、正確には112席座れるように並べられている。

 あれ? 参加人数200人でなかったっけ?

 なお、正確な数は特技の記憶術と頭の中で線引き区画割、暗算で万単位までなら瞬時に計測可能だったりする。

 こういった特技等の応用を工夫するのは得意なのだが・・・便利・・・なだけで実用で役立つことはほぼ無かったりする。 あえて言えば仕事の中でシステム構築等にそういった発想が生きることがあるのが救いでもあるか?

 人によってある種のスーパースキルに見えるらしいが、一つ一つのオレが持つこういった特技は若い内からコツコツとやれば、習得の速さの差はあるものの誰でも使えるようになる。

 ぶっちゃけ一日二日でできるもんではないとだけ言っておく。 継続することが惰性ではない継続は力なのだ!


 まあ、とりあえず・・・パンフレットの整理番号にしたがって自分の席を探す。

 はて、番号のあるべき席はすでに人が座っている。

 女の子二人が横に並ぶ後ろの席であってるはずだが・・・

「ねえねえ、たのむからさあ~メアド教えてよ~」

「いっしょにベータやるのも運命?ってことで折角知り合ったんだし後でPT組もうよ~」

「俺達この手のゲームは慣れてるからさ~一緒だとイロイロお得よ?」

「お前のはエロエロだろ~」

「うっせバカヤロ!」

 同じ年頃のバカモノ・・・あ、いや若者がナンパの真っ最中である・・・うん、あの席であってるな。

「だから私達はそんなのいいって言ってるでしょ!」

 声をかけられてる側のツインテールとか言う髪形だったか? の美人系の娘が迷惑そうに断っている。

「そうそう、誘うだけ無駄、無理、無謀」

 もう一人はショートのカワイイ系ってやつかな、携帯ゲームをやりながら目も逸らさずにブッタギッテル。 意外にクールだ。

 正直相手を怒らせてる時点で失敗だろうに・・・場所も考えて諦めなさいな。

 回りも迷惑そうに見てるの気づきなさいな。

 そんな感想を持っていたが

「おいおい、そんなこと言って嬉しいくせに~」

「怖い顔しないでさ、スマイル、スマイル~」

 だめだ、空気読めてねえ・・・しかもゲームしてる子の肩に手を回し強引に引き寄せてるし・・・あ、なんか凄くムッとしてる・・・

「しかたねえな・・・」

 胸ポケットから出したサングラスをかけながら自分の割り当てられた席に近づいていく。

『ザワッ!!』

 周りがオレに気づいて一瞬音が止まる。

「コレがあるからなんか嫌なんだよな・・・」

 便利ではあるがなんていうかね・・・心がイタイのよ・・・チクチクと

「ねえねえ、それに「ちょっと失礼」さ・・・あ!? なん・・・だ・ょ・・・・」

「なんだ、どうし・・・・・・」

 声色を少し落とし声をかけ、静かに立って男達を見下ろす

 驚いているのか口をパクパクさせて一向に進まない。 前の二人も怒ってたのが突然の場面転化に付いて行けず目を見開いて驚いてる。

 そしてオレは心で涙を流す。 セリフでいうとキメ台詞、自分で言うとキメエセリフ。 ちなみに泣き声は『シクシク・・・』

 気を取り直しパンフレットをかるく掲げてふりながら

「さっきからオレの席を探してるんだが・・・ここは68番ではないのかな?」

 オレの問いかけにようやく気づいたのか3人の男が申し合わせたように机の番号を確認する。

「ふむ・・・どうやらお兄さんは席を勘違いしてると思うんだが?」

 目の前の一人に視線を向けると慌てて立ち上がる。

「そ、そ、そうですね。 あ、あれ~おかしいな~見間違いしてたみたいですね~・・・」

 少し気の毒なくらい青ざめてる・・・そんなに怖いか・・・オレ・・・?

「そうかね、気をつけなよ? 人様の迷惑になるからのお・・・」

 手持ちぶさたな右手を懐にいれる・・・あ、散歩中にゲームで取ったアメがあったっけ・・・溶けてないかな~?

「そ、そうですね・・・どうも、失礼しました~~~!!」

「すいませんでした~!」

「たしか、前のほうだったよね!」

 アメのことで眉間に皺がよったのと懐の右手に何か勘違いしたのか3人が脱兎の如く去っていった。

「部屋の中で走るなよ・・・」

 いいながら席についてアメの確認・・・良かった溶けてねえ。

 オレの出した幾つかの景品の小さな袋に前の娘達は呆気にとられてるようだ。

「早く席に着きたかったのと、嬢ちゃん達が迷惑そうにしてたんでやったんだが・・・イラン世話だったかい?」

 サングラスを外し笑いながら話しかけるとようやく緊張を解いてくれた。

「え・・・もしかして助けてくれた?」

「おっちゃんたすかった・・・でも、それとると別人」

 無表情でサングラスを指す

「まあ、役に立つが言ってくれるな・・・なんか挫けそうだから・・・」

「「ははは・・・・」」

 乾いた笑いがなんか微妙にいや・・・

「ただいま~・・・あ、おはようございます政十郎様!」

「「様!?」」

「おう、おはよう」

 いいつつ左隣に桜花が・・・あ、パンフレットの整理番号だから貰った順に横並びなわけか。

「あれ、二人とも政十郎様と話してたみたいだけどどうしたの?」

「うん、さっきね、華乃がトイ「席を外してた」・・・時にナンパがきててこの人が追い払ってくれたんだ~」

 このツインテール外見の割りに結構・・・ウカツちゃんかも? そして桜花さんちょっとその笑顔怖いです・・・なんか覇王なオーラが幻視できそう?

