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私は刈谷さつきではない 3


「さあ、さつきさん。隣へどうぞ」

「「こ」んなになっちゃって、「う」ちのこは、「た」のむからまじめに生きてくれないかしら、だな」

大義理はまだまだ続いております。

「結構うまいっ!」

内容に関しては反論が山積みなんだけど、とりあえずジャッジは公平に。

「いやいや、君もなかなか腕を上げたではないか。次の大喜利メンバーは私たちで決定だな」ニッと笑うさつきさん。

まあ多分僕がメンバーになったら大喜利がなくなってしまうと思うけど。

「馬鹿な、もっと自信を持て!君はスーパースターだぞ」

「ほんとですか!?大金持ちですか?」

「無理だな」

「モテモテですか?」

「無理だな」

「笑い取りまくりですか?」

「無理だな」

「自信を持たせるつもりがないっ!!」

ひどい、なんで乗せといてノせてくれないの?

そんな会話をしている間に雫は胴着に着替えており、ストレッチに励んでいた。改めてみると本当にでかい。

「武道というのは、えっと、あれだ・・・そうそう、辛・疑・退が大事なんだったな?」

「漢字の変換ミスがあざとすぎる!」

「それを言うなら信・義・態ですよ」

「それっぽいが全部違うからな・・・」

「でも武道に当てはめれば何とかなりますよ。まず強くなろうという信念。そして何のために強くなるかとういう正しさを持ち合わせた義。最後に稽古に望む態度。ほら」

「それっぽくまとめた!」

さつきさんもさつきさんで公平なジャッジだった。

「いや、まてまて、それを覗きをする耕太に置き換えると」

「なんで僕!?」

したことない!覗きはない!僕にそんな度胸はない!!

「覗きをする耕太に置き換えるとだな、まず僕は絶対に見るんだという信念」

「おお?」

まあ、間違ってはいないな。間違ってるけど。

「そしてこれは覗きじゃない、見守っているだけなんだ!という正義の心」

「んん?」

あれ?なんか違和感。

「じゃあ3つめは?」

「変態」

「台無しだっ!!」

わかってた。多分こうなるんじゃないかと思ってたけども!

その時だった、突然ブオンという音と強い風圧が僕を襲った。危うく後ろに倒れて領域侵犯をしてしまうところだった。

「おい、黙って見学してろ。集中できねえだろうが」

さっきの衝撃波は雫の竹刀から生み出されたものらしい。こいつは覇○丸だったのか・・・。

「さすがに竜巻は出ていないがな」

どうしてさつきさんがテレビゲームを知っている?・・・まあ、僕もテレビのCMで見て知っているだけだから別におかしくもないのか。

「こら」

と、雫の頭を小突くものが現れた。足音もなくいつのまにか雫の背後にいたらしく、雫も気づかなかったらしい。

「いや、正面を向いていた君が気付かないのはおかしいだろう」

仕方がない。なぜなら彼は男性だからだ。

「君はそんなキャラだったか!?」

嘘だ。本当はちゃんと気付いていた。言わなかっただけだ。

「先生」

・・・らしい。にしてはずいぶん若い気がするが。武道に年齢は関係あるまい。もし僕が今から5歳の子と剣道で戦って瞬殺されても何とも思わない。なぜなら、それが剣道だから。年齢など関係ないからだ。

「それは恥じろっ!!」

「雫。竹刀を防具も付けていない相手に対して向けてはいけませんよ。いつも言っているでしょう?」

「ごめんなさい」

あれ?素直だ。決して自分の非を認めないのが雫の流儀であり正義なのに・・・。そうか、権力に屈したのか。武士なのに。

「あっ、先生。こいつあたしの従兄で、どうしても道場見学がしたいっていうんで連れてきました」

おい!

「そうですか、ゆっくりしていってくださいね」

先生はそれだけ言うと雫を連れて行ってしまった。随分と人あたりのいい人だったな。でも隣に座布団をもう一枚敷いているという突っ込みどころ満載要素を無視したところを見ると、単純に興味がないのかもしれない。まあいいさ、こっちも別に剣道なんて以下略。


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