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使用人と憧れ騎士様  作者: omi
本編
4/26

2

***



「うっ、うぐ。ぐず、びぇー……」


「汚いわね、セフィラ」



リーリィに汚い呼ばわりされて鼻紙を押しつけられた。


すみませんね、汚くて。



「うぅ、ぐじ、ぐっ……うぁーーん!!」


「はぁ……」


「わた、私何かした!?」


「それは私が聞きたいわよ。何かしたの? ってか、面識あったの?」


「何もしてないよ……! 面識って言ったって、私が一方的に知ってるだけだし!」


「まぁ、そうね。何でかしら」



わからない。


だけど確かに言われた。



『あんたのその目……嫌いだな』



私何かしたかな!?


あんな、嫌なものをみるような目で見られて。


平気でいられるわけがない。


「うっ、う、うぅ~~……」


「なんなのかなぁ、フェイラルカ様は……ん?」



私、嫌われるような事はしてない……はず。


じゃぁ何?


初対面から受け付けないとか……。


どうする事も出来ないじゃない。




「こんにちは。お邪魔します」



扉が開く音ともに低い男の人の声が聞こえてきた。



「あんた、ここは使用人の部屋よ。あんたのような奴が来る所じゃないわ」



誰が入ってきたのかと目を向ければ。



「さっきの……」



フェイラルカ様の隣にいた、騎士の人。



「こんにちは、お嬢さん。さっきと合わせたら二度目だね。俺はロランドといいます。お見知りおきを」


片手を胸に当て、頭を軽く下げる――ロランド様。



「わっ。そんな、頭を下げちゃダメです! 私は使用人ですから!」


「挨拶ですから。セフィラと、呼んでも?」


「良いですから! 頭を……え?」



どうして、私の名前……。


「リーリィから君の事、よく聞いていてね」


「私が話したのよ。あんたの事」


「リーリィ……ロランド様……え?」


「んもぅ、話した事あったでしょ? 幼馴染みが騎士やってるって」



あれ。


あれれ。


そういえば、言ってた。


リーリィには、幼馴染みがいて。


お城で騎士やってるって。


リーリィが使用人になったのも、その幼馴染みに会いたかったからだって。





「貴方が……リーリィの」


「うん。だから、君の事は話に聞いていたよ。フェイラルカの事とかも」


「ぶはーーー!!」



なっ、なっんっで!



「リーリィ!?」


「減るものじゃないし」


「いやいや! な、何を!」


「あんたが、フェイラルカ様をずっと好きって事」


「ちっ、ちが! 違う……!」


「さっきあんだけ大泣きしておいて」


「あれは……!」


「あれは?」


「そっ、そう! おじいちゃんが亡くなった時の事を思い出したの!」


「……随分いきなり思い出すね」



まぁ、いいわ、と。


リーリィが腕を組み直して、私に強い視線を向けた。


「あんた、フェイラルカ様に近付きたくないの?」


「うっ」


「あの人に好かれたくないの?」



さぁさぁと私に迫ってくるリーリィに。


私は一歩ずつ下がる。


そりゃあ……私だって。


隣に立って。


仲睦まじく話したり。


笑いあったり……したい。



「でも、身分違いだもの」


あんな美しい人を独り占めになんて……罰が当たりそうだ。


「そんな事ないって。あいつも人の子、君も人の子」


ね? とロランド様に言われるけど、素直には頷けない。



「だから、そんなセフィラに良い情報」


「良い情報……?」


「フェイは朝と、訓練所に行く前に、いつも中庭にいるんだ」



私が休憩する時、いつも見えるフェイラルカ様。


あれは、確か訓練所に向かわれる前のはず。



「セフィラは朝、ぎりぎりにここへ来るものね」


「うん……」



そういえば、リーリィが朝、中庭でフェイラルカ様を見かけた事があると言っていた。


その時は、ただ話を流してしまっていたけれど。



「俺としては、セフィラにはフェイに会って欲しいけど」


「?」


「ん。まぁ、会ってみてよ。もう一回だけでも」



ロランド様にそう言われ、私はただ無言で頷いた。




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