「ところで桜花のほうこそ、昨日言ってた友達ってこの子達か?」

「はい、昨日は途中ではぐれてしまいまして・・・」

「悪い・・・ここのアミューズ24時間稼動でレトロゲームの誘惑に抗えず」

「キャッチャーにヒーロー変身ベルトがあったんで夢中に・・・」

「・・・。」

「そ、そういえば桜花ってキャラネーム教えあった男性ってこのおっちゃんのこと?」

 ツインテールが話題を変えようと必死だ目が泳ぎまくってる。

「そうですよ、私は本名でもいいのですが・・・それと政十郎様。 知らないうちに友人も助けていただいてありがとうございました」

 ふかぶかと頭を下げる律儀な娘だ・・・まあ、そんなとこは好感がもてるな。

「『ライズ』予定よろ」

 ゲーム機から顔を上げてショートクールがブイサイン。

「じゃあ~私も月森 ち・・・じゃ無かった『エイシャ』助けてくれてありがとう。 もう少しであいつらにライダーキックブチかますとこだったよ!」

 ツインテールはテレながらあははと笑う・・・桜花と違う意味で心配な娘だな。

「ほんじゃあ、政十郎だよろしく」

 二本指で軽く敬礼のような仕草でかえす

「ところできになってたんですが・・・この机に広げられたキャンディーはなんですか?」

「ああ、朝の散歩がてらにさっき話しに出てたアミューズで暇つぶしに取った景品のお菓子・・・いるか?」




~~~~~~~~~~~~




 午前中の説明会の後は各自案内に従って体力測定と適正チェック、簡易の健康診断だった。

 まあ、このクローズドベータテストで万が一にも事故等あってはならないからとのこと。 事前に健康診断の証明を郵送等しておくのが当選条件にあったが、どうにかして健康に問題無しと送り、実際は問題あり・・・とかもありえるからとのこと。

 正直オレは一般の募集で診断書に『肥満』とあったからケラレタと思っていたのだが、昨日そのことで聞いてみると体型は関係ないらしい。

 その証拠となるかはわからないが比較的オレよりも恰幅のいいのが何人か見受けられた。

 単にオレがゲストとして最初から

呼ぶ予定だったため応募枠からはじいていたと聞いたときは、まず健康診断の料金返せ

と思ったのは間違いではないはずだ・・・たぶん・・・

 もう一つ適正チェックは今回のヴァーチャル空間では基本3倍速で体感する。 つまり現実で一時間はゲーム中は約三時間に感じる。 そして今作の売りにインスタンスフィールド(IF)やインスタンスダンジョン(ID)がありPT限定とか個人しか入れない仕様のクエストがあり、その中はプレイヤーの適正によって最高8倍まで加速されるらしい。

 人体に影響は無いのか? との質問にそれをAIの管理の下仮想世界にプレイヤーごとの簡易人口脳がありそれが負担を消すと共にステータスの及ばないはずの反射神経や知能を補助までする。 つまり・・・バカでも天才マドウシキャラとかできると?

 体力測定ではちょ~っと年甲斐も無く張り切りすぎた所為で明日の筋肉痛が怖いところ・・・運動するときは長くするんだが、止めた後全くしなくなってたからな~肥満にもなるか。

 肥えて逆に歳不相応の貫禄が出てきた・・・って言われた時はオレって老けて見えるの!?って落ち込んだもんだが・・・

 ちなみに張り切っちゃったのはゲームでのキャラの基本能力を現在の身体能力に合わせるためだとか言ってた為。

 製品版には平均の身体能力を初期設定させる予定だが現実とのギャップで操作が不便らしい。 詳しく言えば他人の運動能力で行動しようとすれば思った通りに力の強弱が付けづらい等色々な齟齬が生じる。

 今回のテストはそれを解消するシステムの、データ取りも含まれる為の体力測定だった。

 そのシステムはキャラクターと現実との違和感を消すだけでなく、更にメイキングで上がったステータスを取り入れてもなんら問題なく動けるようにする為にも必要だ。

 こんな話がどこかであったが、イキナリサイボーグになってスーパーパワーを手に入れたがその力を制御できず。 飯を食おうとすれば食器を握り潰し。 文字を書こうとすればペンを折り。 走ろうとすればジャンプして転ぶといったものだ。

 このゲームの売り文句に『人を超えた先に見る冒険の舞台!』ってのもあったが、今回ステータスに1でもポイントが振られたら確実に自分の能力よりそれは高くなる。

 それが突出した振り方をすればするほどかけ離れていくはずで、違和感もそれ相応なのは間違いなし。 

 それに慣れるまでの時間は無いのとゲームにならないため必要なシステムといえよう・・・が欠陥や未実装な所がいくつかある。

 その一つが性別を変えれない。

 製品版では変えれるようにできるはずとのことだが、今回はできない仕様。

 生理機能が変わるとバランスも取りにくくなるとか、それと同じ観点で異種族も見送りらしい。

 ケモミミとか尻尾とか期待してたんだけどな・・・。


 もう一つがキャラ作成時の演出が無い。 本来ならメインシナリオの演出が入ったりするのだがオープンベータまではメインクエも無し、サブクエは随時補充されゲーム世界の住人のAIで演出や自然環境やシステムもある程度AIが管理するらしい今回はその基礎がちゃんと運用できるかの試験的なものが多いそうだ。


 そして今回の目玉!

 このツアー参加者はランク入りや起こしたクエストやスキル開発に貢献したプレイヤーにリアルで賞金が出る。

なかなかゲームに入りません

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