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使用人と憧れ騎士様  作者: omi
番外編 ex.1
20/26

2.はじめてのお出かけの準備


「これ……やっぱり着てかなきゃダメ?」

「当然よ。もう時間もないでしょ? ほら顔貸しな」

「どっかの悪い人みたいな台詞だよ!? ってか、ストップ、ストーップ!」



お休みの日、公休の日。

何故かリーリィもお休みで、私は朝から彼女の着せ替え人形となっていた。


朝はリーリィに起こされ、顔を洗うように指示。

気付けばお部屋に洋服がどっさり。

ちょっと大人っぽいシルクで出来たワンピースや、可愛らしいデザインのトップス。靴もミュールからサンダル、ブーツまで様々。


その中からあーでもない、こーでもないと着せ替え人形にされてやっと決まったお洋服がコレ。



「やっぱりそっちのロングスカートが……」

「何言ってるの! これじゃあフェイラルカ様は喜ばないわよ!」

「えぇー……でもこのスカート、ちょっと短くない?」

「あんたいくつよ? あんたくらいの年齢の子なら誰でもその短さだわ」



そんな馬鹿な。ひらひらと軽い布の素材で出来てる水色のスカートは風に簡単に靡かれてしまう。腰をリボンで絞って上は白いシャツ、足には少し高めのヒールがある靴。


完全なお出かけモードだ。


「ほら目を瞑りなさい。お化粧、してあげるから」

「お、お化粧まで?」

「そうよ。あんた、仕事中はほとんどしていないでしょ? デートの時くらいお化粧してもバチは当たらないわ」

「……はーい」



目を閉じて、顔をパブパフ叩かれる。唇をくすぐる刷毛に笑いそうになればリーリィに怒られた。そうして出来上がった自分を鏡の前に映して。



「わー……別人になってる」

「そこまで別人じゃないわよ。よし、これならフェイラルカ様もイチコロね。そろそろ時間かしら?」



日の高さ、時計を見やればフェイラルカ様と待ち合わせの時間が迫っていた。



「わ! 行かなきゃ! ごめんね、行ってくる!」

「ん。転ばないように」


私は慌てて部屋から出ようとして、そこでくるりと後ろを振り返った。不思議そうにしているリーリィを見て。


「ありがとう! 私だけじゃ、こんなにおめかし出来なかったから……だから、ありがとうリーリィ」


それだけ言い残して、急いでフェイラルカ様との待ち合わせ場所へと向かった。


後ろでリーリィが。


「このくらいの事、やってあげるに決まってじゃない」


なんて言葉は私には聞こえなかったけれど。

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