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続・エキセントリック・ビューティ  作者: 炊飯器
恐怖の夏旅行編
41/58

草っ!? 3

すいません!3ヶ月ぶりの更新です!!

ちゃんと完結するので長い目で見てやってくださいっ!!



「漆根君はあれね、動物で例えると不細工なチワワ、あるいは野生のハムスターと言ったところね」

「非力でかつ汚いとっ!?」

「いいじゃない。上手くいけば愛玩動物よ」

「まあ、確かに・・・」

不細工でもチワワはチワワだし、ハムスターはハムスターだ。子供たちだけでなく大人にだって人気者だ!

「まあ、動物に例えたところで結局漆根君は漆根君だから愛玩動物にはなりえないんだけどね」

そりゃあそうだ。僕は僕だ。しょうがない。

「愛玩動物にはなれないけど、どうかしら・・・・・・サンドバックとかならいけるかしら?」

「いけねえよ!!」

頼むから無表情でそんな怖いセリフを言わないでほしい。

・・・・・・と、いうやり取りをしつつ僕は春日井さんからオムライスをいただいた。どうやら春日井さんはペットの犬に餌をあげるとき、『待て』ではなく罵詈雑言を浴びせるタイプらしい。

誰がペットの犬だ!!とか自分に突っ込むのも悲しくなってきた。

親父さんの分は取っておいて、6人で食卓を囲み、手を合わせてから頂いた。

「よく見ると僕のオムライスのケチャップがどくろマークに見えるんですけど・・・」

「被害妄想入り過ぎよ、漆根君。それじゃあコーヒーに入れたミルクの模様が将来結ばれる人の名前になる恋占いレベルよ」

「うん、だよねえ」

そんなわけないか。木の皮が人の顔に見えるようなものだ。

しっかりと卵でとじられたオムライスは志井さんの作品だ。どうやら志井さんは料理がうまいらしい。だてに健康マニアではないようだ。ぜひとも雫を弟子入りさせたい。

いや、ダメか。志井さんの家が爆発する。

「そう言えば春日井さんって料理はするの?」スプーンですくって口に運び、しっかりと咀嚼して飲みこみ、口の中を空にしてから僕は尋ねた。

春日井さんはスプーンを止め、僕を見た。

「それは私に料理されたいと遠回しにお願いしているのかしら?」

「その表現は古いよ・・・・・・」

80年代くらいの漫画で使われていた表現だろうか。もしくはさつきさんがよく使う言葉だ。

「そうね。簡単なものだったら別にできるわ。さすがに手が込んだものはやらないけれど」

言った後、春日井さんは「で、オチは?」みたいな顔をした。

いやいや、きっと気のせいだろう。深く考えるのはよそう。

「はぁ」春日井さんは盛大にため息をついた。

いや、気のせいだ。

「漆根君は野菜炒めを量産する機械なんだっけ?」

「確かに僕の料理の中で野菜炒めはかなり高頻度だけど、僕は人間です」なんか変な口調になってしまった。英文の和訳みたいだ。

「あーあ、野菜がかわいそう」

「どういうことっ!?」

「漆根君ごときに消化されるのよ。彼らだって生きてるのに」

「僕だって生きてるよっ!!」

ミミズだってオケラだってアメンボだってみんなみんな生きているけど僕もちゃんと生きてるよっ!!

「一度くらい野菜に食べられてあげなさいよ」

「無茶がすぎる!」

むしろ食べられるものなら食べてみろと言いたいね。

「しょうがないんだよ。僕が野菜を食べることは決定してるんだ。なんたって僕は草食系男子だからね」ドヤ顔で言ってみた。

女食系だの生殖系だの色々言われたけど結局僕は草食系ということで。

「何を言っているの?漆根君の貧弱さはもはや草食系の枠にも収まりきらないわ」

「そこまで言う!?」

確かに貧弱だけども。

「むしろ草かしら」

「草っ!?」

「草系男子ね。草食系にすら食べられそうだもの」

「言い得て妙だ!!」

なんかすごいしっくり来る!

