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自己中王に、僕はなる! 1

シュウ君は最後にもう一度念を押して帰って行った。僕は食器を片づけ、さつきさんを呼んでもう一度昼食をつくった。

「はあ、こうやってレトルトだのインスタントだのばかり食べているから現代人は寿命が短いんだ」

「なにを言ってるんですか。平均寿命は年々伸び続けてますよ。特に日本じゃ意味わからないレベルですからね」

あくまでも平均寿命の話だけど。

「だが私の寿命は刻々と縮まっているぞ!おっと、もう寿命は残ってなかったな」

「もう死んどるやないかー、って感じですか?」

なんかもうさつきさんの明るいふるまいを見てると不謹慎とかそういうのどうでもよくなってきた。

「あ、今のは傷ついた」

「うわっ、すいません!」

めんどくせっ、さつきさんひどくめんどくせっ!

「ジョークだ。ジョークだからチョークをやらせろ」

「ジョークじゃない!?」

どうして背後から相手の首を締めあげるプロレス技に持って行くんだ!

「ていうかいつの間に僕はプロレス技に即座に反応できるようになったんだ!?」

委員長のせいだ。ていうか僕のせいだけど!!

「チョークスリーパーのスリーパーとは「眠る人」という意味だろう?どうだ?最近暑くて寝苦しいと言っていたではないか」

「いやいやいやいや永眠するから!」

永遠のスリーパーになっちゃうから!

「大丈夫だ。私の手にかかれば首が閉まるより先に折れる」

「それでも永眠ですからね!」

そっちの方がやだよ。どんな力だ!

「誰がゴリラだ!!」

「言ってねぇ!」

言わないし思いもしないよ。こんな美しい霊長類はさつきさんだけだ。むしろゴリラゴリラとかホモ・サピエンスとかの種名に新しくカリヤ・サツキをつくりたいね。

「このミジンコがっ!」

「僕微生物なのっ!?」

でもあいつ微生物にしては意外と大きい。生物の授業の顕微鏡で見てびっくりしたもん。

・・・いや、何のフォローだよ。

「このタバコモザイクウイルスが!」

「通じねえ!」

なんか小さいってことはわかった。ものすごい小さいってことはわかった。

「はあ、はあ、はあ・・・」

肩で息をする僕。さすがに突っ込みの連続は疲れるな。100や200の瞬歩の連続をした夜○さんもこんな気分だったに違いない。

「さつきさんって意外と知識が豊富なんですね」

自分でいれたお茶をすすり、息が整ってから言うと、さつきさんはむっとした。

「意外と、とはなんだ。私はこれでも高校時代は秀才だった・・・と奴に言われたぞ」

「要するに覚えてないんでしょ?」

じゃあ今の知識のほとんどは幽霊になってから培われたものか。

「ちゃんと聞いたことなかったですけどさつきさんって何年ぐらいさまよってたんですか?」

聞きづらかったってのもあったけど、今となっては聞いても大丈夫だろう。

「いや、それが幽霊になりたてのころは記憶があいまいでな。マリーと友達だったことは覚えているんだが・・・」

「マリー?」

海外の方か?まあ、生前は令嬢だったから海外に知り合いがたくさんいても不思議じゃない。それに幽霊になってからは友達なんて作れないだろう。

「姿を見せられるようになってから友達になったんですか?」

じゃあこの辺に住んでいる人だろうか。

「いや、マリー・アントワネットだ」

「時系列無視っ!?」

無理だよ!そんな時代にはそもそも刈谷さつきが存在してないよ!

「なんと・・・じゃあれは夢か」

「気付け!」

それなら僕だって織田信長と友達だよ!

「君に友達などいるか!」

「いますよ、僕にだって!確かに最後には斬り殺されましたけど!」

「夢でくらい幸せになれないのか・・・」

僕に言われても・・・。ぜひとも夢に文句を言ってほしい。



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