2
男か女かもわからない。
けれど、フェイラルカ様の心を占める人。
それが、嫌で嫌で仕方ない。
私はなんて嫌な奴なんだろう。
なんとなく、気まずくなってしまって。
というか、私だけ気まずいと思ってしまってて、あれからフェイラルカ様に会っていない。
つまり、中庭には行っていない。
リーリィには、ハテナな顔されたけど会いに行けないんだもん。
だって、私、絶対ひどい顔するし。
所謂、嫉妬した女の顔だ。
フェイラルカ様には見せられない。
とにかく、少し落ち着いたらまた中庭へ行こう。
そう決意を新たにした時。
「あっ、セフィラ」
「ろ、ロランド様」
一番、微妙な人に会ってしまった。
そういうのは失礼だけど、ほら。
この間、台風一過だったし。
「この間、フェイと一緒にいたの見て以来だね」
「ええ。お久しぶりです」
「……」
「……」
「なぁセフィラ。フェイと何かあった?」
的確に良いところをついてくるロランド様。
「なっなにかって何ですか!?」
「いや、それが何かなって思ったんだけど」
まぁ、いいよ、と。
ロランド様はにっこり笑って、私の前へと近付いてきた。
「機嫌がすこぶる悪いんだ。あいつ」
「あいつとは、フェイラルカ様の事ですか?」
「うん。だから、原因は何かなって思って」
「それは……私にはわかりかねますが」
そう言って一礼をし、去ろうとした。
しかし。
「あー……そっか。でも、ごめんね?」
何に謝られたのかわからず、私は首をかしげると。
突然、ロランド様が私を抱きしめてきたのです。
ってぇ!
「ロランド様!? 廊下で何やってるんですか!?」
「だからごめんね。フェイのためだと思って」
「どうしてここでフェイラルカ様の名前が……」
「何をしている」
低い低い声。
今、最も会いづらいと思っていた人の声。
私とロランド様が抱きあっているところに、近付いてくる。
美しいあの人。
そして。
私とロランド様が。
力強くはがされた。
「わっととっ!」
「おっと」
フェイラルカ様は私の手を引き、ロランド様を睨む。
そして、ロランド様は。
「セフィラ、とても良い匂いがしたね」
とんでもなく場違いな事を言っていた。
匂いって……。
その言葉と同時に、フェイラルカ様の手の力が強くなって。
疑問を持つ前に。
私は手を引かれて連れて行かれてしまった。