「さらに言うなら毒草ね。触ったらかぶれそう」

まあ、それに関しては反論が出来ないんだけど。

「じゃあ僕って草食系男子には食べられないんだね」僕はにやっと笑ってみた。

なんだか勝った気分。もしかしてこれは春日井さんの論理の穴をついたんじゃないだろうか。いや、春日井さんの発言には論理なんてかけらもないんだけど。

だって僕人間だし・・・。

「ええ、そうね。食べられません。だから刈り取って燃やすことにするわ。子供が触ったら危ないし」

「扱いがひどい!」

無理だった。やっぱり春日井さんは裏の裏まで読んでいる。

「発火じゃない、放火だ」というかつてのさつきさんのセリフがよみがえる。僕は身震いした。

注釈しておくが、断じて武者震えとかそういうことではない。

「あっ、そうそう燃えカス・・・じゃなかった、漆根君」

「燃えカス!?もう燃やされたのっ!?」

もはや僕は草ですらないの!?

燃えカス系男子。一体社会のどこで必要とされるのだろうか。

「萌えカス?」

「萌えちゃうんだ・・・」

癒し系のカスなのだろうか?むしろカスによって癒される人の方が大問題だと思うけど。

「いえ、これは妹を見て『萌えー』とか叫んじゃうカス。つまり漆根君のことよ」

「ちょっと待った!僕はそんな属性を装備してないぞ!」

みんながみんな言うけど違うんだ!僕は実の妹に萌えたことはない。

「いい?武器は持っているだけじゃダメなのよ。ちゃんと装備しなくちゃ」

「そんなドラ○エの最初の城の親切なおじさんみたいな・・・。ていうか隙を見て装備させるのはやめて!」

そのアイテムは多分呪われてるから!1回装備すると教会で御払いしてもらうまで外せないから。死んでもずっとそのままになっちゃうから!

「そう・・・。だから世の中のオタクはなかなか抜けられないのね。神父さんぼろもうけだわ」

「そういうことだったのか・・・・・・」

なんか納得いった。世界の心理に行きついた気分だ。ていうか春日井さんド○クエ好きすぎるでしょ。

「一般教養よ。別に私の兄が家に引きこもって大学にも行かずに毎日毎日ゲームばかりやっていて夕飯だけは顔を出すんだけど口を開けばビア○カとフ○ーラのどちらを花嫁にするのが勝ち組なのかの談義をしているオタク野郎でことあるごとに私に知識を植え付けているわけじゃないわ」

「具体的だ・・・・・・」

春日井さんはなぜかオムライスを口に運ぶ手を止めて目を細めた。なんとなく触れるのはやめた方がいい気がしたので、僕はグラスの水を口に含んだ。

ちなみに僕は大穴でデ○ラ派だ。わがままな年上の女性とか誰かさんを連想してめちゃくちゃテンションが上がるよね?

・・・・・・嘘だ。

「それで、なにが『そうそう』だったの?」

そもそも春日井さんが僕を『燃えカス』と呼んだところから始まったはずだ。

「忘れたわ」

「忘れたんだ」

まあ、そりゃあこれだけ意味のない会話をすれば忘れもするだろう。

「そんなことよりも『萌えカス』の『萌え』を辞書的な『芽生える』という意味で取るとなんだか辺りから漆根君が生えてくるようで気味が悪い、っていう話をしましょう」

「いやだよ!」

なぜ自分が気味悪い話をしなくちゃいけない!

「だって漆根君ってなんだかたまに一人でニヤニヤしてるじゃない?」

「見てたのっ!?」

多分学校でさつきさんと喋ってる時だ。ううむ、僕としては最高の笑顔を振りまいてるつもりが人には気味が悪く見えていたのか。

「そんな漆根君が春を迎えた野花のように辺り一面に芽生えるのよ。Jホラーも真っ青なホラーだわ。貞○さんも裸足で逃げ出すわよ」

「確かに・・・・・・」

だけど○子さんが逃げだした先でも僕が芽生えているのだろう。彼女にきっと逃げ場はない。



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